大学入試センター試験 2015年(平成27年) 旧課程 旧課程 本試 数学ⅡB 第5問 解説

(1)

188
データの代表値

問題文中の表より、20人の合計が$660$なので、平均値$\overline{x}$は、
$\displaystyle \overline{x}=\frac{660}{20}=33$

解答ア:3, イ:3, ウ:0

(2)

番号1の生徒について、
$y=18$
$y-\overline{y}=1$
なので、
$18-\overline{y}=1$
$\overline{y}=17$
である。

解答エ:1, オ:7, カ:0

生徒数は20だから、Aは$y$の平均値を$20$倍して、
$\mathrm{A}=17\times 20$
$\mathrm{A}$$=340$
となる。

解答キ:3, ク:4, ケ:0

193
分散と標準偏差

また、$\mathrm{B}$は偏差の合計なので、考えるまでもなく$0$。

解答コ:0, サ:0

(3)

復習

相関係数は、共分散をそれぞれの変数の標準偏差の積で割ったものだった。
共分散は、偏差の積の平均だった。

199
相関係数

この問題の場合、
共分散$=\displaystyle \frac{1}{20}\cdot 353$
$x$の標準偏差$=\sqrt{\frac{1}{20}\cdot 2000}$
$y$の標準偏差$=\sqrt{\frac{1}{20}\cdot 500}$

なので、相関係数$r_{xy}$は、
$r_{xy}=\displaystyle \frac{\frac{1}{20}\cdot 353}{\sqrt{\frac{1}{20}\cdot 2000}\times\sqrt{\frac{1}{20}\cdot 500}}$
$r_{xy}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{\frac{1}{20}\cdot 353}{\sqrt{\left(\frac{1}{20}\right)^{2}\cdot 4\cdot 500^{2}}}$
$r_{xy}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{353}{2\cdot 500}$
$r_{xy}$$=0.353$
である。

解答シ:0, ス:3, セ:5, ソ:3

(4)

表A
$y$
0以上
10未満
10以上
20未満
20以上
30未満
30以上
40未満
40以上
50以下
$x$ 0以上
10未満
0 0 0 0 0
10以上
20未満
1 1 1 0 0
20以上
30未満
0 C 1 0 0
30以上
40未満
0 D 4 0 0
40以上
50以下
1 3 2 0 0

問題文より、表Aの青で囲んだ部分の和が16、赤で囲んだ部分の和が8だということが分かっている。
青い部分の和にはCD両方含まれているので使えない。
赤い部分の和を使う。

赤い部分の和が8なので、
$\mathrm{C}+4=8$
$\mathrm{C}=4$

解答タ:4

生徒数は20、赤い部分の和は8なので、
$\mathrm{D}+10=12$
$\mathrm{D}=2$

解答チ:2

(5)

復習

もとのデータのすべてに$a$たして新しいデータを作った場合、新しいデータの平均値も$a$増える。
詳しくはこのページ参照。

566
確率変数の変換

なので、
$\overline{w}=33+50$
$\overline{w}$$=83.0$
である。

解答ツ:8, テ:3, ト:0

復習

もとのデータのすべてを$a$倍して新しいデータを作った場合、新しいデータの分散は$a^{2}$倍になる。
詳しくはこのページ参照。

問題文の表より、$y$の偏差の2乗和は500.0なので、これを生徒数で割ると$y$の分散となる。
$y$の分散$=\displaystyle \frac{500}{20}$
これを$2^{2}$倍して、
$z$の分散$=\displaystyle \frac{500\times 2^{2}}{20}$
$z$の分散$=100$
である。

解答ナ:1, ニ:0, ヌ:0, ネ:0, ノ:0

188
データの整理

次は$z$のヒストグラムだ。
$z$分布をみるために、$z$のもとになっている$y$の分布を調べよう。

表Aより、$y$の度数分布表(表B)をつくった。

表B
0以上
10未満
10以上
20未満
20以上
30未満
30以上
40未満
40以上
50以下
2 10 8 0 0

表Bの階級上限と下限を2倍すると、$z$の度数分布表(表C)になる。

表C
0以上
20未満
20以上
40未満
40以上
60未満
60以上
80未満
80以上
100以下
2 10 8 0 0

表Cとヒストグラムを比較した場合、 0以上20未満に3人いるから矛盾する。 0以上20未満に5人いるから矛盾する。 0以上20未満は2人で正しいけれど、20以上40未満に11人いるから矛盾する。 ここまでくると答えは3だと分かるけど、一応確認。
0以上20未満は2人で正しい。20以上40未満も10人で正しい。40以上60未満も8人で正しい。それ以上は0で、これも正しい。 よって、正しいのは3。

解答ハ:3


相関係数は標準化された値なので、

復習

$x,\ y$を
$\left\{\begin{array}{l} w=ax+b\\ z=cx+d \end{array}\right.$ ($a,b$ は0でない実数・$b,d$ は実数)
と変換したとき、$w$と$z$の相関係数は
$a$,$c$が同符号なら、もとの$x$と$y$の相関係数と同じ $a$,$c$が異符号なら、もとの$x$と$y$の相関係数$\times -1$

っていうのを知っていれば、答えは②だって分かるけど。
ここではそれを知らないものとして説明する。

もう一度相関係数の復習をしよう。

復習

相関係数とは、共分散をそれぞれの変数の標準偏差で割ったものだった。

復習

共分散とは、($x$の偏差×$y$の偏差)の平均、つまり$(x-\overline{x})(y-\overline{y})$の平均だった。

ということで、共分散から考えよう。

$x$と$y$の共分散$=\displaystyle \frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(x_{k}-\overline{x})(y_{k}-\overline{y})$式A
$w$と$z$の共分散$=\displaystyle \frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(w_{k}-\overline{w})(z_{k}-\overline{z})$式B
$w=x+50$なので、式Bの$(w_{k}-\overline{w})$の部分は、
$(w_{k}-\overline{w})=\{(x_{k}+50)-(\overline{x}+50)\}$
$(w_{k}-\overline{w})$$=(x_{k}-\overline{x})$式C
といえる。
また、$z=2y$なので、式Bの$(z_{k}-\overline{z})$の部分は、
$(z_{k}-\overline{z})=(2y_{k}-2\overline{y})$
$(z_{k}-\overline{z})$$=2(y_{k}-\overline{y})$式D
といえる。

なので、式Bは、
$w$と$z$の共分散$=\displaystyle \frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(x_{k}-\overline{x})\cdot 2(y_{k}-\overline{y})$
$w$と$z$の共分散$\displaystyle $$\displaystyle =2\cdot\frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(x_{k}-\overline{x})(y_{k}-\overline{y})$式B'
となる。

なので、式A・D'より、
$w$と$z$の共分散$=2\times(x$と$y$の共分散$)$
といえる。

次に標準偏差について考えるのだけれど、説明がややこしくなるので、標準偏差の2乗である分散で考えよう。

復習

分散とは、偏差の2乗の平均、つまり$(x-\overline{x})^{2}$の平均だった。

$x\text{の分散}\displaystyle =\frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(x_{k}-\overline{x})^{2}$ $y\text{の分散}\displaystyle =\frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(y_{k}-\overline{y})^{2}$ $\hspace{150px}$式E
$w\text{の分散}\displaystyle =\frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(w_{k}-\overline{w})^{2}$ $z\text{の分散}\displaystyle =\frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(z_{k}-\overline{z})^{2}$ $\hspace{150px}$式F
式C・Fより、式Fは、
$w\text{の分散}\displaystyle =\frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(x_{k}-\overline{x})^{2}$ $z\text{の分散}\displaystyle =2^{2}\cdot\frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(y_{k}-\overline{y})^{2}$ $\hspace{150px}$式F'
となる。
なので、式E・H'より、
$w$の分散$=x$の分散
$z$の分散$=2\times(y$の分散$)$
といえる。

以上より、
$x$と$y$の相関係数$r_{1}=\displaystyle \frac{x\text{と}y\text{の共分散}}{\sqrt{x\text{の分散}}\times\sqrt{y\text{の分散}}}$
$w$と$z$の相関係数$r_{2}=\displaystyle \frac{w\text{と}z\text{の共分散}}{\sqrt{w\text{の分散}}\times\sqrt{z\text{の分散}}}$
$w$と$z$の相関係数$r_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2\times(x\text{と}y\text{の共分散})}{\sqrt{x\text{の分散}}\times\sqrt{2^{2}\times(y\text{の分散})}}$
$w$と$z$の相関係数$r_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{x\text{と}y\text{の共分散}}{\sqrt{x\text{の分散}}\times\sqrt{y\text{の分散}}}$
となるので、
$r_{1}=r_{2}$
である。

解答ヒ:2