大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 試作問題 数学ⅡBC 第4問 解説
(1)
$\{a_{n}\}$は 初項$3$,公差$p$の等差数列なので、
一般項$a_{n}$は
$a_{n}=3+(n-1)p$②
解答ア:3
$a_{n+1}$は、②の$n$に$n+1$を代入して
$a_{n+1}=3+np$③
$\{b_{n}\}$は初項$3$,公比$r$の等比数列なので、
一般項$b_{n}$は
$b_{n}=3r^{n-1}$
解答イ:3
$b_{n+1}=rb_{n}$なので
$\dfrac{b_{n+1}}{b_{n}}=r$式A
である。
$b_{n}\neq 0$なので、問題文の指示に従って①式の両辺を$b_{n}$で割ると、
$\dfrac{a_{n}b_{n+1}-2a_{n+1}b_{n}+3b_{n+1}}{b_{n}}=\dfrac{0}{b_{n}}$
$a_{n}\cdot\dfrac{b_{n+1}}{b_{n}}-2a_{n+1}+3\cdot \dfrac{b_{n+1}}{b_{n}}=0$
これに式Aを代入すると
$ra_{n}-2a_{n+1}+3r=0$
$$
\begin{align}
2a_{n+1}&=ra_{n}+3r\\
&=r(a_{n}+3)\class{tex_formula}{④}
\end{align}
$$
とかける。
解答ウ:2, エ:3
さらに、問題文の指示通り これに②式,③式を代入すると
$2(3+np)=r\{3+(n-1)p+3\}$式B
となるけど、これは$n$についての恒等式だから、$n$で整理しよう。
式Bより
$6+2pn=3r+rpn-rp+3r$
途中式
この式の$n$が含まれる項を左辺,含まれない項を右辺にまとめると
$-rpn+2pn=3r-rp+3r-6$
$rpn-2pn=rp-6r+6$
ができる。
解答オ:2, カ:6, キ:6
これが$n$についての恒等式なので、連立方程式
$\left\{\begin{array}{ll}
(r-2)p=0 &\class{tex_formula}{式C}\\
r(p-6)+6=0 &\class{tex_formula}{式D}
\end{array}\right.$
がつくれる。
$p\neq 0$ なので、式Cより
$r=2$式E
これを式Dに代入すると、
$2(p-6)+6=0$
$p-6+3=0$
$p=3$
である。
解答ク:3
以上より
$\left\{\begin{array}{l}
\begin{aligned}
a_{n}&=3+3(n-1)\\&=3n\class{tex_formula}{式F}
\end{aligned}\\
b_{n}=3\cdot 2^{n-1}
\end{array}\right.$
なので、すべての自然数$n$について
$\left\{\begin{array}{l}
0 \lt a_{n}\\
0 \lt b_{n}
\end{array}\right.$
となる。
(2)
次に、初項$3$の数列$\{c_{n}\}$を考える。
$\{c_{n}\}$の式
$a_{n}c_{n+1}-4a_{n+1}c_{n}+3c_{n+1}=0$⑥
を変形して$\{c_{n}\}$の漸化式をつくろう。
$c_{n+1}$の項を左辺に、$c_{n}$の項を右辺にまとめて、
$a_{n}c_{n+1}+3c_{n+1}=4a_{n+1}c_{n}$
$(a_{n}+3)c_{n+1}=4a_{n+1}c_{n}$
$0 \lt a_{n}$なので $a_{n}+3\neq 0$ だから、これはさらに
$c_{n+1}=\textcolor{red}{\dfrac{4a_{n+1}}{a_{n}+3}}c_{n}$式G
とかける。
解答ケ:4, コ:3
この式の赤い部分だけとりだして、式Fを代入すると
$$
\begin{align}
\dfrac{4\cdot 3(n+1)}{3n+3}&=\dfrac{4\cdot 3(n+1)}{3(n+1)}\\
&=4
\end{align}
$$
だ。
なので、式Gは
$c_{n+1}=4c_{n}$
となるから、$\{c_{n}\}$は公比$4$の等比数列である。
解答サ:2
(3)
最後は、同じく初項$3$の数列$\{d_{n}\}$だ。
$\{d_{n}\}$の式
$d_{n}b_{n+1}-qd_{n+1}b_{n}+ub_{n+1}=0$⑦
($q$,$u$ は定数)
を変形して、さっきと同じように$\{d_{n}\}$の漸化式をつくろう。
$-qd_{n+1}b_{n}=-d_{n}b_{n+1}-ub_{n+1}$
$qd_{n+1}b_{n}=d_{n}b_{n+1}+ub_{n+1}$
$d_{n+1}=\dfrac{b_{n+1}}{qb_{n}}(d_{n}+u)$⑦'
式Eより、$\{b_{n}\}$の公比は$2$なので、
$b_{n+1}=2b_{n}$
$b_{n}\neq 0$ だから、これはさらに
$\dfrac{b_{n+1}}{b_{n}}=2$
とかける。
これを⑦'式に代入すると、$\{d_{n}\}$の漸化式は
$d_{n+1}=\dfrac{2}{q}(d_{n}+u)$式H
と表せる。
解答シ:2
等比数列の漸化式は、$\alpha$を公比として
$d_{n+1}=\alpha d_{n}$
の形だ。
式Hがこの形になるには
$u=0$
であればよい。
このとき公比は $\cfrac{2}{q}$ だけど、これが$0$より大きく$1$より小さいので、不等式
$0 \lt \dfrac{2}{q} \lt 1$式I
ができる。
この式の
左辺と中辺より
$0 \lt \dfrac{2}{q}$
$0 \lt q$
中辺と右辺より
$\dfrac{2}{q} \lt 1$
$2 \lt q$
だから、式Iを満たす、つまり公比が$0$より大きく$1$より小さくなる$q$の範囲は
$2 \lt q$
である。
解答ス:2, セ:0