大学入学共通テスト 2025年(令和7年) 旧課程 本試 数学ⅡB 第5問 解説
(1)
まず、標本平均についての復習から。
復習
母平均$\mu$,母標準偏差$\sigma$の母集団から大きさ$n$の標本を取り出す。
このとき、
母集団が正規分布に従うときには
$n$の値にかかわらず完全に、
母集団がその他の分布のときには
$n$が大きければ近似的に、
標本平均は正規分布 $N\left(\mu,\dfrac{\sigma^{2}}{n}\right)$ に従う。
復習より、標本の大きさ$n$が大きいとき、B社製蛍光灯の寿命の
標本平均$\overline{X}$は、近似的に
正規分布 $N\left(m_{X},\dfrac{\sigma^{2}}{n}\right)$ に従う
ことが分かる。
解答ア:6
さらに、母平均の信頼区間の式の復習もしておこう。
復習
母標準偏差を$\sigma$
標本平均を$\overline{X}$
標本の大きさを$n$
とすると、母平均$\mu$の信頼区間を求める式は
$\overline{X}-z\cdot\dfrac{\sigma}{\sqrt{n}}\leqq\mu\leqq\overline{X}+z\cdot\dfrac{\sigma}{\sqrt{n}}$式A
ただし、信頼度が$ c\%$のとき、$z$は、図を標準正規分布の確率分布図として、図中の$z_{0}$の値。
特に、
信頼度$ 95\%$のとき、$z=1.96$
信頼度$ 99\%$のとき、$z=2.58$
である。
いま、
母標準偏差$\sigma$は、標本標準偏差の$750$で代用
標本平均$\overline{X}=8900$
標本の大きさ$n=100$
信頼度は$ 95\%$なので、$z=1.96$
だ。
よって、復習の式Aより、母平均$m_{X}$の信頼度$ 95\%$での信頼区間は
$\begin{aligned}
8900-1.96\cdot &\dfrac{750}{\sqrt{100}}\\
&\quad\leqq m_{X}\leqq\\
&\hspace{56px}8900+1.96\cdot\dfrac{750}{\sqrt{100}}
\end{aligned}$
式B
とかける。
これを計算すると、
$8900-1.96\cdot 75\leqq m_{X}\leqq 8900+1.96\cdot 75$
$8900-147\leqq m_{X}\leqq 8900+147$
より、信頼区間
$8753\leqq m_{X}\leqq 9047$式B'
が求められる。
解答イ:0, ウ:5
(2)
(i)
B社製蛍光灯の単位寿命は
母平均$m_{0}=\dfrac{m_{X}}{1100}$
母標準偏差$\dfrac{\sigma}{1100}$
なので、最初にした復習より、標本の大きさ$n$が大きいとき、
標本平均$\overline{Y}$は近似的に
正規分布$N\left(m_{0},\dfrac{\left(\tfrac{\sigma}{1100}\right)^{2}}{n}\right)=N\left(m_{0},\dfrac{\sigma^{2}}{1100^{2}n}\right)$
に従う
ことが分かる。
解答エ:6
また、式Aを使って母平均$m_{0}$の信頼区間を求めると、
母標準偏差$\dfrac{\sigma}{1100}$は、
標本標準偏差の$\dfrac{750}{1100}$で代用
標本平均$\overline{Y}=\dfrac{\overline{X}}{1100}=\dfrac{8900}{1100}$
標本の大きさ$n=100$
信頼度は$ 95\%$なので、$z=1.96$
だから、
$\begin{aligned}
\dfrac{8900}{1100}-1.96\cdot &\dfrac{\tfrac{750}{1100}}{\sqrt{100}}\\
&\qquad\leqq m_{0}\leqq\\
&\hspace{56px}\dfrac{8900}{1100}+1.96\cdot\dfrac{\tfrac{750}{1100}}{\sqrt{100}}
\end{aligned}$
より
$\begin{aligned}
\dfrac{1}{1100}&\left\{\AKA{8900-1.96\cdot\dfrac{750}{\sqrt{100}}}\right\}\\
&\hspace{90px}\leqq m_{0}\leqq\\
&\hspace{70px}\dfrac{1}{1100}\left\{\MIDORI{8900+1.96\cdot\dfrac{750}{\sqrt{100}}}\right\}
\end{aligned}$
とかける。
この式の赤い部分は式Bの左辺,緑の部分は右辺と同じだ。
なので、これを計算すると、式B'より
$\dfrac{1}{1100}\cdot\AKA{8753}\leqq m_{0}\leqq\dfrac{1}{1100}\cdot\MIDORI{9047}$式C
になるはずだ。
これをさらに計算して、求める信頼区間は
$ 7.957\ldots\leqq m_{0}\leqq 8.224\ldots$
$7.96\leqq m_{0}\leqq 8.22$
となる。
解答オ:3
(ii)
次に、B社製蛍光灯の単価が$c$円の場合を考える。
このときの単位寿命の母平均$m_{Y}$の信頼区間は、(i)の作業から、式Cの$1100$を$c$にかえた
$\dfrac{1}{c}\cdot 8753\leqq m_{Y}\leqq\dfrac{1}{c}\cdot 9047$
になることが分かる。
問題文の指示どおり
$a\leqq m_{Y}\leqq b$
とおくと、
$\left\{\begin{array}{l}
a=\dfrac{8753}{c}\TF{式D}\\
b=\dfrac{9047}{c}
\end{array}\right.$
と表せる。
よって、単価$c$が安くなるとき、つまり$c$の値が小さくなるとき、
$a$の値は大きくなる。
$b$の値は大きくなる。
解答カ:5
また、
$b-a=\dfrac{9047-8753}{c}$
だから、$c$の値が小さくなると
$b-a$の値は大きくなる。
解答キ:2
(iii)
$m_{Y}$の信頼区間がすべて$8$より大きい場合は、数直線で表すと図Aのような場合だ。
式にすると
$8 \lt a$
の場合である。
解答ク:1
これに式Dを代入すると
$8 \lt \dfrac{8753}{c}$
となって、このときの単価$c$の範囲の式ができる。
これを解いて、
$c \lt \dfrac{8753}{8}$
$c \lt 1094.125$
この範囲に含まれる最大の整数$c$は
$1094$
である。
解答ケ:1, コ:0, サ:9, シ:4