大学入学共通テスト 2026年(令和8年) 本試 数学ⅠA 第1問 [1] 解説
(1)
集合$A$,$B$の定義がちょっとイメージしにくいかも知れない。
なので、まず集合の定義から考えよう。
例えば、$a$が
$ a=\alpha^{n}\beta^{m}\cdots$
と素因数分解できる場合、
$\alpha$の倍数は $a$との間に正の公約数$\alpha$をもつから、
$A$の要素である
$\beta$の倍数は $a$との間に正の公約数$\beta$をもつから、
$A$の要素である
$\hspace{70px}\vdots$
ことになる。
なので、このとき、集合$A$は
$ A=\{\alpha$の倍数 または $\beta$の倍数 $\cdots\}$
と考えられる。
$b$と集合$B$についても同じことがいえる。
これを頭に入れて、問題を解こう。
$a=3$
のとき、
$A=\{3$の倍数$\}$式A
なので、集合$A$の要素は
| 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $A$ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
である。
解答ア:6
$$
\begin{align}
b&=4\\
&=2^{2}
\end{align}
$$
のとき、
$B=\{2$の倍数$\}$式B
なので、集合$B$の要素は
| 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $B$ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
である。
解答イ:8
表Aと表Bをあわせると表Cができる。
| 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $A$ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||
| $B$ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
表Cより、
$A\cap B$ は、$A$ にも $B$ にも○がある数なので、表中の赤い部分
解答ウ:3
$A\cap\overline{B}$ は、$A$ に○があって $B$ には○がない数なので、表中の青い部分
解答エ:2
であることが分かる。
別解
式A,式Bより
$$
\begin{align}
A\cap B&=\{3\text{の倍数}\ \cap\ 2\text{の倍数}\}\\
&=\{6\text{の倍数}\}
\end{align}
$$
なので、
$A\cap B=\{6,\ 12,\ 18\}$
解答ウ:3
$$
\begin{align}
A\cap\overline{B}&=\{3\text{の倍数}\ \cap\ \overline{2\text{の倍数}}\}\\
&=\{3\text{の倍数}\ \cap\ \text{奇数}\}
\end{align}
$$
なので、
$A\cap\overline{B}=\{3,\ 9,\ 15\}$
解答エ:2
である。
(2)
(i)
$\overline{A}$に$2$の倍数も$3$の倍数も含まれない
$\hspace{50px}\Updownarrow$
$A$に$2$の倍数と$3$の倍数がすべて含まれる
だから、
$A=\{2$の倍数 または $3$の倍数 $\cdots\}$
である。
よって、(1)の最初に説明した考え方から、$a$を素因数分解すると
$a=2^{n}3^{m}\cdots$
となるので、
$a$は$6$の倍数
だ。
$6$の倍数のうち、$2$以上$9$以下であるのは
$6$
のひとつしかない。
解答オ:6
(ii)
$A\cap\overline{B}=\{5\}$
なので、$5$は集合$A$の要素である。
よって、(1)の最初に説明した考え方から、$a$を素因数分解すると
$ a=5^{n}\cdots$
となるので、
$a$は$5$の倍数
だ。
$5$の倍数のうち、$2$以上$9$以下であるのは
$5$
のひとつしかない。
解答カ:5
このとき、集合$A$は
| 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $A$ | ○ | ○ | ○ | ○ |
となっている。
また、
$A\cap\overline{B}=\{5\}$
なので、$A$の要素のうち
$5$は$B$の要素じゃない
$10$,$15$,$20$ は$B$の要素である
ことが分かる。
$5$は$B$の要素じゃないから、$5$は$b$の素因数じゃない
$10$,$15$,$20$ を素因数分解すると
$\left\{\begin{array}{l}
10=5\cdot 2\\
15=5\cdot 3\\
20=5\cdot 2^{2}
\end{array}\right.$
となるけど、さっき考えたように $5$は$b$の素因数じゃない。
なので、$10$,$15$,$20$ が$B$に含まれるためには
$ b=2^{n}3^{m}\cdots$
でなければならない。
以上より、
$b=6$
であることが分かる。
解答キ:6
別解1
上の解は頭を使って解いたけど、頭を使わずに手を使う方法もある。
$a$も$b$も$2$以上$9$以下の自然数だ。
なので、$a$,$b$の候補は
$\left\{\begin{array}{l}
2\\
3\\
4=2^{2}\\
5\\
6=2\cdot 3\\
7\\
8=2^{3}\\
9=3^{2}
\end{array}\right.$
しかない。
したがって、集合$A$も集合$B$も
$2$の倍数の集合
$3$の倍数の集合
$5$の倍数の集合
$7$の倍数の集合
のどれか1つ、または2つの和集合だ。
こう考えると、全パターンを書き出しても、たいした作業にはならないことが分かる。
というわけで、全パターンを表にすると、表Eができる。
この表Eを使って問題を解く。
| $a$,$b$ | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $2,\ 4,\ 8$ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||
| $3,\ 9$ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||
| $6$ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
| $5$ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||||
| $7$ | ○ | ○ |
アドバイス
別解2で説明する
オカキは $2$,$3$,$4$,$8$,$9$ じゃない
ことに気づくと、表Eの緑の部分はつくらなくていいから、作業はもっと楽になる。
(i)
$\overline{A}$に$2$の倍数も$3$の倍数も含まれない
$\hspace{50px}\Updownarrow$
$A$に$2$の倍数と$3$の倍数がすべて含まれる
だけど、表Eより、これは
$a=6$
のときである。
解答オ:6
(ii)
$A\cap\overline{B}=\{5\}$
なので、$A$に$5$が含まれるけど、表Eより、これは
$a=5$
のときである。
解答カ:5
また、
$A\cap\overline{B}=\{5\}$
なので、$A$の要素のうち
$5$は$B$の要素じゃない
$10$,$15$,$20$ は$B$の要素である
ことが分かる。
表Eを見ると、
$5$に○がない
$10$,$15$,$20$ に○がある
のは
$b=6$
のときしかない。
解答キ:6
別解2
これを別解と言っていいのかなぁ。
かなりいいかげんな解き方だけど、答えを見つけるだけなら これが一番早い。
最初に考えたように、集合$A$,集合$B$の要素は、$a$,$b$を素因数分解したときの素数だけで決まる。
なので、
$2$,$4$,$8$ は素因数が$2$だけだから、
$a$,$b$が $2$,$4$,$8$ のときの集合は等しい
$3$,$9$ は素因数が$3$だけだから、
$a$,$b$が $3$,$9$ のときの集合は等しい
ことになる。
このことから、
$a$,$b$が $2$,$3$,$4$,$8$,$9$ のとき、集合が分かっても、$a$や$b$はひとつに決まらない
ことが分かる。
ということは、$a$や$b$がひとつに決まっているオカキには、$2$,$3$,$4$,$8$,$9$ 以外、つまり
$5$,$6$,$7$式C のどれかが入る。
念のために確認しておくと、
$5$でできるのは$5$の倍数の集合
$7$でできるのは$7$の倍数の集合
だ。
(i)
ここで問われている集合には、$5$の倍数も$7$の倍数も関係ない。
なので、$a$の値は、式Cのうちで $5$,$7$ 以外の
$6$
である。
解答オ:6
(ii)
$A\cap\overline{B}=\{5\}$
なので、$A$は$5$の倍数関係だ。
よって、
$a=5$
である。
解答カ:5
また、
$a\neq b$は明らかで、$a=5$だった
集合$B$に$7$の倍数は関係ない
から、$b$の値は、式Cのうちで $5$,$7$ 以外の
$6$
である。
解答キ:6