大学入学共通テスト 2025年(令和7年) 旧課程 本試 数学ⅠA 第3問 解説

(1)

二人で1回じゃんけんをしたときを考える。

二人の手の出し方は、全部で
$3^{2}$式A
通り。

あいこになるのは二人が同じ手を出したとき。
このときの二人の手の出し方は、グー または チョキ または パー なので、
${}_{3}\mathrm{C}_{1}$式B
通り。

よって、あいこになる確率は、
$$ \begin{align} \dfrac{\text{式B}}{\text{式A}}&=\dfrac{{}_{3}\mathrm{C}_{1}}{3^{2}}\\ &=\dfrac{1}{3}\TF{式C} \end{align} $$ である。


式Cの確率は、いろいろな考え方で求めることができる。
そのうちのいくつかを別解として紹介しておくけど、上の解がすんなり頭に入った人は 読み飛ばしてもらってかまわない。
別解はタップ(クリック)すれば見ることができる。

別解

別解1

あいこになるのは「二人とも グー」「二人ともチョキ」「二人ともパー」のどれかだから、手の出し方は
${}_{3}\mathrm{C}_{1}$式a
通り。

「二人とも グー」も「二人ともチョキ」も「二人ともパー」も、起こる確率はすべて
$\dfrac{1}{3}\times\dfrac{1}{3}$式b

なので、あいこになる確率は、
$$ \begin{align} \text{式a}\times \text{式b}&={}_{3}\mathrm{C}_{1}\times\dfrac{1}{3}\times\dfrac{1}{3}\\ &=\dfrac{1}{3}\TF{式C} \end{align} $$ である。

以下、じゃんけんをする二人をA君,B君とする。

別解2

二人で1回じゃんけんをするとき、二人の手の出し方は全部で
$3^{2}$式c
通り。

あいこになるのは、A君と同じ手をB君も出したとき。
このとき、

A君の手の出し方は、グー または チョキ または パー だから
${}_{3}\mathrm{C}_{1}$式d
通り。

B君の手の出し方はA君と同じじゃないといけないから、
$1$式e
通り。

よって、あいこになる確率は、
$$ \begin{align} \dfrac{\text{式d}\times \text{式e}}{\text{式c}}&=\dfrac{{}_{3}\mathrm{C}_{1}\times 1}{3^{2}}\\ &=\dfrac{1}{3}\TF{式C} \end{align} $$ である。

別解3

二人で1回じゃんけんをしてあいこになるのは、A君が出したのと同じ手をB君も出したとき。

このとき、

A君が出した手は何でもいいから、確率は
$1$式f

B君が出した手はA君が出したのと同じじゃないといけないから、確率は
$\dfrac{1}{3}$式g

よって、あいこになる確率は
$$ \begin{align} \text{式f}\times \text{式g}&=1\times\dfrac{1}{3}\\ &=\dfrac{1}{3}\TF{式C} \end{align} $$ である。

別解4

A君
グーチョキパー
B君グー
チョキ
パー

二人の手の出し方は、上の表のように
9通り(9マス) あり、すべてのマスは同じ確率で起こる。

そのうち、あいこになるのは
赤いマスの3通り ある。

よって、あいこになる確率は
$$ \begin{align} \dfrac{\text{赤いマス}}{\text{すべてのマス}}&=\dfrac{3}{9}\\ &=\dfrac{1}{3}\TF{式C} \end{align} $$ である。

また、このとき、「あいこになる」の余事象は「勝敗が決まる」なので、勝敗が決まる確率は
$1-\dfrac{1}{3}=\dfrac{2}{3}$式D
となる。


以上より、二人で1回じゃんけんをしたとき、

あいこになる確率は$\dfrac{1}{3}$式C
勝敗が決まる確率は$\dfrac{2}{3}$式D

であることが分かる。

式C,式Dを使って問題を解く。

(i)

1回目であいこになる確率とは、1回じゃんけんをしてあいこになる確率のこと。

よって、求める確率は、式Cの

$\dfrac{1}{3}$

である。

解答ア:1, イ:3

(ii)

2回目で優勝者が決まるのは、
1回目はあいこ
2回目は勝敗が決まる

場合。

なので、その確率は、
$$ \begin{align} \text{式C}\times \text{式D}&=\dfrac{1}{3}\times\dfrac{2}{3}\\ &=\dfrac{2}{9} \end{align} $$

である。

解答ウ:2, エ:9

(iii)

同様に、3回目で優勝者が決まるのは、
1回目と2回目はあいこ
3回目は勝敗が決まる

場合。

なので、その確率は
$$ \begin{align} \text{式C}\times \text{式C}\times \text{式D}&=\dfrac{1}{3}\times\dfrac{1}{3}\times\dfrac{2}{3}\\ &=\dfrac{2}{27} \end{align} $$

である。

解答オ:2, カ:2, キ:7

(2)

今度は三人でじゃんけんをする場合だ。
(1)と同様に、この三人をA君,B君,C君とする。

三人でじゃんけんをした場合、あいこになるのは
三人が同じ手を出した場合
三人がすべて異なる手を出した場合
の2パターンある。

三人が同じ手を出した場合

(1)と同様に考えると、三人が同じ手を出す確率は
$\dfrac{{}_{3}\mathrm{C}_{1}}{3^{3}}=\dfrac{1}{9}$式E
である。

三人がすべて異なる手を出した場合

三人がすべて異なる手を出す場合の数は、三人を一列に並べる場合の数と同じなので
${}_{3}\mathrm{P}_{3}$式F
通り。

二人の手の出し方は、全部で
$3^{3}$式G
通り。

よって、三人がすべて異なる手を出す確率は、
$$ \begin{align} \dfrac{\text{式F}}{\text{式G}}&=\dfrac{{}_{3}\mathrm{P}_{3}}{3^{3}}\\ &=\dfrac{3\cdot 2\cdot 1}{3\cdot 3\cdot 3}\\ &=\dfrac{2}{9}\TF{式H} \end{align} $$ となる。

したがって、、三人でじゃんけんをしてあいこになる確率は、
$$ \begin{align} \text{式E}+\text{式H}&=\dfrac{1}{9}+\dfrac{2}{9}\\ &=\dfrac{1}{3} \end{align} $$ である。

(1)と同様に これを求める方法もたくさん考えられるけど、長くなるので別解は省略する。


また、このとき、「あいこになる」の余事象は「勝敗が決まる」なので、勝敗が決まる確率は
$1-\dfrac{1}{3}=\dfrac{2}{3}$式I
だけど、この中には
二人勝ち、一人負ける
一人勝ち、二人負ける
の2パターンが含まれている。

このふたつのパターンが起こる確率は等しいので、それぞれのパターンの確率は
$$ \begin{align} \dfrac{\text{式I}}{2}&=\dfrac{2}{3}\times\dfrac{1}{2}\\ &=\dfrac{1}{3} \end{align} $$ だ。

以上より、三人で1回じゃんけんをしたとき、
$\quad\left.\begin{array}{l} \text{あいこになる}\\ \text{二人勝つ}\\ \text{一人勝つ} \end{array}\right\}$確率はすべて$\dfrac{1}{3}$
であることが分かる。

したがって、
$\left.\begin{array}{l} \text{3→3}\\ \text{3→2}\\ \text{3→1} \end{array}\right\}$の確率はすべて$\dfrac{1}{3}$式J である。

また、(1)の式C,式Dは
$\text{2→2}$ の確率は$\dfrac{1}{3}$式C
$\text{2→1}$ の確率は$\dfrac{2}{3}$式D
と表せる。

式J,式C,式Dを使って 問題を解く。

(i)

1回目で優勝者が決まるのは $\text{3→1}$ のとき。

よって、その確率は
$\text{式J}=\dfrac{1}{3}$

である。

解答ク:1, ケ:3

(ii)

2回目で優勝者が決まる場合は
$\text{3→3→1}$パターンA
$\text{3→2→1}$パターンB
の2パターンある。

パターンAは
1回目に $\text{3→3}$
2回目に $\text{3→1}$

となる場合。

$\text{3→3}$ となる確率は、
$\text{式J}=\dfrac{1}{3}$

解答コ:1, サ:3

$\text{3→1}$ となる確率も式Jだ。

よって、パターンAが起こる確率は $$ \begin{align} \text{式J}\times \text{式J}&=\dfrac{1}{3}\times\dfrac{1}{3}\\ &=\dfrac{1}{9}\TF{式K} \end{align} $$ である。

パターンBは
1回目に $\text{3→2}$
2回目に $\text{2→1}$

となる場合なので、その確率は

$$ \begin{align} \text{式J}\times \text{式D}&=\dfrac{1}{3}\times\dfrac{2}{3}\\ &=\dfrac{2}{9}\TF{式L} \end{align} $$ である。

解答シ:2, ス:9

したがって、2回目で優勝者が決まる確率は
$$ \begin{align} \text{式K}+\text{式L}&=\dfrac{1}{9}+\dfrac{2}{9}\\ &=\dfrac{1}{3}\TF{式M} \end{align} $$ となる。

(iii)

2回目で優勝者が決まらない場合は
$\ \ $※ $\text{3→3→3}$
$\text{3→3→2}$
$\text{3→2→2}$
の3パターンある。

なので、3回目で優勝者が決まる場合は
$\text{3→3→3→1}$パターンC
$\text{3→3→2→1}$パターンD
$\text{3→2→2→1}$パターンE
の3パターンだ。

パターンC$+$パターンDは
1回目に $\text{3→3}$
2回目以降は
$\text{3→3→1}$ または $\text{3→2→1}$

となる場合。
このうちの赤い部分はパターンA,緑の部分はパターンBと同じだから、確率の合計は式Mである。

よって、パターンC$+$パターンDの確率は

$$ \begin{align} \text{式J}\times \text{式M}&=\dfrac{1}{3}\times\dfrac{1}{3}\\ &=\dfrac{1}{3^{2}}\TF{式N} \end{align} $$ となる。

パターンEは
1回目に $\text{3→2}$
2回目に $\text{2→2}$
3回目に $\text{2→1}$

となる場合なので、その確率は
$$ \begin{align} \text{式J}\times \text{式C}\times \text{式D}&=\dfrac{1}{3}\times\dfrac{1}{3}\times\dfrac{2}{3}\\ &=\dfrac{2}{3^{3}}\TF{式O} \end{align} $$ である。

したがって、3回目で優勝者が決まる確率は
$$ \begin{align} \text{式N}+\text{式O}&=\dfrac{1}{3^{2}}+\dfrac{2}{3^{3}}\\ &=\dfrac{3+2}{3^{3}}\\ &=\dfrac{5}{27}\TF{式P} \end{align} $$ となる。

解答セ:5, ソ:2, タ:7

(3)

(i)

ルール1とルール2の違いは、3回目のじゃんけんに参加する人数だけ。

じゃんけんの3回目が行われるのは2回目までで優勝者が決まらなかったとき。
このときの参加人数の推移は、(2)(iii)の※の3パターンある。
下に、※をもう一度載せておいた。

$\ \ $※ $\text{3→3→3}$
$\text{3→3→2}$
$\text{3→2→2}$

ルール1からルール2に変わった場合、※の
$\text{3→3→3}$ と $\text{3→3→2}$ は変化しない。
$\text{3→2→2}$ は $\text{3→2→}\AKA{\cancelto{\Large{\text{3}}}{\KURO{\text{2}}}}$ に変わる。

よって、ルール2でじゃんけんを行う人数を
(2回目,3回目)
のように表すと、起こり得るのは
$(3,3)$,$(3,2)$,$(2,3)$
の3通りである。

解答チ:9

したがって、ルール2で3回目で優勝者が決まる場合は、
$\text{3→3→3→1}$パターンC
$\text{3→3→2→1}$パターンD
$\text{3→2→}\AKA{\cancelto{\Large{\text{3}}}{\KURO{\text{2}}}}\text{→1}$パターンF
の3パターンある。

(ii)

優勝者が決まる確率について、これまでに分かったことをまとめておこう。

ふたつのルールの違いは3回目に参加する人数だけなので、
1回目で決まる確率は変わらない。 2回目で決まる確率も変わらない。

また、3回目で決まる確率は、
ルール1では$\left(\begin{aligned}&\text{パターンC}\\&\text{パターンD}\\&\AKA{\text{パターンE}}\end{aligned}\right)$の確率の和 ルール2では$\left(\begin{aligned}&\text{パターンC}\\&\text{パターンD}\\&\AKA{\text{パターンF}}\end{aligned}\right)$の確率の和 である。

以上より、ふたつのルールで優勝者が決まる確率の違いは、パターンEとパターンFの確率の違いだといえる。

パターンEの確率は、式Oの
$\dfrac{2}{3^{3}}$式O
だった。

パターンFは
1回目に $\text{3→2}$
2回目に $\text{2→2}$
3回目に $\text{3→1}$

となる場合なので、その確率は

$$ \begin{align} \text{式J}\times \text{式C}\times \text{式J}&=\dfrac{1}{3}\times\dfrac{1}{3}\times\dfrac{1}{3}\\ &=\dfrac{1}{3^{3}}\TF{式P} \end{align} $$ である。

よって、優勝者が決まる確率は
$$ \begin{align} \text{式O}-\text{式P}&=\dfrac{2}{3^{3}}-\dfrac{1}{3^{3}}\\ &=\dfrac{1}{27} \end{align} $$ だけ ルール1の方が大きい。

解答ツ:1, テ:2, ト:7, ナ:0