大学入学共通テスト 2025年(令和7年) 旧課程 本試 数学ⅠA 第4問 解説
(1)
$702$を素因数分解すると
| $2$ | $)$ | $702$ |
| $3$ | $)$ | $351$ |
| $3$ | $)$ | $117$ |
| $3$ | $)$ | $39$ |
| $13$ |
より
$702=2\times 3^{3}\times 13$
となる。
解答ア:3, イ:1, ウ:3
ここで、正の約数の個数について復習しておくと、
復習
正の整数 $A$ があり、
$ A=p^{\AKA{n}}q^{\MIDORI{m}}r^{\MURASAKI{\ell}}\cdots$
と素因数分解されるとき、$A$ の正の約数は
$(\AKA{n}+1)(\MIDORI{m}+1)(\MURASAKI{\ell}+1)\cdots$
個ある
だった。
さっき計算したように
$702=2^{\AKA{1}}\times 3^{\MIDORI{3}}\times 13^{\MURASAKI{1}}$
だったので、復習より、$702$の正の約数は
$(\AKA{1}+1)\times(\MIDORI{3}+1)\times(\MURASAKI{1}+1)=16$
個存在する。
解答エ:1, オ:6
(2)
次は、不定方程式
$9x-23y=1$式A
だ。
まず、式Aの解をひとつ見つけよう。
$9$と$23$に$5$と$2$をかけると
$\left\{\begin{array}{l}
9\times 5=45\\
23\times 2=46
\end{array}\right.$
なので、その差は$1$だ。
このことに気づくと、式Aの解のひとつは
$(-5,-2)$
で、これを式Aに代入すると
$9\cdot(-5)-23\cdot(-2)=1$式B
と表せることが分かる。
これに気づかなければ、ユークリッドの互除法で式Bをつくることになる。
ユークリッドの互除法を使った場合
$x$と$y$の係数の$9$と$23$でユークリッドの互除法を行うと、
$23\div9=2\ldots5$式a1
$9\div5=1\ldots4$式a2
$5\div4=1\ldots1$式a3
これを「=余り」の形に変形して、
$23-9\cdot2=5$式a1'
$9-5\cdot1=4$式a2'
$5-4\cdot1=1$式a3'
式a3'に式a2'を代入して、
$9\cdot(-1)+5\cdot2=1$
これに式a1'を代入すると
$23\cdot2+9\cdot(-5)=1$
ができる。
これを式Aの方程式の形にする。
項の順序を入れ替えて、
$9\cdot(-5)+23\cdot2=1$
両辺に$-1$をかけると
$9\cdot(-5)-23\cdot(-2)=1$式B
がつくれる。
式Bができると、あとはお決まりの作業だ。
式Aから式Bを辺々引くと
| $9x$ | $-23y$ | $=$ | $1$ | |
| $-)$ | $9\cdot(-5)$ | $-23\cdot(-2)$ | $=$ | $1$ |
| $9(x+5)$ | $-23(y+2)$ | $=$ | $0$ |
となるから、
$9(x+5)=23(y+2)$式C
とかける。
ここで、$9$と$23$は互いに素なので、式Cが成り立つためには、$\ell$を整数として
$\left\{\begin{array}{l}x+5=23\ell\\y+2=9\ell\end{array}\right.$
でなければならない。
これを変形して、不定方程式Aの解は、
$\left\{\begin{array}{l}x=23\ell-5\\y=9\ell-2\end{array}\right.$($\ell$は整数)式D
と表せる。
式Dより、$x$が正の整数で最小になるのは、
$\ell=1$
のときで、その解は、式Dに$\ell=1$を代入した
$\left\{\begin{array}{l}x=18\\y=7\end{array}\right.$
であることが分かる。
解答カ:1, キ:8, ク:7
(3)
(i)
まず、条件(A)について考える。
正の整数$n$と$702$の最大公約数が$9$だから、$n$は$9$の倍数である。
よって、正の整数$m$を用いて、
$n=9\AKA{m}$式E
とかける。
(1)で計算したように
$702=2\times 3^{3}\times 13$
なので、
$702=9\times (\AKA{2\times 3\times 13})$
とかける。
したがって、$n$と$702$の最大公約数が$9$であるとき、
$\AKA{m}$ と $\AKA{2\times 3\times 13}$ は互いに素である
($m$は$2$でも$3$でも$13$でも割り切れない)
※
ことが分かる。
$2\times 3\times 13=78$ なので、これはさらに
$m$と$78$は$1$以外の公約数をもたない
と言いかえられる。
解答ケ:2
(ii)
また、条件(B)を考えると、
$n$は$23$で割ると$6$余る数なので、整数$j$を用いて
$n=23j+6$式F
とかける。
以上より「条件(A)と条件(B)を満たす$n$」は、
$n=9m$式E
($m$は$2$でも$3$でも$13$でも割り切れない)
※
$n=23j+6$式F
を満たす$n$のことだ。
式Eと式Fを使って$n$を消去すると、不定方程式
$9m=23j+6$式G
ができる。
不定方程式Gの$m$の解で※を満たすものを式Eに代入すると、問われている$n$が求められる。
ということで 不定方程式Gを解くんだけど、これには(2)の結果が使える。
(2)で考えたように、
$9x-23y=1$式A
つまり
$9x=23y+1$式A'
の解のひとつはカキクの
$\left\{\begin{array}{l}x=18\\y=7\end{array}\right.$
だったから、
$9\cdot18=23\cdot7+1$
とかける。
この式の両辺を$6$倍した
$9\cdot18\cdot6=23\cdot7\cdot6+6$式H'
と式Gを使って、(2)の後半と同じ作業をしよう。
式Gから式H'を辺々引くと
| $9m$ | $=$ | $23j$ | $+6$ | ||
| $-)$ | $9\cdot 18\cdot 6$ | $=$ | $23\cdot 7\cdot 6$ | $+6$ | |
| $9(m-18\cdot 6)$ | $=$ | $23(j-7\cdot 6)$ | 式I | ||
となる。
ここで、$9$と$23$は互いに素なので、式Iが成り立つためには、$k$を整数として
$\left\{\begin{array}{l}
m-18\cdot 6=23k\\
j-7\cdot 6=9k
\end{array}\right.$
でなければならない。
これを変形して、不定方程式
$9m=23j+6$式G
の解は
$\left\{\begin{array}{l}
m=18\cdot 6+23k\TF{式J}\\
j=7\cdot 6+9k
\end{array}\right.$
となる。
したがって、不定方程式
$9x=23y+6$
の解は、$k$を整数として
$\left\{\begin{array}{l}
x=18\cdot 6+23k\\
y=7\cdot 6+9k
\end{array}\right.$
である。
解答コ:2, サ:3, シ:9
(iii)
(ii)で求めた
$m=\AKA{18\cdot6}+\MIDORI{23}k$式J
が※を満たす場合、
$\AKA{18\cdot6}$ は$2$の倍数
$\MIDORI{23}$ は$2$の倍数じゃない
なので、$m$が$2$で割り切れるのは
$k$が$2$の倍数
のときに限る。
したがって、$m$が$2$で割り切れないのは
$k$が$2$の倍数でない※A
とき
$\AKA{18\cdot6}$ は$3$の倍数
$\MIDORI{23}$ は$3$の倍数じゃない
なので、$m$が$3$で割り切れるのは
$k$が$3$の倍数
のときに限る。
したがって、$m$が$3$で割り切れないのは
$k$が$3$の倍数でない※B
とき
であることが分かる。
$m$が$13$で割り切れない※C
ことについては.....あとで考えよう。
また、式Eに式Jを代入すると
$n=9(18\cdot 6+23k)$式K
と表せる。
式Kより、
$k$が小さいほど$n$も小さくなるから、$n$が最小になるのは$k$が最小のとき
問われている$n$は正なので、
$0 \lt 9(18\cdot 6+23k)$
$-\dfrac{18\cdot 6}{23}\lt k$
$k$は整数だから、
$-4 \leqq k$
よって、最小の正の整数$n$をさがすには、条件にあう$k$のうち $-4$以上で最小のものを考えればよい。
あとは、$k=-4$ から順にやってみる。
$k=-4$ は※Aを満たさないので、不適。
$k=-3$ は※Bを満たさないので、不適。
$k=-2$ は※Aを満たさないので、不適。
$k=-1$ のとき
$k=-1$ は※A,※Bを満たす。
$k=-1$を式Jに代入すると、
$$
\begin{align}
m&=18\cdot 6 -23\\
&=85\TF{式L}
\end{align}
$$
となり、$13$で割り切れないので※Cを満たす。
したがって、求める最小の$n$は、式Lを式Eに代入した
$$
\begin{align}
n&=9\cdot 85\\
&=765
\end{align}
$$
である。
解答ス:7, セ:6, ソ:5
(4)
最後は、命題(a)~(c)の真偽を答える問題だ。
存在するかどうかを問われている正の整数を$n$とする。
$n$と$702$の最大公約数は$9$なので、(3)(i) と同様に
$n=9m$式E
と表せる。
式Eより、命題の条件を満たす$m$が存在すれば、$n$が存在する。
なので、$n$の代わりに$m$について考えよう。
(3) で考えたように、
$n$と$702$の最大公約数が$9$条件(A)
$n$を$\AKA{23}$で割った余りが$\MIDORI{6}$条件(B)
であるとき、整数$j$を用いて
$9m=\AKA{23}j+\MIDORI{6}$式G
と表せ、$m$の解は
$m=18\cdot \MIDORI{6}+\AKA{23}k$式J
($m$は$2$でも$3$でも$13$でも割り切れない)
※
だった。
(3) での作業を見れば分かるように、式G,式Jの$\AKA{23}$,$\MIDORI{6}$は、条件(B) の$\AKA{23}$,$\MIDORI{6}$からきている。
このことから、
$n$と$702$の最大公約数が$9$
$n$を$\AKA{p}$で割った余りが$\MIDORI{q}$
であるとき、整数$j$を用いて
$9m=\AKA{p}j+\MIDORI{q}$式M
と表せ、$m$の解は
$m=18\MIDORI{q}+\AKA{p}k$式N
($m$は$2$でも$3$でも$13$でも割り切れない)
※
となることが分かる。
これを使って、命題(a)~命題(c) をひとつずつ検討しよう。
命題(a)
式M,式Nより、
$n$と$702$の最大公約数が$9$
$n$を$\AKA{23}$で割った余りが$\MIDORI{4}$
であるとき、整数$j$を用いて
$9m=\AKA{23}j+\MIDORI{4}$
と表せ、$m$の解は
$m=18\cdot\MIDORI{4}+\AKA{23}k$式O
($m$は$2$でも$3$でも$13$でも割り切れない)
※
とかける。
式Oについて (3)(iii)と同様に考えると、$m$は$2$でも$3$でも割り切れないので、
$k$は
$2$の倍数でない※A
$3$の倍数でない※B
また、$m$は$13$で割り切れない。※C
さらに、$n$は正の整数なので、式Eに式Oを代入して
$0 \lt 9(18\cdot 4+23k)$
$-\dfrac{18\cdot 4}{23} \lt k$
$-3\leqq k$
である。
この範囲の$k$を順にやってみると、
$k=-3$ は※Bを満たさないので不適。
$k=-2$ は※Aを満たさないので不適。
$k=-1$のとき
$k=-1$ は※A,※Bを満たす
$k=-1$ を式Oに代入すると
$$
\begin{align}
m&=18\cdot 4-23\\
&=49
\end{align}
$$
となり、$13$で割り切れないので※Cを満たす。
したがって、$m=49$のとき、命題(a)の条件を満たす整数が存在する。
命題(b)
式Mより、
$n$と$702$の最大公約数が$9$
$n$を$\AKA{24}$で割った余りが$\MIDORI{7}$
であるとき、整数$j$を用いて
$9m=\AKA{24}j+\MIDORI{7}$
と表せる。
この不定方程式は
左辺は$3$の倍数
右辺は$3$の倍数$+7$だから、$3$の倍数じゃない
なので、整数解は存在しない。
よって、命題(b)で問われている整数も存在しない。
命題(c)
式Mより、
$n$と$702$の最大公約数が$9$
$n$を$\AKA{24}$で割った余りが$\MIDORI{6}$
であるとき、整数$j$を用いて
$9m=\AKA{24}j+\MIDORI{6}$
と表せる。
この不定方程式は
$m$は$2$の倍数じゃないから、
左辺は$2$の倍数じゃない
右辺は$2$の倍数
だから、整数解は存在しない。
よって、命題(c)で問われている整数も存在しない。
以上より、解答群のうち正しいものは
③
である。
解答タ:3