大学入試センター試験 2013年(平成25年) 本試 数学ⅡB 第2問 解説

解説

$f(x)=x^{3}-3a^{2}x+a^{3}$
を微分して、
$f'(x)=3x^{2}-3a^{2}$
$f'(x)$$=3(x+a)(x-a)$
より、
$x=\pm a$
で$f'(x)=0$となる。

ここで、問題文より、$0 \lt a$
$f(x)$は3次関数で、$x^{3}$の係数が正。

よって、増減表を書くまでもなく、$f(x)$は
$x=-a$のとき、極大値
$f(-a)=(-a)^{3}-3a^{2}(-a)+a^{3}$
$f(-a)$$=3a^{3}$
$x=a$のとき、極小値
$f(a)=a^{3}-3a^{2}\cdot a+a^{3}$
$f(a)$$=-a^{3}$
をとる。

解答ア:-, イ:a, ウ:3, エ3, オ:a, カ:-, キ:3

ここで分からなくなった人は、次の復習を見てほしい。

復習

$f(x)$は3次関数で3次の項の係数が正だから、グラフは全体として右上がり。

図A
大学入試センター試験2013年本試 数学ⅡB第2問 解説図A  
図B
大学入試センター試験2013年本試 数学ⅡB第2問 解説図B  
図C
大学入試センター試験2013年本試 数学ⅡB第2問 解説図C

$f'(x)=0$となる$x$が2個のときは図D、1個のときは図E、ないときは図Fのような形になる。


ここで、3点$(-a,3a^{3})$、$(a,-a^{3})$、$(0,0)$を通る放物線$C$を考える。

図D
大学入試センター試験2013年本試 数学ⅡB第2問 解説図D

復習

2次関数の式は、 $y=ax^{2}+bx+c$展開した形 $y=a(x-p)^{2}+q$平方完成した形 $y=a(x-\alpha)(x-\beta)$因数分解した形 の3通りの書き方があり、問題に応じて使い分ける。

頂点や軸の情報があるときには、平方完成した形 $x$軸との交点が2か所分かっているときには、因数分解した形 それらの情報がない時には、展開した形 を使うのだった。

今回は頂点も軸も分からないし、$x$軸との交点も1か所しか分からないので、展開した形を使おう。

$C$の方程式を$y=px^{2}+qx+r$とおくと、
$(-a,3a^{3})$、$(a,-a^{3})$、$(0,0)$を代入して、
$\left\{\begin{array}{l}
p(-a)^{2}+q(-a)+r=3a^{3}\\
p\cdot a^{2}+q\cdot a+r=-a^{3}\\
r=0
\end{array}\right.$
より、
$\left\{\begin{array}{l}
a^{2}p-aq=3a^{3}\\
a^{2}p+aq=-a^{3}
\end{array}\right.$式A
の連立方程式を解けばよい。
問題より$0 \lt a$なので、$a\neq 0$だから、式Aの両辺を$a$で割った
$\left\{\begin{array}{l}
ap-q=3a^{2}\\
ap+q=-a^{2}
\end{array}\right.$式A'
を解く。
確認だけど、今求める文字は$p,q$で、$a$は数字扱いだ。

式A'の上の式と下の式で加減法をしよう。
$+)$$ ap-q=3a^{2}$
$\underline{+)ap+q=-a^{2}}$
$+)$$ 2ap=2a^{2}$
$p=\displaystyle \frac{2a^{2}}{2a}$
$p$$=a$
これを式A'の下の式に代入して、
$a^{2}+q=-a^{2}$
$q=-2a^{2}$
となるので、$C$の方程式は
$y=ax^{2}-2a^{2}x$式B
である。

解答ク:a, ケ:2, コ:2


次は、$C$の$(0,0)$における接線$\ell$だ。
式Bで$C$の方程式は分かっているので、勝ったも同然。

式Bを微分して、
$y'=2ax-2a^{2}$
これに$x=0$を代入すると$-2a^{2}$なので、$\ell$の式は
$y=-2a^{2}x$式C
である。

解答サ:-, シ:2, ス:2

$\ell$に垂直な直線傾きを$b$とすると、
$-2a^{2}\times b=-1$
$b=\displaystyle \frac{1}{2a^{2}}$
なので、$m$の式は
$y=\displaystyle \frac{1}{2a^{2}}x$式D
となる。

解答セ:2, ソ:2


ここまでで分かったことをグラフにして整理した。

図E
大学入試センター試験2013年本試 数学ⅡB第2問 解説図E

図Eの赤い斜線の部分の面積$S$を求める。

まず、$D$と$\ell$の交点を求めよう。
式Cと$D$の式の連立方程式を解く。
$-ax^{2}+2a^{2}x=-2a^{2}x$
$ax^{2}-4a^{2}x=0$
$ax(x-4a)=0$
より、
$x=0,4a$
$y$座標は求める必要はない。

よって、$S$は、
$S=\displaystyle \int_{0}^{4a}\{(-ax^{2}+2a^{2}x)-(-2a^{2}x)\}dx$
とかけるけど、二次式と1次式に囲まれた面積なので、$\displaystyle \frac{1}{6}$公式が使えるから、普通に積分してはいけない。
$S=\displaystyle \int_{0}^{4a}(-ax^{2}+4a^{2}x)dx$
$S\displaystyle $$\displaystyle =-a\int_{0}^{4a}(x^{2}-4ax)dx$

$\displaystyle \frac{1}{6}$公式より、
$S$$=-a\cdot\left\{-\frac{1}{6}(4a-0)^{3}\right\}$
$S\displaystyle $$\displaystyle =\frac{4^{3}}{6}a^{4}$
$S\displaystyle $$\displaystyle =\frac{32}{3}a^{4}$式E
となる。

解答タ:3, チ:2, ツ:3, テ:4


$C$と$m$の交点は、式Bと式Dの連立方程式を解いて、
$ax^{2}-2a^{2}x=\displaystyle \frac{1}{2a^{2}}x$
両辺を$2a^{2}$倍して、
$2a^{3}x^{2}-4a^{4}x=x$
$2a^{3}x^{2}-(4a^{4}+1)x=0$
$x\{2a^{3}x-(4a^{4}+1)\}=0$
より、
$x=0,\displaystyle \frac{4a^{4}+1}{2a^{3}}$

解答ト:4, ナ:3


ここでちょっと整理しよう。
$C$と$D$は$x$軸に関して対称。
$m$と$\ell$が$x$軸に関して対称であれば、
$C$と$m$に囲まれた面積と、$D$と$\ell$に囲まれた面積が等しくなると考えられる。

式Cより、$\ell$の式は、
$y=-2a^{2}x$
$x$軸に関して対称移動すると、
$-y=-2a^{2}x$
$y=2a^{2}x$
これが$m$の式$y=\displaystyle \frac{1}{2a^{2}}x$と等しくなればよいので、
$2a^{2}=\displaystyle \frac{1}{2a^{2}}$
$4a^{4}=1$
ここで問題文のマスを見ると、$a^{4}$の値を答えればよいので、$a$を求める必要はない。
よって、
$a^{4}=\displaystyle \frac{1}{4}$式F

解答ニ:1, ヌ:4

別解1

$T$の面積も、$S$と同様に$\displaystyle \frac{1}{6}$公式が使える。
$\displaystyle \frac{1}{6}$公式について復習すると、

復習

$\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta}(x^{2}+bx+c)dx=-\frac{1}{6}(\beta-\alpha)^{3}$
ただし、$\alpha,\beta$は$x^{2}+bx+c=0$の解
だった。

もし$\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta}(ax^{2}+bx+c)dx$のように$x^{2}$の項の係数が$1$でない場合は、
$a\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta}\left(x^{2}+\frac{b}{a}x+\frac{c}{a}\right)dx$
のように変形して、$x^{2}$の係数を$1$にしてから使う。

これから分かるのは、$\displaystyle \frac{1}{6}$公式が使える場合、結果に関係するのは$x^{2}$の係数と$\alpha,\beta$のみだということ。
今解いている問題にあてはめて考えてみると、
$S$も$T$も、
積分記号の中の$x^{2}$の係数は$-a$で共通。
積分の下限(復習での$\alpha$)は、$0$で共通。
積分の上限(復習での$\beta$)は、$4a$と$\displaystyle \frac{4a^{4}+1}{2a^{3}}$。
ということは、$4a$と$\displaystyle \frac{4a^{4}+1}{2a^{3}}$が等しければ、$S=T$になるはず。

よって、
$4a=\displaystyle \frac{4a^{4}+1}{2a^{3}}$
両辺に$2a^{3}$をかけて、
$8a^{4}=4a^{4}+1$
$4a^{4}=1$
$a^{4}=\displaystyle \frac{1}{4}$式F

解答ニ:1, ヌ:4

別解2

ゼンゼンおすすめじゃないけど、真っ正直に解いてみる方法もある。
$T$は、
$T=\displaystyle \int_{0}^{\frac{4a^{4}+1}{2a^{3}}}\left\{\frac{1}{2a^{2}}x-(ax^{2}-2a^{2}x)\right\}dx$
とかける。これを変形して、
$T\displaystyle $$\displaystyle =\int_{0}^{\frac{4a^{4}+1}{2a^{3}}}\left\{-ax^{2}+\left(\frac{1}{2a^{2}}+2a^{2}\right)x\right\}dx$
$T\displaystyle $$\displaystyle =-a\int_{0}^{\frac{4a^{4}+1}{2a^{3}}}\left\{x^{2}-\left(\frac{1}{2a^{2}}+2a^{2}\right)x\right\}dx$
$\displaystyle \frac{1}{6}$公式を使って、
$T=-a\cdot\left\{-\frac{1}{6}\left(\frac{4a^{4}+1}{2a^{3}}-0\right)^{3}\right\}$
$T\displaystyle $$\displaystyle =\frac{a}{6}\cdot\left(\frac{4a^{4}+1}{2a^{3}}\right)^{3}$式G
これが$S$と等しくなればいいので、
$\displaystyle \frac{a}{6}\cdot\left(\frac{4a^{4}+1}{2a^{3}}\right)^{3}=\frac{32}{3}a^{4}$式H
両辺に$\displaystyle \frac{6}{a}$をかけて、
$\left(\frac{4a^{4}+1}{2a^{3}}\right)^{3}=2\times 32a^{3}$
$\left(\frac{4a^{4}+1}{2a^{3}}\right)^{3}=2^{6}a^{3}$
両辺の3乗根をとって、
$\displaystyle \frac{4a^{4}+1}{2a^{3}}=2^{2}a$
両辺に$2a^{3}$をかけて、
$4a^{4}+1=2^{3}a^{4}$
$4a^{4}+1$$=8a^{4}$
$4a^{4}=1$
$a^{4}=\displaystyle \frac{1}{4}$式F
となる。計算が結構大変だ。式Gの( )内を展開したりするとメチャクチャになる。

アドバイス

ややこしい計算をする時は、式Hのように早めに等式にする。
等式にすれば、両辺にかけたり割ったり3乗根をとったり、いろいろと技が使える。
それから、無意識に展開しない。数学の計算の基本は因数分解である。

解答ニ:1, ヌ:4

最後は、$S=T$のときの$S$を求める。
式Fを式Eに代入するだけだから、簡単簡単。
$S=\displaystyle \frac{32}{3}\cdot\frac{1}{4}$
$S\displaystyle $$\displaystyle =\frac{8}{3}$

解答ネ:8, ノ:3