大学入学共通テスト 2018年(平成30年) 問題例 記述式を含む 問題例1 [1] 解説

解説

まず、根号のはずし方の復習から始めよう。

復習

$A \lt 0$のとき、$\sqrt{A^{2}}=-A$
$0\leqq A$のとき、$\sqrt{A^{2}}=A$

である。


問題文中の②から③の計算は、復習より

$a+1 \lt 0$のとき、
     $\sqrt{(a+1)^{2}}=-(a+1)$式A
$0\leqq a+1$のとき、
     $\sqrt{(a+1)^{2}}=a+1$式B

とかける。

いま、$a$はすべての実数なので、

$a \lt -1$のとき、$a+1 \lt 0$
$-1\leqq a$のとき、$0\leqq a+1$

となるから、$a$の値によって$a+1$は負になったり$0$以上になったりする。

よって、②から③の計算は、$a$の値によって式Aの場合と式Bの場合がある。
問題文中の②から③の変形は式Bの場合だけしか考えていない。
なので、誤り。


一方、問題文中の⑤から⑥の計算も、復習より

$a^{2}+1 \lt 0$のとき、
     $\sqrt{(a^{2}+1)^{2}}=-(a^{2}+1)$式C
$0\leqq a^{2}+1$のとき、
     $\sqrt{(a^{2}+1)^{2}}=a^{2}+1$式D

とかける。

しかし、$a$は実数なので、
$0\leqq a^{2}$
より
$0 \lt a^{2}+1$
だから、式Cの場合は起こらない。

よって、⑤から⑥の計算は必ず式Dになるので、問題文中の変形は正しい。


以上、考え方をちょっと丁寧に説明した。
けれど、この問題では誤りである理由だけ説明すればよい。
なので、式Aになるとき、つまり$a+1 \lt 0$ となる$a$を反例として示した方が簡単だ。

例えば、

解答例 誤りである式変形:B 理由:
$\sqrt{(-11+1)^{2}}=10$ $-11+1=-10$ より、$a=-11$を反例として
$\sqrt{(a+1)^{2}}=a+1$
は偽であるから。

その他の解答例はここでは省略する。
公開されている解答例はリンクを参照してほしい。

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