数学Ⅱ : 微分法と積分法 円と放物線に囲まれた面積

例題

$f(x)=\displaystyle \frac{1}{4}x^{2}$とし、$y=f(x)$のグラフをCとする。C上に点P$(p,f(p)) (0 \lt p)$をとり、点PにおけるCの接線を$\ell$,点Pで$\ell$と直交する直線を$m$とする。
(1)$\ell$と$x$軸の正の向きがなす角が$\displaystyle \frac{\pi}{3}$のとき、$p$の値を求めよ。また、$\ell$,$m$の方程式を求めよ。 以下、$p$を(1)で求めた値とする。
(2)$\ell$と$y$軸の交点を中心とし、点Pを通る円をAとする。円AとCに囲まれた2つの図形のうち、$x$軸よりも上にあるものの面積$S_{1}$を求めよ。 (3)$m$上に中心があり、点Pを通り、$x$軸と接する2つの円のうち、中心の$x$座標が大きいものを円Bとする。このとき、C,円B,$x$軸で囲まれた図形の面積$S_{2}$を求めよ。 (類:センター試験2001年本試,2002年本試)

アドバイス

センター試験で、過去に円と放物線に囲まれた面積が出題されたことがある。扇形をつくる直線の傾きから、扇形の中心角を求めて、面積を求める問題だ。
難易度が高いわけではないのだが、初めて見るとびっくりするかも知れない。なので、ここで問題を解いておこう。
使うテクニックは

復習

直線の傾きを$a$,$x$軸の正の向きがなす角を$\theta$とすると、
$ a=\tan\theta$

と、

復習

中心角が$\theta$,半径が$r$の扇形の面積は、
$\displaystyle \pi r^{2}\cdot\frac{\theta}{2\pi}$

だ。

(1)

図A
円と放物線に囲まれた面積 解説図A

まず、$\ell$の傾きを求めよう。

Cの式を微分して、
$f'(x)=\displaystyle \frac{1}{2}x$
これに点Pの$x$座標を代入して、$\ell$の傾きは
$f'(p)=\displaystyle \frac{1}{2}p$式A

$\ell$と$x$軸の正の向きがなす角が$\displaystyle \frac{\pi}{3}$なので、$\ell$の傾きは
$\displaystyle \tan\frac{\pi}{3}=\sqrt{3}$式B

式A$=$式Bなので、
$\displaystyle \frac{1}{2}p=\sqrt{3}$
$p=2\sqrt{3}$
である。

解答$p=2\sqrt{3}$


よって、点Pの座標は
$(p,f(p))=\left(2\sqrt{3},\frac{(2\sqrt{3})^{2}}{4}\right)$
$(p,f(p))$$=(2\sqrt{3},3)$
となる。

$\ell$は、この点P$(2\sqrt{3},3)$を通り、傾きが$\sqrt{3}$の直線なので、式は
$y-3=\sqrt{3}(x-2\sqrt{3})$
$y=\sqrt{3}x-3$式C
である。

解答$y=\sqrt{3}x-3$


$m$は$\ell$に直交するので、$\ell$の傾きと$m$の傾きをかけると$-1$になる。
なので、$m$の傾きを$a$とすると、
$\sqrt{3}a=-1$
$a=-\displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}}$
である。

ここまでの別解

$m$は$\ell$と直交するので、$m$と$x$軸の正の向きがなす角は
$\displaystyle \frac{\pi}{3}+\frac{\pi}{2}=\frac{5}{6}\pi$式D
だから、傾きは
$\displaystyle \tan\frac{5}{6}\pi=-\frac{1}{\sqrt{3}}$
である。

式Dを
$\displaystyle \frac{\pi}{3}-\frac{\pi}{2}=-\frac{\pi}{6}$
としても、
$\displaystyle \tan\left(-\frac{\pi}{6}\right)=\tan\frac{5}{6}\pi=-\frac{1}{\sqrt{3}}$
なので、どちらでも大丈夫。

よって、$m$は、点Pを通り傾きが$-\displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}}$の直線なので、式は
$y-3=-\displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}}(x-2\sqrt{3})$
$y=-\displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}}x+5$式E
である。

解答$y=-\displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}}x+5$

(2)

図B
円と放物線に囲まれた面積 解説図B

円AとCに囲まれた図形は、図Bの青い部分と黄色い部分の2つ。そのうち、$x$軸よりも上にあるもの、つまり青い部分の面積を問われている。
図Bの青い部分は$y$軸に関して対称なので、$y$軸より右の部分の面積を求めて、2倍する方針で解く。

ところが、数Ⅱの範囲では円は積分できない。
つまり、
$\displaystyle \frac{S_{1}}{2}=\int_{0}^{2\sqrt{3}}($円Aの式-Cの式$)dx$
は解けない。
なので、他の方法を考える。


とりあえず、円Aの中心と半径を求めよう。

$\ell$と$y$軸の交点は、式Cに$x=0$を代入して、
$y=-3$
より、
$(0,-3)$
である。

これを点Aとすると、線分OAの長さは$3$である。
よって、図B中に斜線で表した2つの三角形は合同。

また、この三角形は辺の比が$1:2:\sqrt{3}$の直角三角形なので、
$\mathrm{AP}=4\sqrt{3}$
である。

以上より、円Aは
中心が$(0,-3)$ 半径が$4\sqrt{3}$ である。


図C
円と放物線に囲まれた面積 解説図C

円Aの半径が分かると、図Cの赤い扇形の面積が分かる。
扇形の面積から黄色い図形の面積を引くと、$\displaystyle \frac{S_{1}}{2}$だ。
ここで、図Bの2つの斜線の三角形は合同なので、面積が等しい。
なので、図Cの黄色い図形と、斜線の図形は面積が等しい。
よって、
$\displaystyle \frac{S_{1}}{2}=$赤い扇形-斜線部分式F
であることが分かる。

赤い扇形は、
中心角が$\displaystyle \frac{\pi}{6}$ 半径が$4\sqrt{3}$

なので、面積は
$\displaystyle \pi(4\sqrt{3})^{2}\cdot\frac{\frac{\pi}{6}}{2\pi}$
途中式 $=\displaystyle \frac{\pi\cdot 4^{2}\cdot 3\cdot\frac{\pi}{6}}{2\pi}$
$=\displaystyle \frac{\pi\cdot 4\cdot 2\cdot\pi}{2\pi}$
$=4\pi$
である。

斜線部分の面積は、
$\displaystyle \int_{0}^{2\sqrt{3}}\frac{1}{4}x^{2}\ dx$
途中式 $=\displaystyle \frac{1}{4}\left[\frac{x^{3}}{3}\right]_{0}^{2\sqrt{3}}$
$=\displaystyle \frac{(2\sqrt{3})^{3}}{4\cdot 3}$
$=2\sqrt{3}$式G
となる。

以上を式Fに代入して、
$\displaystyle \frac{S_{1}}{2}=4\pi-2\sqrt{3}$
$S_{1}=8\pi-4\sqrt{3}$
である。

解答$S_{1}=8\pi-4\sqrt{3}$

(3)

図D
円と放物線に囲まれた面積 解説図D

点Pを通り、$m$上に中心があり、$x$軸と接する円は、図Dの2つが考えられる。このうち、中心の$x$座標が大きいものが円Bなので、図中の点線の円は考えない。
よって、青い部分の面積が求める$S_{2}$である。
円は積分できないので、今回もちょっと工夫しないといけない。


(2)と同じように、まず円Bの中心と半径を求めよう。
円の中心を点Bとして、座標を$(s,t)$,円の半径を$r$とおくと、円Bの方程式は
$(x-s)^{2}+(y-t)^{2}=r^{2}$式H
とかける。

ここで、
中心が$m$上にあるので、$(s,t)$を式Eに代入して、
$t=-\displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}}s+5$
$\displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}}s=5-t$
$s=\sqrt{3}(5-t)$式I
$x$軸に接するので、半径と中心の$y$座標は等しい。
よって、
$r=t$式J

以上を式Hに代入して、
$\{x-\sqrt{3}(5-t)\}^{2}+(y-t)^{2}=t^{2}$
この円が点Pを通るので、
$\{2\sqrt{3}-\sqrt{3}(5-t)\}^{2}+(3-t)^{2}=t^{2}$
これを解いて、
途中式 $\sqrt{3}^{2}\{2-(5-t)\}^{2}+(3-t)^{2}=t^{2}$
$3(-3+t)^{2}+(3-t)^{2}=t^{2}$
$3(t-3)^{2}+(t-3)^{2}=t^{2}$
$4(t-3)^{2}-t^{2}=0$
$\{2(t-3)\}^{2}-t^{2}=0$
$\{2(t-3)-t\}\{2(t-3)+t\}=0$
$(t-6)(3t-6)=0$
$t=6,2$
となる。
これが、図Dの2つの円の中心の$y$座標だ。
点線の円は考えないので、$y$座標が大きい$t=6$は無視。
円Bの中心の$y$座標は$2$である。

これを式Iに代入して、
$s=\sqrt{3}(5-2)$
$s$$=3\sqrt{3}$
式Jに代入して、
$r=2$

より、円Bは、
中心が$(3\sqrt{3},2)$ 半径が$2$ である。


これまでに分かったことを図Eにまとめた。

図E
円と放物線に囲まれた面積 解説図E

図Eの黄色い扇形の、半径は、$2$。
中心角は、$\displaystyle \frac{2}{3}\pi$。

補足

図Fの紫の四角形で、

図F
円と放物線に囲まれた面積 解説図F

ひとつの角は、$\displaystyle \frac{\pi}{3}$ 2つの角は、直角 なので、残る角Bは$\displaystyle \frac{2}{3}\pi$である。

なので、黄色い扇形の面積は計算できる。
これを利用して$S_{2}$を求めよう。

$S_{2}=$赤い図形-黄色い扇形式K
だけど、赤い図形の面積は一発では求められない。
図Eの点Pを通るオレンジの直線で2つに分けて、左の部分と右の部分に分けて考えよう。

左の部分の面積は、Cの式を積分して
$\displaystyle \int_{0}^{2\sqrt{3}}\frac{1}{4}x^{2}\ dx$
であり、これは(2)の式Gで計算済みで、$2\sqrt{3}$だった。

右の部分は台形なので、台形の面積の公式から、
$\displaystyle \frac{1}{2}($上底$+$下底$)\cdot$高さ
$=\displaystyle \frac{1}{2}(2+3)(3\sqrt{3}-2\sqrt{3})$
$=\displaystyle \frac{5}{2}\sqrt{3}$

なので、赤い図形の面積は
$2\displaystyle \sqrt{3}+\frac{5}{2}\sqrt{3}$
$=\displaystyle \frac{9}{2}\sqrt{3}$
になる。

黄色い扇形の面積は、
$2^{2}\displaystyle \pi\cdot\frac{\frac{2}{3}\pi}{2\pi}$
$=2^{2}\displaystyle \pi\cdot\frac{1}{3}$
$=\displaystyle \frac{4}{3}\pi$

以上を式Kに代入して、
$ S_{2}=\displaystyle \frac{9}{2}\sqrt{3}-\frac{4}{3}\pi$
である。

解答$ S_{2}=\displaystyle \frac{9}{2}\sqrt{3}-\frac{4}{3}\pi$