大学入学共通テスト 2024年(令和6年) 追試 数学ⅠA 第4問 [2] 解説
解説
$M$,$N$ は、$10$進法では
$M=a\times 7^{2}+b\times 7+c$
$N=c\times 7^{2}+b\times 7+a$
と表せる。
なので、$X=M-N$ は
$a\times 7^{2}$ | $+b\times 7$ | $+c$ | ||
$-)$ | $c\times 7^{2}$ | $+b\times 7$ | $+a$ | |
$(a-c)\times 7^{2}$ | $+(\textcolor{red}{c-a})$ | 式A |
となる。
解答ク:5, ケ:2
式Aより、$X$ を$7$進数にすると
$X=\underbrace{a-c}_{7^{2}\text{の位}} | \underbrace{0}_{7\text{の位}} | \underbrace{\textcolor{red}{c-a}}_{1\text{の位}}{}_{(7)}$式B
とかける.....と言いたいところだけど、話はそれほど簡単じゃない。
復習
$n$ 進数の各桁の数字は $0$ 以上 $n$ 未満の整数
でないといけない。
ところが、
$c+1 \lt a$
より
$c-a \lt -1$
なので、式Bの$1$の位(赤い部分)は負になってしまう。
これを何とかしないといけない。
式Aを
$X=(a-c)\times 7^{2}-\{\underline{-(\textcolor{red}{c-a})}\}$式A'
とすると、下線部は正になって、正の数どうしの引き算になる。
これを計算して、各桁の数字を $0$ 以上 $7$ 未満にする。
ここで、小学校で習った引き算の筆算を思いだそう。
例えば $500-5$ を筆算する場合は、次のような作業をした。
復習
$0$から$5$は引けない。
$10$の位から$1$借りてきたいけれど、$10$の位は$0$だ。
しかたがないから、$100$の位($10^{2}$の位)から$1$借りる。
$10$の位は$10$になる。
ここから$1$借りる。
$1$の位は$10$になる。
あとは普通に引き算をする。
以上より、答えは $495$ だ。
$X=(a-c)\times 7^{2}-\{\underline{-(\textcolor{red}{c-a})}\}$式A'
で復習と同じように考えてみよう。
筆算をする前に、$a-c$,$c-a$ がどのくらいの値かを確認しておく。
問題文より
$-4\leqq-c\leqq-1$
これに
$3\leqq a\leqq 6$
を辺々たすと
$-1\leqq a-c\leqq 5$式C
また、問題文より
$1 \lt a-c$
これと式Cをあわせると
$1 \lt a-c\leqq 5$式D
となるから、
$(a-c)\times 7^{2}$ は $7$進数では$3$桁の数で、
$\underbrace{a-c}_{7^{2}\text{の位}} | \underbrace{0}_{7\text{の位}} | \underbrace{0}_{1\text{の位}}{}_{(7)}$
と表せる。
式Dを変形すると
$1 \lt -(c-a)\leqq 5$
となるから、
$-(c-a)$は$7$進数では$1$桁
である。
よって、式A'を筆算すると、次のようになる。
計算中、$7$進数なので $1$は繰り下がると$7$になっている。
筆算
$0$から$-(c-a)$は引けない。
$7$の位から$1$借りてきたいけれど、$7$の位は$0$だ。
しかたがないから、$7^{2}$の位から$1$借りる。
$7$の位は$7$になる。
ここから$1$借りる。
$1$の位は$7$になる。
あとは普通に引き算をする。
以上より、答えは
$\underbrace{a-c-1}_{7^{2}\text{の位}} | \underbrace{6}_{7\text{の位}} | \underbrace{7+c-a}_{1\text{の位}}{}_{(7)}$
だ。
よって、$X$を$10$進数で表すと
$(a-c-1)\times 7^{2}+6\times 7+(7+c-a)$
となる。
解答コ:6
別解
と、ここまで考えてくると、
「上の筆算みたいなことができるなら、わざわざ$10$進数になおさなくてもいいんじゃない?」
っていう疑問が出てくる。
実はその通りで、$7$進数のままで計算した方が早い。
問題文が$10$進数に変換するように誘導していたから、上ではそうやって解いたけど。
$7$進数のまま計算すると、次のようになる。
筆算
$abc_{(7)}-cba_{(7)}$ を筆算する。
$1$の位から計算するんだけど、$c-a \lt -1$ なので、$c$から$a$は引けない。
$7$の位から$1$借りてきたいけれど、そうすると今度は$7$の位が引けなくなる。
しかたがないから、$7^{2}$の位から$1$借りる。
$7$の位は$7+b$になる。
ここから$1$借りる。
$1$の位は $7+c$ になる。
それぞれの位で引き算をする。
式Dより、引き算の答えは $7^{2}$の位も $1$の位も $0$ 以上 $7$ 未満であることが分かる。
以上より、答えは
$\underbrace{a-c-1}_{7^{2}\text{の位}} | \underbrace{6}_{7\text{の位}} | \underbrace{7+c-a}_{1\text{の位}}{}_{(7)}$
だ。
よって、$X$を$10$進数で表すと
$(a-c-1)\times 7^{2}+6\times 7+(7+c-a)$
となる。
解答コ:6
最後は、たし算だ。
せっかくだから さっきの別解の方法を使って、$7$進数のまま計算することにする。
$X=\underbrace{a-c-1}_{7^{2}\text{の位}} | \underbrace{6}_{7\text{の位}} | \underbrace{7+c-a}_{1\text{の位}}{}_{(7)}$
だから、
$Y=\underbrace{7+c-a}_{7^{2}\text{の位}} | \underbrace{6}_{7\text{の位}} | \underbrace{a-c-1}_{1\text{の位}}{}_{(7)}$
とかける。
この2つを筆算でたすんだけれど、気をつける点は $7$進法なので$7$で$1$繰り上がること。
筆算
$1$の位から順に計算すると、
$1$の位は、
$(7+c-a)+(a-c-1)=6$
$7$の位は、
$6+6=12$
で、$1$繰り上がって、$5$残る
$7^{2}$の位は、
$1+(a-c-1)+(7+c-a)=7$
で、$1$繰り上がって、$0$残る
$7^{3}$の位は、
繰り上がってきた$1$
となる。
よって、$X+Y$ を$7$進法で表したものは
$X+Y=1056_{(7)}$
である。
解答サ:1, シ:0, ス:5, セ:6