大学入試センター試験 2015年(平成27年) 問題例 数学ⅠA 第○問 解説

(1)

復習

まず、箱ひげ図の確認をしよう。

図A
大学入試センター試験2015年問題例 数学ⅠA第○問 解説図A

復習ができたところで、問題を解く。
1ページの表を見ると、3つの教科で最大値と最小値は同じ。第1四分位数と第2四分位数は、国語と英語の値が近い。なので、まず第3四分位数から確認する。

まず、国語。
表から第3四分位数が64.5だけど、それに該当する箱ひげ図は3だけ。

解答ア:3

次に、数学。
表から第3四分位数が84.0だけど、それに該当する箱ひげ図は0・5のふたつ。
次に第1四分位数(中央値でもいいけど)を見ると、0はゼンゼン合わない。
なので、数学の箱ひげ図は5。

解答イ:5

さらに、英語。
表から第3四分位数が70.5だけど、それに該当する箱ひげ図は1・2のふたつ。
箱ひげ図1と2で大きく違うのは中央値なので、表で中央値を確認する。
以上から、国語の箱ひげ図は2。

解答ウ:2

(2)

1ページの表より、数学の平均値は69.40
分散は表にないので$x$とする。

復習

もとのデータのすべてに$a$をたすと、新しいデータの 平均値は$a$増える 分散は変わらない

もとのデータのすべてを$a$倍すると、新しいデータの 平均値は$a$倍になる 分散は$a^{2}$倍になる

だった。

詳しくはこのページ参照。

なので、全員の数学の得点を$0.5$倍して50加えると、新しい平均値は
$69.40\times 0.5+50=84.7$
となる。

解答エ:8, オ:4, カ:7

分散は
$x\times 0.5^{2}$
これが$82.8$になればよいので、もとの分散$x$は
$x\times 0.5^{2}=82.8$
$x=331.2$
となる。

解答キ:3, ク:3, ケ:1, コ:2

復習

相関係数とは、共分散をそれぞれの変数の標準偏差で割ったものだった。
つまり、共分散を$\sigma_{xy}$,それぞれの変数の標準偏差を$\sigma_{x}$,$\sigma_{y}$とすると、相関係数$r_{xy}$は
$\displaystyle r_{xy} = \frac{\sigma_{xy}}{\sigma_{x}\cdot\sigma_{y}}$式A
である。

よって、相関係数$r_{xy}$は、
$r_{xy}=\displaystyle \frac{205}{18.0\times 17.0}$
$r_{xy}$$\doteqdot 0.67$
である。

解答サ:6, シ:7

(3)

[A]~[C]を、ひとつずつ確認してゆこう。

[A] 相関係数$r$は$-1\leqq r\leqq 1$であるのは正しいけど、後半が違う。
$r=1$または$r=-1$となるのは、すべてのデータが1つの直線上にあるとき。
この逆は真じゃなくて、全てのデータが1つの直線上にあっても$r=1$または$r=-1$とは限らないので注意。
一例を挙げると、図Bのようなとき。
この場合、英語の標準偏差が$0$なので(2)の復習の式Aの分母が$0$になるから、相関係数は存在しない。

図B
大学入試センター試験2015年問題例 数学ⅠA第○問 解説図B

[B] 相関係数は、データを標準化(平均値を0に、標準偏差を1に)するのと同じ計算をしている。
もとのデータを$a$倍しても(平均値が$a$倍,標準偏差が$|a|$倍になる)、$a$を加えても(平均値が$a$増える)、計算の過程で標準化されて平均値0・標準偏差1に調節されてしまうので、相関係数は変わらない。
ただし、相関係数を求める2つのデータの片方に正の数、他方に負の数をかけると、相関係数の符号は逆になる。

[C] まず「因果関係」という言葉の意味を考えてみる。ふたつのものに「因果関係がある」という場合「一方が原因でありもう一方が結果である」ことを意味する。
一方、相関係数が表すのは、相関図を描いた場合に分布が直線状かどうかということで、言いかえれば「ふたつのデータに関係がありそうに見える」かどうかを示している。
以上から、相関係数は因果関係とは違う考え方なので「相関係数が高いから因果関係がある」とは言えない。
まぁ、今回の問題のように、テストの得点を使って教科どうしの相関係数をとることを考えてみると分かるよね。いくら相関係数が高くても「教科Aの得点が原因で教科Bの得点が決まる」なんておかしいでしょ。

解答ス:4