大学入試センター試験 2015年(平成27年) 問題例 数学ⅡB 第○問 解説

(1)

表A
1 2 3 4 5
1 - 1 1 1 1
2 2 - 2 2 2
3 3 3 - 3 3
4 4 4 4 - 4
5 5 5 5 5 -

まず、確率を求めよう。
この手の問題は、真面目に計算をするより、表を書く方がお薦め。
右上の赤い部分は$S$、左下の青い部分は$T$の表である。


表Aより、
$P(S=1)=\displaystyle \frac{4}{10}$
$P(S=1)\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2}{5}$

解答ア:2, イ:5

$P(T=4)=\displaystyle \frac{3}{10}$

解答ウ:3, エ:1, オ:0

である。


表Aをもとに確率分布表を書く。

表B
1 2 3 4 5
$P(S)$ $\displaystyle \frac{4}{10}$ $\displaystyle \frac{3}{10}$ $\displaystyle \frac{2}{10}$ $\displaystyle \frac{1}{10}$ $0$ $1$
$P(T)$ $0$ $\displaystyle \frac{1}{10}$ $\displaystyle \frac{2}{10}$ $\displaystyle \frac{3}{10}$ $\displaystyle \frac{4}{10}$ $1$

表Bより、
$E(S)=1\displaystyle \cdot\frac{4}{10}+2\cdot\frac{3}{10}+3\cdot\frac{2}{10}+4\cdot\frac{1}{10}$
$E(S)\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2}{5}+\frac{3}{5}+\frac{3}{5}+\frac{2}{5}$
$E(S)\displaystyle $$\displaystyle =\frac{10}{5}$
$E(S)$$=2$式A

解答カ:2

同じく表Bより、
$E(T)=2\displaystyle \cdot\frac{1}{10}+3\cdot\frac{2}{10}+4\cdot\frac{3}{10}+5\cdot\frac{4}{10}$
$E(T)\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{5}+\frac{3}{5}+\frac{6}{5}+\frac{10}{5}$
$E(T)\displaystyle $$\displaystyle =\frac{20}{5}$
$E(T)$$=4$式B

解答キ:4


復習

確率変数$A$があって、$A$の平均値を$E(A)$,分散を$V(A)$,標準偏差を$S(A)$とする。
$B=aA+b$ ただし、$a$,$b$は定数
とするとき、$B$の平均$E(B)$,分散$V(B)$,標準偏差$S(B)$はそれぞれ
$E(B)=aE(A)+b$ $V(B)=a^{2}V(A)$ $S(B)=|a|S(A)$ となる。

なので、
$\left\{\begin{array}{l}
E(aS-1)=5\\
E(bT-1)=5
\end{array}\right.$
は、
$\left\{\begin{array}{l}
aE(S)-1=5\\
bE(T)-1=5
\end{array}\right.$
と書き換えられる。
これに式A,式Bを代入して、
$\left\{\begin{array}{l}
2a-1=5\\
4b-1=5
\end{array}\right.$
より、
$2a-1=5$
$2a=6$
$a=3$

解答ク:3

$4b-1=5$
$4b=6$
$b=\displaystyle \frac{3}{2}$

解答ケ:3, コ:2

である。

(2)

(i)

まず、二項分布について復習しよう。

復習

表Cのような確率変数$R$があったとき、

表C
$R$ $0$ $1$ $\cdots$ $n$
確率 ${}_{n}\mathrm{C}_{0}\cdot p^{0}\cdot(1-p)^{n}$ ${}_{n}\mathrm{C}_{1}\cdot p^{1}\cdot(1-p)^{n-1}$ $\cdots$ ${}_{n}\mathrm{C}_{n}\cdot p^{n}\cdot(1-p)^{0}$ $1$

$R$は二項分布に従う。

$R$の 平均(期待値)$E(R)=np$ 分散$V(R)=np(1-p)$ である。

復習から、確率変数$X$の平均$E(X)$,分散$V(X)$は、
$E(X)=np$
$E(X)\displaystyle $$\displaystyle =100\cdot\frac{1}{5}$
$E(X)$$=20$式C

解答サ:2, シ:0

$V(X)=np(1-p)$
$V(X)\displaystyle $$\displaystyle =100\cdot\frac{1}{5}\cdot\frac{4}{5}$
$V(X)$$=16$式D
である。
標準偏差$S(X)$は分散の正の平方根なので、
$S(X)=\sqrt{V(X)}$
$S(X)$$=\sqrt{16}$
$S(X)$$=4$

解答ス:4

となる。


復習

さらに、二項分布と正規分布の関係についても復習する。
$n$が十分に大きい数であるとき、二項分布$B(n,p)$は、正規分布$N(np,np(n-p))$で近似できる
だった。

式C,式Dより、
$np$(つまり$E(X)$)は$20$
$np(n-p)$(つまり$V(X)$)は$16$
なので、$X$は$N(20,16)$に近似する。

また、(1)で復習したように、
$B=aA+b$ としたとき、
$E(B)=aE(A)+b$
$V(B)=a^{2}V(A)$

なので、
$E(R)=\displaystyle \frac{1}{100}\cdot 20$
$E(R)\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{5}$
$V(R)=\left(\frac{1}{100}\right)^{2}\cdot 16$
$V(R)$$=\left(\frac{4}{100}\right)^{2}$
$V(R)\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{25^{2}}$
より、$R$は正規分布$N\left(\frac{1}{5},\frac{1}{25^{2}}\right)$に近似する。

解答セ:1, ソ:5

標準偏差は分散の正の平方根なので、
$S(R)=\sqrt{\frac{1}{25^{2}}}$
$S(R)\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{25}$
である。

解答タ:1, チ:2, ツ:5


(ii)

$X$が$10$であったとき、
標本比率は$\displaystyle \frac{10}{100}=\frac{1}{10}$である。
また、標本の大きさは$100$。
これを用いて、母比率を推定する。

復習

標本比率を$R$,標本の大きさを$n$とすると、母比率$p$を推定する式は、
$\displaystyle R-z\sqrt{\frac{R(1-R)}{n}}\leqq p\leqq R+z\sqrt{\frac{R(1-R)}{n}}$
ただし、$z$は
信頼度95%のとき、$1.96$
信頼度99%のとき、$2.58$
だった。
$z$の値は、今回は問題に書いてある。

なので、求める信頼区間は、
$\displaystyle \frac{1}{10}-1.96\sqrt{\frac{\frac{1}{10}\cdot\frac{9}{10}}{100}}\leqq p\leqq\frac{1}{10}+1.96\sqrt{\frac{\frac{1}{10}\cdot\frac{9}{10}}{100}}$

途中式 まず根号の中の複分数を整理しよう。
分母分子に$100$をかけて、
$\displaystyle \frac{1}{10}-1.96\sqrt{\frac{1\cdot 9}{100^{2}}}\leqq p\leqq\frac{1}{10}+1.96\sqrt{\frac{1\cdot 9}{100^{2}}}$
$\displaystyle \frac{1}{10}-1.96\cdot\frac{3}{100}\leqq p\leqq\frac{1}{10}+1.96\cdot\frac{3}{100}$
左辺と右辺を通分して、
$\displaystyle \frac{10-1.96\cdot 3}{100}\leqq p\leqq\frac{10+1.96\cdot 3}{100}$
あとは地道に計算すると、
$0.0412\leqq p\leqq 0.1588$
となるので、問題文のマスに合うように四捨五入して、
$0.04\leqq p\leqq 0.16$
である。

解答テ:0, ト:0, ナ:4, ニ:0, ヌ:1, ネ:6