大学入試センター試験 2012年(平成24年) 本試 数学ⅡB 第2問 解説
(1)
曲線$C$の式を微分して、
$y'=3x^{2}$
これに点Pの$x$座標を代入して、接線の傾きは$3a^{2}$である。
傾きが$3a^{2}$の直線が点P$(a,a^{3})$を通るので、求める接線は
$y-a^{3}=3a^{2}(x-a)$
となる。
これを整理して、
$$
\begin{align}
y&=3a^{2}(x-a)+a^{3}\\
&=3a^{2}x-3a^{3}+a^{3}\\
&=3a^{2}x-2a^{3}
\end{align}
$$
である。
解答ア:2, イ:2, ウ:3
放物線$D$が点Pを通るので、$D$の式に点Pの座標を代入して、
$a^{3}=a^{2}+ap+q$式A
点Pにおける放物線$D$の接線の傾きは、放物線$D$の式を微分して、
$y'=2x+p$
これに点Pの$x$座標を代入して、接線の傾きは$2a+p$である。
点Pにおける曲線$C$と放物線$D$の接線の傾きは等しいので、
$3a^{2}=2a+p$式B
となる。
式Aと式Bの連立方程式を解く。
式Bより、
$p=3a^{2}-2a$
これを式Aに代入して、
$a^{3}=a^{2}+a(3a^{2}-2a)+q$
$$
\begin{align}
q&=a^{3}-a^{2}-a(3a^{2}-2a)\\
&=a^{3}-a^{2}-3a^{3}+2a^{2}\\
&=-2a^{3}+a^{2}
\end{align}
$$
である。
解答エ:2, オ:2, カ:-, キ:2, ク:2
「以下、$p$,$q$は①を満たす」ので、この結果を放物線Dの式に代入して$p$,$q$を消しておこう。
放物線Dの式は
$y=x^{2}+(3a^{2}-2a)x-2a^{3}+a^{2}$式C
となる。
(2)
放物線$D$が点Qを通るので、式Cに点Qの座標を代入して、
$b=-2a^{3}+a^{2}$②
となる。
解答ケ:-, コ:2, サ:2
次は、定数項に文字を含む高次方程式の、実数解の個数の問題だ。
このタイプの問題は、決まった解き方をするので憶えておこう。
詳しくはこのページ参照。
まず、方程式の解を求める文字が$a$だと分かりにくいので、問題の指示通り②式の右辺の$a$を$x$に置き換えると、
$b=-2x^{3}+x^{2}$
となる。
これを、連立方程式
$\left\{\begin{array}{l}
y=-2x^{3}+x^{2}\\
y=b
\end{array}\right.$②'
と考えて、2つの式の共有点の数を求める方針で解こう。
まず②'の上側の式のグラフを描く。
微分して、
$$
\begin{align}
y'&=-6x^{2}+2x\\
&=-2x(3x-1)
\end{align}
$$
より、$x=0,\ \dfrac{1}{3}$のとき$y'=0$である。
②'の上側の式に$x=0,\dfrac{1}{3}$を代入して、
$x=0$のとき
$y=0$
$x=\dfrac{1}{3}$のとき
$$
\begin{align}
y&=-2\cdot\left(\dfrac{1}{3}\right)^{3}+\left(\dfrac{1}{3}\right)^{2}\\
&=\left(\dfrac{1}{3}\right)^{3}\cdot(-2+3)\\
&=\dfrac{1}{27}
\end{align}
$$
これをもとに増減表を書くと、
| $x$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ | $\dfrac{1}{3}$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $y'$ | - | $0$ | $+$ | $0$ | - |
| $y$ | $\searrow$ | $0$ | $\nearrow$ | $\dfrac{1}{27}$ | $\searrow$ |
となる。
表Bより、
$x=0$のとき、極小値$0$
$x=\dfrac{1}{3}$のとき、極大値$\dfrac{1}{27}$
をとる。
解答シ:0, ス:0, セ:1, ソ:3, タ:1, チ:2, ツ:7
表Bからグラフを描くと、図Cができる。
$0 \lt b \lt \dfrac{1}{27}$のとき、$y=b$のグラフは図Cの緑の範囲に入る。
このとき、②'の2つのグラフは3点で交わる。
よって、②を満たす$a$の個数は3である。
解答テ:3
(3)
放物線Dの頂点が$x$軸上にあるので、式Cの判別式が$0$になればよいから、
$D=(3a^{2}-2a)^{2}-4\cdot(-2a^{3}+a^{2})=0$
であればよい。
これを計算すると、
途中式
$\{a(3a-2)\}^{2}-4a^{2}\cdot(-2a+1)=0$
$ a^{2}\cdot\{(3a-2)^{2}-4\cdot(-2a+1)\}=0$
$ a^{2}(9a^{2}-12a+4+8a-4)=0$
より、
$a=0,\ \dfrac{4}{9}$
である。
解答ト:0, ナ:4, ニ:9
$a=0$のとき、式Cは
$y=x^{2}$式D
となり、これが$D_{1}$の式、
$a=\dfrac{4}{9}$のとき、式Cは
$\begin{aligned}y&=x^{2}+\left\{3\cdot\left(\dfrac{4}{9}\right)^{2}-2\cdot\dfrac{4}{9}\right\}x\\&\hspace{100px}-2\cdot\left(\dfrac{4}{9}\right)^{3}+\left(\dfrac{4}{9}\right)^{2}\end{aligned}$
式E
となり、これが$D_{2}$の式である。
$D_{1}$と$D_{2}$と$x$軸に囲まれた図形の面積を$S$とする。
$D_{1}$と$D_{2}$の交点と、それぞれの頂点の$x$座標を求めて、
$\displaystyle S=\int_{\text{頂点}}^{\text{交点}}D_{1}\,dx+\int_{\text{交点}}^{\text{頂点}}D_{2}\,dx$式F
という計算をするのは.....嫌だねぇ。
計算してみると分かるけど、式Fは
$\begin{aligned}S=\int_{0}^{\tfrac{2}{27}}& x^{2}\,dx\\&+\int_{\tfrac{2}{27}}^{\tfrac{4}{27}}\left(x^{2}-\dfrac{8}{27}x+\dfrac{16}{729}\right)\,dx\end{aligned}$
という式になる。こんな計算は絶対にしたくないので、もっと楽な方法を考えよう。
2つの放物線の頂点の$x$座標から始めよう。
$D_{1}$の頂点は原点だけど、$D_{2}$は面倒だ。式Eを平方完成するのは避けたいので、ここでちょっと思い出そう。
復習
$y=ax^{2}+bx+c$のグラフの頂点の$x$座標は
$\dfrac{-b}{2a}$
だった。
これを使おう。
式Eと復習より、$D_{2}$の頂点の$x$座標は、
$\dfrac{-\left\{3\cdot\left(\cfrac{4}{9}\right)^{2}-2\cdot\cfrac{4}{9}\right\}}{2\cdot 1}$
途中式
$$
\begin{align}
\qquad&=\dfrac{\cfrac{4}{9}\left(-3\cdot\cfrac{4}{9}+2\right)}{2}\\
&=\dfrac{2}{9}\left(-\dfrac{4}{3}+2\right)\\
&=\dfrac{2}{9}\cdot\dfrac{2}{3}
\end{align}
$$
となるから、$D_{1}$と$D_{2}$は図Dのようなグラフになる。
$D_{1}$と$D_{2}$は合同で頂点の$y$座標も等しいので、交点の$x$座標は2つの頂点の中央になる。
よって、交点の$x$座標は
$\dfrac{0+\cfrac{4}{27}}{2}=\dfrac{2}{27}$
である。
また、面積を求める斜線の図形は左右対称になるから、左半分(紫色に見えるけど青い部分)と右半分(緑色の部分)の面積は等しい。
なので、左半分の面積を求めて2倍する方針で解こう。
図Dの青い部分の面積を2倍すると、求める面積$S$なので、
$\displaystyle S=2\int_{0}^{\tfrac{2}{27}}x^{2}\,dx$
となる。これを計算するのだけれど、ヌネノを見ると答は因数分解した形になっているので、$\dfrac{2}{27}$は$\dfrac{2}{3^{3}}$としておこう。
この式を積分して、
$S=2\left[\dfrac{1}{3}x^{3}\right]_{0}^{\tfrac{2}{3^{3}}}$
途中式
$$
\begin{align}
\phantom{S}&=2\left\{\dfrac{1}{3}\cdot\left(\dfrac{2}{3^{3}}\right)^{3}-0\right\}\\
&=2\cdot\dfrac{1}{3}\cdot\left(\dfrac{2}{3^{3}}\right)^{3}\\
&=2\cdot\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{2^{3}}{3^{9}}
\end{align}
$$
である。
解答ヌ:4, ネ:1, ノ:0