数学Ⅱ : 微分法と積分法 微分の定義

例題

(1)定義に従って、$y=x^{2}+2x+3$の$x=1$における微分係数を求めなさい。 (2)定義に従って、$y=x^{3}+4$を微分しなさい。

アドバイス

まず、微分の定義の復習をしておこう。

復習

微分とは、接線の傾きを求めることである。

図Aにおいて、直線ABの傾きは
$\displaystyle \frac{y\text{の増加量}}{x\text{の増加量}}=\frac{f(a+h)-f(a)}{(a+h)-a}$
$\displaystyle \frac{y\text{の増加量}}{x\text{の増加量}}$$\displaystyle =\frac{f(a+h)-f(a)}{h}$
である。
点Bを限りなく点Aに近づけると、直線ABは限りなくオレンジ色の接線に近づく。

図A
2274_微分の定義

アニメーション開始

文章ではイメージがつかみにくいから、[アニメーション開始]ボタンを押して目で見て確認してもらいたい。

点Bを点Aに近づけるということは、言いかえれば点Bの$x$座標を点Aの$x$座標に近づけることである。
図Aの例だと、$a+h$を$a$に近づけることである。これは、$h$を$0$に近づけるのと同じことだ。
このことを、数学的には
$\displaystyle \lim_{h\rightarrow 0}$
と書く。

以上より、$x=a$のときの接線の傾きを$f'(a)$とすると、

公式

$f'(a)=\displaystyle \lim_{h\rightarrow 0}\frac{f(a+h)-f(a)}{h}$式A

だと言える。
この$a$を$x$におきかえると、接線の傾きを表す関数ができる。これを導関数という。この導関数を求める作業を「微分する」と言う。
式Aの$a$を$x$におきかえると、

公式

$f'(x)=\displaystyle \lim_{h\rightarrow 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}$式B

となる。これが導関数である。

以上の説明で分かるように、中学校で学習した
傾き$=\displaystyle \frac{y\text{の増加量}}{x\text{の増加量}}$
を使っているだけなので、原理さえ知っていれば公式はすぐに作れる。なので、必ずしも暗記する必要はないだろう。

(1)

$f(x)=x^{2}+2x+3$とおく。
求める微分係数を$f'(1)$とすると、式Aより、
$f'(1)=\displaystyle \lim_{h\rightarrow 0}\frac{f(1+h)-f(1)}{h}$
$f'(1)\displaystyle $$\displaystyle =\lim_{h\rightarrow 0}\frac{\{(1+h)^{2}+2(1+h)+3\}-(1^{2}+2\cdot 1+3)}{h}$
$f'(1)\displaystyle $$\displaystyle =\lim_{h\rightarrow 0}\frac{(1+2h+h^{2}+2+2h+3)-6}{h}$
$f'(1)\displaystyle $$\displaystyle =\lim_{h\rightarrow 0}\frac{h^{2}+4h}{h}$
$f'(1)\displaystyle $$\displaystyle =\lim_{h\rightarrow 0}(h+4)$
$h\rightarrow 0$なので、$h$に$0$を代入して、(アドバイス参照)
$f'(1)=4$
である。

解答$4$

アドバイス

上の解説中、「$h\rightarrow 0$なので、$h$に$0$を代入して」という部分。センター試験の範囲では問題ないのだけれど、数Ⅲが必要な人は気をつけてほしい。
数Ⅲの範囲では、関数が連続か、微分可能かの確認をする必要がある。

(2)

$f(x)=x^{3}+4$とおく。
求める導関数を$y'$とすると、式Bより、
$y'=\displaystyle \lim_{h\rightarrow 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}$
$y'\displaystyle $$\displaystyle =\lim_{h\rightarrow 0}\frac{\{(x+h)^{3}+4\}-(x^{3}+4)}{h}$
$y'\displaystyle $$\displaystyle =\lim_{h\rightarrow 0}\frac{(x+h)^{3}-x^{3}}{h}$
$y'\displaystyle $$\displaystyle =\lim_{h\rightarrow 0}\frac{\{(x+h)-x\}\{(x+h)^{2}+x(x+h)+x^{2}\}}{h}$
$y'\displaystyle $$\displaystyle =\lim_{h\rightarrow 0}\frac{h\{(x+h)^{2}+x(x+h)+x^{2}\}}{h}$
$y'\displaystyle $$\displaystyle =\lim_{h\rightarrow 0}\{(x+h)^{2}+x(x+h)+x^{2}\}$
$h\rightarrow 0$なので、$h$に$0$を代入して、(アドバイス参照)
$y'=(x+0)^{2}+x(x+0)+x^{2}$
$y'$$=3x^{2}$
となる。

解答$y'=3x^{2}$

アドバイス

数Ⅲが必要な人は「$h\rightarrow 0$なので、$h$に$0$を代入して」に注意するのは(1)と同じである。