大学入試センター試験 2019年(平成31年) 追試 数学ⅠA 第4問 解説

ア~エ

最初は単純な計算だ。

$ 560=16\times$アイ
なので、
アイ$=\displaystyle \frac{560}{16}$
            $=\displaystyle \frac{70}{2}$
            $=35$
となる。

解答ア:3, イ:5

また
$ 560=13\times$ウエ$+1$
なので、
$ 13\times$ウエ$=560-1$
ウエ$=\displaystyle \frac{559}{13}$
            $=43$
である。

解答ウ:4, エ:3

(1)

アイウエより、式①,式②は
$560=16\times 35$
$560=13\times 43+1$
となる。

①と②の連立方程式より、
$16\times 35=13\times 43+1$式A
とかけるので、
$(x,y)=(35,43)$
は、不定方程式
$16x=13y+1$
の解のひとつである。


解のひとつが見つかったので、あとはいつも通りに解こう。

式Aの両辺を$c$倍して、
$16\times 35c=13\times 43c+c$式A'
これを、不定方程式
$16x=13y+c$
から辺々引くと、

$16x$ $=$ $13y$ $+c$
$-)$ $16\times 35c$ $=$ $13\times 43c$ $+c$
$16(x-35c)$ $=$ $13(y-43c)$ 式B

とかける。

ここで、$16$と$13$は互いに素なので、式Bが成り立つためには、$s$を整数として
$\left\{\begin{array}{l}
x-35c=13s\\
y-43c=16s
\end{array}\right.$
でなければならない。

なので、すべての整数解は
$\left\{\begin{array}{l}
x=13s+35c\\
y=16s+43c
\end{array}\right.$
と表せる。

解答オ:1, カ:3, キ:1, ク:6

(2)

①より
$560=16\times 35$
なので、$560$は$16$の倍数だ。

$k$の式は
$k=$$560^{2}$$+$$560q$$+r$
だけど、緑の項は$16$の倍数だから、$k$が$16$の倍数であるためには
$r$が$16$の倍数
でなければならない。

解答ケ:1, コ:6


②より
$560=13\times 43+1$
だけど、この両辺を2乗すると
$560^{2}=(13\times 43+1)^{2}$
$560^{2}$$=(13\times 43)^{2}+2(13\times 43)\times 1+1^{2}$
$560^{2}$$=$$(13\times 43)^{2}$$+$$2(13\times 43)$$+$$1$
となる。

この式の緑の項は$13$の倍数なので、$560^{2}$を$13$で割った余りは赤い部分の
$1$
である。

解答サ:1

よって、$560^{2}$は、$n$を整数として
$560^{2}=13n+1$式C
とかける。

式②と式Cを$k$の式に代入すると、
$k=(13n+1)+(13\times 43+1)q+r$
より
$k=$$13n$$+$$13\times 43q$$+$$1+q+r$
となる。

この式の緑の項は$13$の倍数だから、$k$が$13$の倍数であるためには、赤い部分の
$1+q+r$が$13$の倍数
でなければならない。

解答シ:1, ス:3

(3)

$k$は$16$でも$13$でも割り切れるから、$16$と$13$の公倍数だ。
したがって、$k$は$16$と$13$の最小公倍数
$16\times 13=208$
の倍数である。

ここでちょっと倍数の復習をしておくと、

復習

連続する$n$個の整数には、$n$の倍数が含まれる

だったから、連続する$208$個の整数の中には、$16$と$13$の公倍数が含まれていることが分かる。

問題文より
$k=560^{2}+560q+r$
だけど、
$k$を$560^{2}$で割った余りが$l$なので、
$0\leqq l \lt 560^{2}$
$l$を$560$で割った商が$q$なので、
$0\leqq q \lt 560$式D
$l$を$560$で割った余りが$r$なので、
$0\leqq r \lt 560$式E
である。

なので、$r$は
$\left.\begin{array}{l} 0\\ 1\\ \vdots\\ 558\\ 559 \end{array}\right\}560$個の整数
の連続した整数のどれか。

よって、$q$が定数のとき、$k$は
$\left.\begin{array}{l} 560^{2}+560q+0\\ 560^{2}+560q+1\\ \vdots\\ 560^{2}+560q+558\\ 560^{2}+560q+559 \end{array}\right\}560$個の整数
の連続した整数のどれかだ。

連続する$208$個の整数の中には$16$と$13$の公倍数が含まれているので、この連続する$560$個の整数の中にも$16$と$13$の公倍数が含まれている。
ってことは、$q$の値が何であっても、$16$と$13$の公倍数の$k$はできるわけだ。

今求めているのは$k$が最小の数のときなので、$q$はできるだけ小さい数だ。
式Dより、
$0\leqq q \lt 560$
なので、求める$q$は
$q=0$
である。

解答セ:0

アドバイス

ここまで、考え方を説明したのでちょっと長い解説になったけど、分かってしまえば解くのは一瞬だ。


次は$r$だ。

$q=0$であるのが分かっているので、
$k=560^{2}+r$
である。
これが$208$の倍数になればよい。

ここからは頭を使わずに手を使う。
$560^{2}$を$208$で割る。(笑)

$560^{2}=313600$

$313600\div 208$は、筆算すると

1 5 0 7
2 0 8 ) 3 1 3 6 0 0
2 0 8
1 0 5 6
1 0 4 0
1 6 0 0
1 4 5 6
1 4 4
なので、
$1507$余り$144$だ。

余りが$144$なので、
$208-144=64$
より、あと$64$あったら$208$で割り切れる。
よって、$k$が$208$で割り切れる最小の数のとき、
$k=560^{2}+r$
の$r$は
$r=64$
である。

解答ソ:6, タ:4

アドバイス

余りが$144$なので、例えば
$k=560^{2}+r$
の$r$が$-144$でも$k$は$208$で割り切れる。
けれど、式Eより
$0\leqq r \lt 560$
なので、$r=-144$は不適。

また、例えば$r$が
$64+208=272$
のときにも$k$は$208$で割り切れ、これは式Eの$r$の範囲にも入っている。
けれど、$k$が最小のときを問われているので、やっぱり不適である。

アドバイス

$r$については、何の技も使わずに解いた。
一次不定方程式に持ち込む方法もあるけど、かえって時間がかかると思う。
センター試験では、こんな感じで、頭よりも手を使って解いた方が速いことも多い。

(4)

問題文より、$m$を$0$以上の整数として、
$\sqrt{k}$が自然数のとき、
$k=(560+m)^{2}$
とかける。
これを展開すると
$k=560^{2}+2\cdot 560m+m^{2}$
となる。
この式を
$k=560^{2}+560q+r$
と見比べて、
$\left\{\begin{array}{l}
q=2m\\
r=m^{2}
\end{array}\right.$式F
という式が出来る。

$k$は$16$の倍数かつ$13$の倍数なので、(2)より
$r$は$16$の倍数 $1+q+r$は$13$の倍数 だから、$t$,$u$を整数として、
$r=16t$ $1+q+r=13u$ とかける。

この2つの式に式Fを代入すると、
$m^{2}=16t$式G $1+2m+m^{2}=13u$ より
$(m+1)^{2}=13u$式H
という2つの式ができる。


式Gの両辺の正の平方根をとると、
$m=\sqrt{16t}$
$m$$=4\sqrt{t}$
より、$m$は$4$の倍数である。

式Hの両辺の正の平方根をとると、
$m+1=\sqrt{13u}$
だけど、これが整数になるので、$u$は$13$の倍数でなければならない。

なので、$u'$を整数として、
$u=13u'$
とおくと、
$m+1=\sqrt{13\cdot 13u'}$
$m+1$$=13\sqrt{u'}$
より、$m+1$は$13$の倍数である。


以上から、
$\left\{\begin{array}{l}
m\text{は}4\text{の倍数}\\
m+1\text{は}13\text{の倍数}
\end{array}\right.$
なので、連続した2つの整数で、小さい数は$4$の倍数、大きい数は$13$の倍数であるものを探せばよい。

アドバイス

これからは、頭を使わずに手を使う。
問題文から$m=$チツなので、2桁の数だ。
ということは、$m+1$は最大でも$100$だ。
$1$から$100$までに$13$の倍数は7つしかない。
さらに、$m$が$4$の倍数なので偶数だから、$m+1$は奇数だ。
なので、7つある$13$の倍数の半分は考えなくていい。

アドバイスより、$m+1$の候補になるのは
$13\cdot 1$,$13\cdot 3$,$13\cdot 5$,$13\cdot 7$
の4つ。
このうち、$1$小さい数が$4$の倍数である最小ものを探す。

$m+1=13\cdot 1$
$m+1$$=13$
のとき、
$m=12$
で、$4$の倍数だ。
何だか一発で答えに当たってしまった。
なので、求める$m$は
$12$
である。

解答チ:1, ツ:2


このとき、$q$,$r$の値は、式Fに$m=12$を代入して、
$q=2m$
$q$$=2\cdot 12$
$q$$=24$

解答テ:2, ト:4

$r=m^{2}$
$r$$=12^{2}$
$r$$=144$

解答ナ:1, ニ:4, ヌ:4

となる。