大学入試センター試験 2011年(平成23年) 追試 数学ⅠA 第2問 解説

ア~カ

図A
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅠA第2問 解説図A

図Aにおいて、直線$\mathrm{PR}$は傾きが$1$で、点$\mathrm{P}(t,0)$を通るので、
$y-0=1(x-t)$
$y=x-t$式A
である。

別解

この部分を数Ⅱの範囲を使わずに解くと、次のようになる。

図Aにおいて、直線$\mathrm{PR}$は傾きが$1$なので、
$y=x+b$
と書ける。
この直線が点$\mathrm{P}(t,0)$を通るので、
$t+b=0$
$b=-t$
だから、上の式は
$y=x-t$式A
となる。

点$\mathrm{R}$は式A上の点で、$x$座標が$a$なので、$y$座標は
$a-t$
である。
なので、直線$\mathrm{QR}$の傾きは、$\dfrac{y\text{の増加量}}{x\text{の増加量}}$より、
$\dfrac{(a-t)-(4-t)}{a-0}=\dfrac{a-4}{a}$
である。

解答ア:4


直線$\mathrm{QR}$は、傾きが$\dfrac{a-4}{a}$,$y$切片が$4-t$の直線なので、
$y=\dfrac{a-4}{a}x+4-t$
と表せる。

点$\mathrm{T}$はこの直線上にあって$x$座標が$\dfrac{t}{4}$なので、$y$座標は
$\dfrac{a-4}{a}\cdot\dfrac{t}{4}+4-t$

途中式 $$ \begin{align} \qquad&=\dfrac{a-4}{4a}t+4-t\\ &=4+\dfrac{a-4}{4a}t-\dfrac{4a}{4a}t\\ &=4+\dfrac{-3a-4}{4a}t \end{align} $$
$\qquad=4-\dfrac{3a+4}{4a}t$
となる。

解答イ:4, ウ:3, エ:4


台形$\mathrm{OPTH}$は、図Aの赤い図形。
この面積$S$は、台形の面積の公式から、
$$ \begin{align} S&=\dfrac{1}{2}(\text{上底}+\text{下底})\times\text{高さ}\\ &=\dfrac{1}{2}(\mathrm{TH}+\mathrm{OP})\times \mathrm{OH}\\ &=\dfrac{1}{2}\left(\dfrac{t}{4}+t\right)\left(4-\dfrac{3a+4}{4a}t\right)\\ &=\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{5}{4}t\left(4-\dfrac{3a+4}{4a}t\right)\\ &=\dfrac{5}{8}t\left(4-\dfrac{3a+4}{4a}t\right) \class{tex_formula}{式B} \end{align} $$ である。

解答オ:5, カ:8

(1)

式Bに$a=1$を代入して、
$$ \begin{align} S&=\dfrac{5}{8}t\left(4-\dfrac{3+4}{4}t\right)\\ &=\dfrac{5}{8}t\left(4-\dfrac{7}{4}t\right) \class{tex_formula}{式C} \end{align} $$ のときを考える。

この式は、$t=0$または$4-\dfrac{7}{4}t=0$のとき、$S=0$である。
$4-\dfrac{7}{4}t=0$
を計算すると
$\dfrac{7}{4}t=4$
$$ \begin{align} t&=4\cdot\dfrac{4}{7}\\ &=\dfrac{16}{7} \end{align} $$ となるので、$t=0$または$4-\dfrac{7}{4}t=0$のとき、$S=0$である。
よって、式Cは、$t^{2}$の係数が負で、$t=0$,$\dfrac{16}{7}$で横軸と交わるので、グラフを描くと図Bのようになる。

図B
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅠA第2問 解説図B

軸は$t=0$と$t=\dfrac{16}{7}$の真ん中の$t=\dfrac{8}{7}$だけど、これは定義域の$0 \lt t\leqq 1$に含まれない。
最大は図Bの赤い点なので、$t=1$のとき。
これを式Cに代入して、$S$の最大値は
$$ \begin{align} S&=\dfrac{5}{8}\left(4-\dfrac{7}{4}\right)\\ &=\dfrac{5}{8}\left(\dfrac{16}{4}-\dfrac{7}{4}\right)\\ &=\dfrac{5}{8}\cdot\dfrac{9}{4}\\ &=\dfrac{45}{32} \end{align} $$ である。

解答キ:4, ク:5, ケ:3, コ:2

アドバイス

2次関数の式Cは因数分解された形なので、横軸との交点が簡単に分かる。このようなときには、ここで説明したような方法でグラフを描いた方が早いしミスも少ない。間違っても、展開してから平方完成してはいけない
平方完成をすると頂点の$y$座標も同時に求められるから有利だって思うかも知れないけど、この問題のように、せっかく頂点の$y$座標を求めても使わない場合も多い。

(2)

式Bに$a=2$を代入して、
$$ \begin{align} S&=\dfrac{5}{8}t\left(4-\dfrac{3\cdot 2+4}{4\cdot 2}t\right)\\ &=\dfrac{5}{8}t\left(4-\dfrac{5}{4}t\right) \class{tex_formula}{式D} \end{align} $$ のときを考える。

この式は、$t=0$または$4-\dfrac{5}{4}t=0$のとき、$S=0$である。
$4-\dfrac{5}{4}t=0$
を計算すると
$\dfrac{5}{4}t=4$
$$ \begin{align} t&=4\cdot\dfrac{4}{5}\\ &=\dfrac{16}{5} \end{align} $$ よって、式Dは、$t^{2}$の係数が負で、$t=0$,$\dfrac{16}{5}$で横軸と交わるので、グラフを描くと図Cのようになる。

図C
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅠA第2問 解説図C

軸は$t=0$と$t=\dfrac{16}{5}$の真ん中の$t=\dfrac{8}{5}$だけど、これは定義域の$0 \lt t\leqq 2$に含まれる。
よって、最大値は$t=\dfrac{8}{5}$のとき。

解答サ:8, シ:5

これを式Dに代入して、
$$ \begin{align} S&=\dfrac{5}{8}\cdot\dfrac{8}{5}\left(4-\dfrac{5}{4}\cdot\dfrac{8}{5}\right)\\ &=1\cdot\left(4-\dfrac{8}{4}\right)\\ &=4-2\\ &=2 \end{align} $$ より、最大値は$2$である。

解答ス:2


さらに、$S\geqq\dfrac{15}{8}$なので、式Dより
$\dfrac{5}{8}t\left(4-\dfrac{5}{4}t\right)\geqq\dfrac{15}{8}$
これを計算する。

両辺に$8\cdot 4$をかけて、
$5t(16-5t)\geqq 15\cdot 4$
両辺を$5$で割って、
$t(16-5t)\geqq 3\cdot 4$
あとは展開だ。
$16t-5t^{2}\geqq 12$
$5t^{2}-16t+12\leqq 0$式E
たすきがけをして、

$5t$ $-6$ $-6t$
$t$ $-2$ $-10t$
$-16t$

より、式Eは
$(5t-6)(t-2)\leqq 0$
となるので、
$\dfrac{6}{5}\leqq t\leqq 2$
となる。
これは、定義域に入っているので、そのまま答である。

解答セ:6, ソ:5, タ:2