大学入試センター試験 2013年(平成25年) 本試 数学ⅡB 第5問 解説
(1)
7点を仮平均として、平均点$\mathrm{A}$を計算すると、
$\displaystyle \mathrm{A}=7+\frac{1}{10}(2+3-3+0+3-2-2+0-1+0)$
$\mathrm{A}$$=7$
である。
解答ア:7, イ:0
番号 | 国語 | ||
---|---|---|---|
得点 $x_{n}$ |
偏差 $x_{n}-\overline{x}$ |
偏差2 $(x_{n}-\overline{x})^{2}$ |
|
生徒1 | 9 | 2 | 4 |
生徒2 | 10 | 3 | 9 |
生徒3 | 4 | -3 | 9 |
生徒4 | 7 | 0 | 0 |
生徒5 | 10 | 3 | 9 |
生徒6 | 5 | -2 | 4 |
生徒7 | 5 | -2 | 4 |
生徒8 | 7 | 0 | 0 |
生徒9 | 6 | -1 | 1 |
生徒10 | 7 | 0 | 0 |
合計 | 0 | 40 | |
平均値 | 7.0 | ||
分散 | B |
復習
データの大きさを$n$
それぞれのデータを$x_{1},\ x_{2},\ x_{3},\ \ldots\ x_{n}$
平均値を$\overline{x}$
としたとき、分散$s^{2}$は
$s^{2}=\displaystyle \frac{1}{n}\left\{(x_{1}-\overline{x})^{2}+(x_{2}-\overline{x})^{2}+(x_{3}-\overline{x})^{2}+\right.$
$\left.\cdots+(x_{n}-\overline{x})^{2}\right\}$式A
$s^{2}$$=\overline{x^{2}}-\left(\overline{x}\right)^{2}$式B
だった。
今回はそれぞれの得点も平均値も整数だし、式Aの方が計算が楽かも。
国語の偏差の2乗和($(x_{n}-\overline{x})^{2}$の合計)を計算したものが、表Aである。
表Aより、国語の分散$\mathrm{B}$は、
$\displaystyle \mathrm{B}=\frac{40}{10}$
$\mathrm{B}$$=4$
となる。
解答ウ:4, エ:0, オ:0
復習
中央値は、データを小さい順(大きい順でもいいけど)に並べたとき、
データが奇数個のときには、ちょうど真ん中にある数
データが偶数個のときには、中央2つの数の平均
データの大きさは10なので、5番目と6番目の平均値を出せばよい。
国語の得点を小さい順に並べると、
4, 5, 5, 6, 7, 7, 7, 9, 10, 10
となり、5番目も6番目も7。
よって、中央値は7である。
解答カ:7, キ:0
(2)
英語に関して、国語と同じように偏差および偏差の2乗を計算すると、表Bになる。
番号 | 英語 | ||
---|---|---|---|
得点 $z_{n}$ |
偏差 $z_{n}-\overline{z}$ |
偏差2 $(z_{n}-\overline{z})^{2}$ |
|
生徒1 | 9 | 1 | 1 |
生徒2 | 9 | 1 | 1 |
生徒3 | 8 | 0 | 0 |
生徒4 | 6 | -2 | 4 |
生徒5 | 8 | 0 | 0 |
生徒6 | C | C-8 | $(\mathrm{C}-8)^{2}$ |
生徒7 | 8 | 0 | 0 |
生徒8 | 9 | 1 | 1 |
生徒9 | D | D-8 | $(\mathrm{D}-8)^{2}$ |
生徒10 | 7 | -1 | 1 |
合計 | 0 | E | |
平均値 | 8.0 | ||
分散 | 1.00 |
クケについては、
得点の和$=$平均値$\times$データの大きさ
としてもよいけれど、今回は
偏差の和$=$0
から求めよう。
偏差の和は、
$1+1-2+(\mathrm{C}-8)+1+(\mathrm{D}-8)-1=0$
なので、
$\mathrm{C}+\mathrm{D}=16$式C
である。
解答ク:1, ケ:6
次に、偏差の2乗和Eは、
$\mathrm{E}=1+1+4+(\mathrm{C}-8)^{2}+1+(\mathrm{D}-8)^{2}+1$
$\mathrm{E}$$=(\mathrm{C}-8)^{2}+(\mathrm{D}-8)^{2}+8$式D
また、分散が$1$,データの大きさが$10$なので、同じEは
$\displaystyle \frac{\mathrm{E}}{10}=1$
$\mathrm{E}=10$式E
式D=式Eなので、
$(\mathrm{C}-8)^{2}+(\mathrm{D}-8)^{2}+8=10$
$(\mathrm{C}-8)^{2}+(\mathrm{D}-8)^{2}=2$式F
となる。
解答コ:2
式Cと式Fの連立方程式を解く。
式Cより、
$\mathrm{D}=16-\mathrm{C}$式C'
これを式Fに代入して、
$(\mathrm{C}-8)^{2}+(16-\mathrm{C}-8)^{2}=2$
$(\mathrm{C}-8)^{2}+(8-\mathrm{C})^{2}=2$
$(\mathrm{C}-8)^{2}+\{-(\mathrm{C}-8)\}^{2}=2$
$2(\mathrm{C}-8)^{2}=1$
$\mathrm{C}-8=\pm 1$
$\mathrm{C}=7,9$
これを式C'に代入して、
$\mathrm{D}=9,7$
問題文より$\mathrm{C} \gt \mathrm{D}$なので、
$\left\{\begin{array}{l}
\mathrm{C}=9\\
\mathrm{D}=7
\end{array}\right.$
である。
解答サ:9, シ:7
これで得点表が完成できた。
番号 | 国語 $x$ |
英語 $z$ |
生徒1 | 9 | 9 |
生徒2 | 10 | 9 |
生徒3 | 4 | 8 |
生徒4 | 7 | 6 |
生徒5 | 10 | 8 |
生徒6 | 5 | 9 |
生徒7 | 5 | 8 |
生徒8 | 7 | 9 |
生徒9 | 6 | 7 |
生徒10 | 7 | 7 |
平均値 | 7.0 | 8.0 |
分散 | 4.00 | 1.00 |
(3)
4つの相関図で、違っているところを見つけよう。 図Dで、4つの相関図で共通する点は黒で、異なる点は他の色で示した。なので、黒以外の点を確認しよう。
まず、0・3にあって1・2にない$(x,z)=(7,8)$の赤い点だけど、表Cを見ると$(7,8)$というデータは存在しない。なので、0・3は除外。
次に、1と2で位置が違う、オレンジ色の点を確認しよう。表Cを見ると、$x=10$の点は$(10,9)$と$(10,8)$の2つ。1にある$(10,7)$は存在しない。なので、1も除外。
以上より、当てはまるものは2である。
解答ス:2
復習
相関係数について復習しておこう。
共分散を$s_{xy}$とすると、
$s_{xy}=\displaystyle \frac{1}{n}\{(x_{1}-\overline{x})(y_{1}-\overline{y})+(x_{2}-\overline{x})(y_{2}-\overline{y})$+
$\cdots+(x_{n}-\overline{x})(y_{n}-\overline{y})\}$式G
$s_{xy}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n}x_{k}\cdot y_{k}-\overline{x}\cdot\overline{y}$式H
この共分散$s_{xy}$を、$x,\ y$それぞれの標準偏差の積で割った、
$r_{xy}=\displaystyle \frac{s_{xy}}{s_{x}\cdot s_{y}}$式I
が相関係数だった。
なので、まず共分散を求める。
今回は式Hよりも式Gの方が計算が楽そうなので、最初に偏差の公差積$(x_{n}-\overline{x})(z_{n}-\overline{z})$を求めよう。表A・Bで偏差は計算済みなので、あとはかけ算をするだけ。
計算結果は表Eを見てほしい。
公差積の合計は$4$なので、平均値は$0.4$。これが共分散$s_{xz}$である。
これを国語と英語の標準偏差の積で割ると、相関係数だ。
復習
標準偏差$s$は、分散を$s^{2}$とすると、
$s=\sqrt{s^{2}}$
だった。
なので、相関係数$r_{xz}$は、
$r_{xz}=\displaystyle \frac{0.4}{\sqrt{4}\cdot\sqrt{1}}$
$r_{xz}$$=0.2$
である。
解答セ:0, ソ:2, タ:0, チ:0
番号 | 国語 | 英語 | 公差積 $(x_{n}-\overline{x})\times$ $(z_{n}-\overline{z})$ |
||
---|---|---|---|---|---|
得点 $x_{n}$ |
偏差 $x_{n}-\overline{x}$ |
得点 $z_{n}$ |
偏差 $z_{n}-\overline{z}$ |
||
生徒1 | 9 | 2 | 9 | 1 | 2 |
生徒2 | 10 | 3 | 9 | 1 | 3 |
生徒3 | 4 | -3 | 8 | 0 | 0 |
生徒4 | 7 | 0 | 6 | -2 | 0 |
生徒5 | 10 | 3 | 8 | 0 | 0 |
生徒6 | 5 | -2 | 9 | 1 | -2 |
生徒7 | 5 | -2 | 8 | 0 | 0 |
生徒8 | 7 | 0 | 9 | 1 | 0 |
生徒9 | 6 | -1 | 7 | -1 | 1 |
生徒10 | 7 | 0 | 7 | -1 | 0 |
合計 | 0 | 0 | 4 | ||
平均値 | 7.0 | 8.0 | 0.4 | ||
分散 | 4.00 | 1.00 |
(4)
国語と数学の相関係数$r_{xy}$が$-0.125$、国語の分散が$4$、数学の分散が$1.44$なので、式Iより、
$\displaystyle \frac{s_{xy}}{\sqrt{4}\cdot\sqrt{1.44}}=-0.125$
$s_{xy}=-0.125\cdot\sqrt{4}\cdot\sqrt{1.44}$
$s_{xy}$$=-0.125\cdot 2\cdot 1.2$
$s_{xy}$$=-0.3$
なので、国語と数学の共分散は$-0.3$。
共分散は公差積の平均値なので、公差積の合計は共分散を人数倍した$-3$。
ややこしくなってきたから、ここまでの内容を表に整理しよう。
番号 | 国語 | 数学 | 国語+数学 | 公差積 $(x_{n}-\overline{x})\times$ $(y_{n}-\overline{y})$ |
---|---|---|---|---|
得点 $x_{k}$ |
得点 $y_{k}$ |
得点 $w_{k}=x_{k}+y_{k}$ |
||
生徒1 | 9 | $y_{1}$ | $w_{1}$ | |
生徒2 | 10 | $y_{2}$ | $w_{2}$ | |
生徒3 | 4 | $y_{3}$ | $w_{3}$ | |
生徒4 | 7 | $y_{4}$ | $w_{4}$ | |
生徒5 | 10 | $y_{5}$ | $w_{5}$ | |
生徒6 | 5 | $y_{6}$ | $w_{6}$ | |
生徒7 | 5 | $y_{7}$ | $w_{7}$ | |
生徒8 | 7 | $y_{8}$ | $w_{8}$ | |
生徒9 | 6 | $y_{9}$ | $w_{9}$ | |
生徒10 | 7 | $y_{10}$ | $w_{10}$ | |
合計 | F | G | F+G | -3 |
平均値 | 7.0 | 5.4 | $\displaystyle \frac{\mathrm{F}+\mathrm{G}}{10}$ | -0.3 |
分散 | 4.00 | 1.44 | $s_{w}^{2}$ | |
相関 係数 |
-0.125 |
表ができたところで、問題を解く。
表Fで、$w_{\mathrm{k}}$の平均値$\overline{w}$は、$\displaystyle \frac{\mathrm{F}+\mathrm{G}}{10}=\frac{\mathrm{F}}{10}+\frac{\mathrm{G}}{10}$。
$\displaystyle \frac{\mathrm{F}}{10}$は国語の平均値で、7.0。
$\displaystyle \frac{\mathrm{G}}{10}$は数学の平均値で、5.4。
よって、
$\overline{w}=7.0+5.4$
$\overline{w}$$=12.4$
解答ツ:1, テ:2, ト:4
次は$T$だ。何やらややこしそうな式だけど、よく見ると公差積の合計である。なので、表Fより、$-3$。
解答ナ:-, ニ:3, ヌ:0, ネ:0, ノ:0
さらに国数の分散$s_{w}^{2}$を計算するようだ。
問題文中の
$s_{w}^{2}=\displaystyle \frac{(w_{1}-\overline{w})^{2}+\cdots+(w_{10}-\overline{w})^{2}}{10}$
に、その2行上の式
$(w_{k}-\overline{w})^{2}=\{(x_{k}-\overline{x})+(y_{k}-\overline{y})\}^{2}$
を代入すると、
$s_{w}^{2}=\displaystyle \frac{1}{10}[\{(x_{1}-\overline{x})+(y_{1}-\overline{y})\}^{2}$
$\cdots+\{(x_{10}-\overline{x})+(y_{10}-\overline{y})\}^{2}]$
面倒だけど{ }内を展開しよう。
$s_{w}^{2}=\displaystyle \frac{1}{10}\{(x_{1}-\overline{x})^{2}+2(x_{1}-\overline{x})(y_{1}-\overline{y})+(y_{1}-\overline{y})^{2}$
$\cdots+(x_{10}-\overline{x})+2(x_{10}-\overline{x})(y_{10}-\overline{y})$
$+(y_{10}-\overline{y})^{2}\}$
$s_{w}^{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{10}\{(x_{1}-\overline{x})^{2}+\cdots+(x_{10}-\overline{x})$
$+2(x_{1}-\overline{x})(y_{1}-\overline{y})+\cdots+2(x_{10}-\overline{x})(y_{10}-\overline{y})$
$+(y_{1}-\overline{y})^{2}+\cdots+(y_{10}-\overline{y})^{2}\}$
$s_{w}^{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{10}\{(x_{1}-\overline{x})^{2}+\cdots+(x_{10}-\overline{x})\}$
$+\displaystyle \frac{2}{10}\{(x_{1}-\overline{x})(y_{1}-\overline{y})+\cdots+2(x_{10}-\overline{x})(y_{10}-\overline{y})\}$
$+\displaystyle \frac{1}{10}\{(y_{1}-\overline{y})^{2}+\cdots+(y_{10}-\overline{y})^{2}\}$式J
この式の1行目は$x$の分散なので$s_{x}^{2}$、
3行目は$y$の分散なので$s_{y}^{2}$とかける。
また、2行目は$x$と$y$の共分散の2倍。
$T$を人数の$10$で割ったものが共分散なので、共分散は$\displaystyle \frac{1}{10}T$とかけるから、2行目は$\displaystyle \frac{1}{5}T$。
よって、式Jは、
$s_{w}^{2}=s_{x}^{2}+s_{y}^{2}+\displaystyle \frac{1}{5}T$式J'
となる。
解答ハ:1
表Fより、$s_{x}^{2}=4$、$s_{y}^{2}=1.44$、$T=-3$なので、式J'は
$s_{w}^{2}=4+1.44+\displaystyle \frac{1}{5}(-3)$
$s_{w}^{2}$$=4.84$
となる。
解答ヒ:4, フ:8, ヘ:4