大学入学共通テスト 2024年(令和6年) 追試 数学ⅠA 第4問 [1] 解説
(1)
①式を変形すると
$2x(y-2)-3y=0$
$2x(y-2)-3(y-2+2)=0$
$2x(y-2)-3(y-2)-6=0$
より
$\textcolor{red}{(2x-3)}\textcolor{green}{(y-2)}=6$式A
とかける。
解答ア:3, イ:2, ウ:6
別解
ア~ウの式を変形すると、
$2xy-2\,\fbox{ イ }x-\fbox{ ア }\,y+\fbox{ ア }\times\fbox{ イ }-\fbox{ ウ }=0$
となる。
これが①式になるので、
$2\,\fbox{ イ }=4$
$\fbox{ ア }=3$
$\fbox{ ア }\times\fbox{ イ }-\fbox{ ウ }=0$
とかける。
よって、
$\fbox{ ア }=3$
$\fbox{ イ }=2$
$\fbox{ ウ }=6$
である。
解答ア:3, イ:2, ウ:6
いま、$x$,$y$ は整数なので、
式Aの赤い部分の $2x-3$ は
偶数$-$奇数だから、奇数
式Aの緑の部分の $y-2$ は
偶数でも奇数でもいい
といえる。
さらに、式Aより、$2x-3$ は $6$の約数なので、
$6$の奇数の約数の数だけ $2x-3$ が存在する
から、
式Aを満たす $x$,$y$ の組は、$6$の奇数の約数の数だけ存在する
ことになる。
ということで、$6$の奇数の約数の数を数えよう。
$6$を素因数分解すると
$6=2^{1}\times 3^{1}$
となるので、正の奇数の約数は
$3^{0}=1$,$3^{1}=3$
の2個ある。
さらに、正の約数と同じ数だけ負の約数が存在するから、
$6$の奇数の約数は全部で$4$個
ある。
以上より、式Aを満たす、つまり①式を満たす整数 $x$,$y$ の組は4組あることが分かる。
解答エ:4
この部分の別解
上の解では頭を使って解いた。
けれど、この問題で扱う数は $6$ だから、約数の数は多くない。
なので、頭よりも手を使って、全部書き出して考えた方が実は早かったりする。
その方法で解くと、次のようになる。
積が$6$になる整数2つの組をすべて書き出すと、
$(-3,-2)$,$(-1,-6)$,$(1,6)$,$(3,2)$
$(-2,-3)$,$(-6,-1)$,$(6,1)$,$(2,3)$
の8組ある。
よって、$(2x-3,y-2)$の候補は
$$
\begin{align}
(2x-3,y-2)=&(-3,-2),(-1,-6),(1,6),(3,2),\\
&\textcolor{red}{(-2,-3)},\textcolor{red}{(-6,-1)},\textcolor{red}{(6,1)},\textcolor{red}{(2,3)}
\end{align}
$$
の8組あるけど、$2x-3$は奇数じゃないとだめだから、赤い組は不適だ。
以上より、式Aを満たす、つまり①式を満たす整数 $x$,$y$ の組は4組あることが分かる。
解答エ:4
この4組について、
$(2x-3,y-2)=(-3,-2)$ のとき、
$(x,y)=(0,0)$
なので、
$xy=0$
$(2x-3,y-2)=(-1,-6)$ のとき、
$(x,y)=(1,-4)$
なので、
$xy=-4$
$(2x-3,y-2)=(1,6)$ のとき、
$(x,y)=(2,8)$
なので、
$xy=16$
$(2x-3,y-2)=(3,2)$ のとき、
$(x,y)=(3,4)$
なので、
$xy=12$
だ。
よって、$xy$ が最大になるのは、
$(x,y)=(2,8)$
のときである。
解答オ:2, カ:8
(2)
ア~ウより
$2xy-4x-3y=0$①
は
$(2x-3)(y-2)=6$式A
と変形できた。
よって、
$2xy-4x-3y=3a$
は
$$
\begin{align}
(2x-3)(y-2)&=6+3a\\
&=3(a+2)\class{tex_formula}{式B}
\end{align}
$$
と変形できる。
(1)と同様に考えると、
式Bを満たす $x$,$y$ の組は、$3(a+2)$の奇数の約数の数だけ存在する
といえる。
また、正の約数と負の約数は同じ数だけ存在する。
なので、式Bを満たす整数 $x$,$y$ の組がちょうど8個になるのは、
$3(a+2)$ の正の奇数の約数がちょうど4個
のときだ。
一方、偶数の約数に関する条件はないから、偶数の約数はあってもなくてもいい。
偶数の約数があるのは $3(a+2)$ の素因数に $2$ が含まれるときだけど、この $2$ はあってもなくてもいいわけだ。
けれど、素因数に $2$ がある場合は、$2$ がないときよりも $3(a+2)$ の値が大きくなる。
$3(a+2)$ の値が大きくなると、$a$ の値も大きくなる。
いま問われているのは $a$ が最小になる場合なので、値が大きくなるのはNGだ。
したがって、
$3(a+2)$に偶数の約数が存在する
($3(a+2)$の素因数に$2$が含まれる)
場合は不適である。
ということで、
$3(a+2)$ の正の約数がちょうど4個で、全部奇数
の場合を考えよう。
ここで、約数の数について復習しておく。
復習
正の整数 $A$ があり、
$ A=p^{n}\,q^{m}\,r^{\ell}\cdots$
と素因数分解されるとき、$A$の正の約数は
$(n+1)(m+1)(\ell+1)\cdots$
個ある。
復習より、$3(a+2)$ が
$3(a+2)=p^{n}\,q^{m}\,r^{\ell}\cdots$
と素因数分解できるとすると、正の約数の数は
$(n+1)(m+1)(\ell+1)\cdots$
と表せる。
これが4個になればよいので、
$(n+1)(m+1)(\ell+1)\cdots =4$
より
$n=1$,$m=1$,$\ell=0$,$\cdots$
だ。
よって、このとき、$3(a+2)$ は
$3(a+2)=p^{1}\,q^{1}$
と素因数分解でき、$3(a+2)$の素因数のひとつは $3$ なので、これはさらに
$3(a+2)=3^{1}\,q^{1}$
より
$a+2=q$
とかける。
いまは最小の $a$ を求めているから、$q$ が最小のときを考える。
$q$ は$2$,$3$ 以外の素数なので、最小は
$q=5$
のとき。
したがって、最小の $a$ は、
$a+2=5$
より
$a=3$
である。
解答キ:3