数学A : 整数の性質 $n$進法の計算(整数)

例題

(1) $8$進法の$234_{(8)}$と$5$進法の$234_{(5)}$を$10$進法で表しなさい。
(2) $10$進法の$234$を$8$進法と$5$進法で表しなさい。

復習

$n$進法についてはちゃんと説明しておいた方がいいので、遠回りっぽいけど原理の話をする。
最初に、$10$進法で$234$っていう数字の意味を考えよう。

学校で先生にプリントの枚数を数えるように頼まれたとする。
よくやる数え方は、$10$ずつ組にしてゆく方法だ。

図A
n進法の計算(整数) 解説図A

まず、$10$枚ずつ束にしてゆく。(図A)
$4$枚余った。

図B
n進法の計算(整数) 解説図B

$10$束ずつセットにしてゆく。(図B)
$3$束余った。
$2$セットできた。

結局できたのは、
百($10^{2}$)枚のセットが$2$つ
十($10^{1}$)枚の束が$3$つ
束にならなかったのが$4$枚
なので、
$2\cdot 10^{2}+3\cdot 10^{1}+4\cdot 10^{0}=234$
より、プリントは$234$枚あった。

以上の考え方から、$234$ってのは、

n進法の計算(整数) 解説図

だということが分かる。

こんな感じで、$10$ずつ組にして数える方法を$10$進法という。
$8$ずつ組にして数えると$8$進法、$4$ずつ組にして数えると$4$進法、$2$ずつ組にして数えると$2$進法だ。

組にする数のことを「記数法の底」または「基数」という。
$10$進法の底は$10$、$8$進法の底は$8$、$2$進法の底は$2$だ。

何進法の数字かを示すために、例えば$8$進法だと
$234_{(8)}$
のように、底を()に入れて数字の右下に書く。
$10$進法のときには、普通は$(10)$を省略する。

(1)

上の復習を理解すれば、$n$進法の整数を$10$進法にするのは簡単だ。
復習のようにプリントで考えると、$234_{(8)}$は
$8^{2}$枚のセットが$2$つ
$8^{1}$枚の束が$3$つ
束にならなかったのが$4$枚
なので、
$2\cdot 8^{2}+3\cdot 8^{1}+4\cdot 8^{0}=156$
より、$10$進法にすると
$156$枚
だ。

解答$156$


$8$進法のときと同様に、
$234_{(5)}=2\cdot 5^{2}+3\cdot 5^{1}+4\cdot 5^{0}$
        $=69$
である。

解答$69$

(2)

次は、$10$進法の$234$を$8$進法で表す。
ということは、$234$枚のプリントを$8$ずつ組にして数えればいいわけだ。

図C
n進法の計算(整数) 解説図C

$8$枚ずつ束にしてゆく。(図C)
$2$枚余った。

図D
n進法の計算(整数) 解説図D

束を$8$ずつセットにしてゆく。(図D)
$5$束余った。
$3$セットできた。

結局できたのは、
$8^{2}$枚のセットが$3$つ
$8^{1}$枚の束が$5$つ
束にならなかったのが$2$枚
なので、$234$は$8$進法で
$352_{(8)}$
と表せる。


考え方は上の通りなんだけど、共通テスト本番でプリントを数えるわけにもゆかない。
計算で同じ作業をしよう。

プリントの数を、組にする数(つまり$8$)で割る。
$234\div 8=29...2$
より、
$8^{1}$枚の束が$29$
余りが$2$枚
できた。
この余りの$2$が一番下の桁の数字だ。

商(つまり束の数)を、また$8$で割る。
$29\div 8=3...5$
より、
$8^{2}$枚のセットが$3$つ
余りが$5$束
できた。
この余りの$5$が下から2つめの桁の数字だ。

商(つまりセットの数)をまた$8$で割る。
$3\div 8=0...3$
より、
$8^{3}$枚のかたまりは出来なかった
余りが$3$セット
できた。
この余りの$3$が次の桁の数字だ。
商が0になったから終わり。

以上より、
$234=352_{(8)}$
である。

解答$352_{(8)}$


$5$進法も、$8$進法のときの計算と同じことをしよう。
$234\div 5=46...4$
$46\div 5=9..1$
$9\div 5=1...4$
$1\div 5=0...1$
の余りを小さい桁から順に並べて、
$234=1414_{(5)}$
である。

解答$1414_{(5)}$