大学入試センター試験 2011年(平成23年) 本試 数学ⅡB 第1問 [1] 解説

ア~カ

関数の式を
$ y=\cos 2\theta+\sqrt{3}\sin 2\theta-2\sqrt{3}\cos\theta-2\sin\theta$式A
とする。

$ t=\sin\theta+\sqrt{3}\cos\theta$式B
を見ると、三角関数の合成をしたくなるけど、次の行が
$t^{2}=$
の形なので、まず両辺を2乗しよう。

$ t^{2}=\sin^{2}\theta+2\sqrt{3}\sin\theta\cos\theta+3\cos^{2}\theta$
アイウエの式を見ると$\sin^{2}\theta$がないので、$\sin^{2}\theta=1-\cos^{2}\theta$を代入して消すと、
$ t^{2}=1-\cos^{2}\theta+2\sqrt{3}\sin\theta\cos\theta+3\cos^{2}\theta$
$t^{2}$$=2\cos^{2}\theta+2\sqrt{3}\sin\theta\cos\theta+1$式C
となる。

解答ア:2, イ:2, ウ:3, エ:1


これから、式A,式B,式Cを使って、$y$を$t$の式で表す。
式Aの後半の
$-2\sqrt{3}\cos\theta-2\sin\theta$
の部分は
$-2(\sin\theta+\sqrt{3}\cos\theta)$
と変形できる。この式の$()$内は、式Bより$t$なので、
$-2\sqrt{3}\cos\theta-2\sin\theta=-2t$式D
と書ける。

式Aの前半の
$\cos 2\theta+\sqrt{3}\sin 2\theta$
の式部分には角度が$ 2\theta$の三角比があるので、
解法1
2倍角の公式から式Cを$ 2\theta$の三角比に変換する
解法2 2倍角の公式から式Aを$\theta$の三角比に変換する のどちらかの方法をとる。

それぞれの解法に入る前に、2倍角の公式の復習をしておこう。

公式

$\sin 2\theta=2\sin\theta\cos\theta$
$\cos 2\theta=\cos^{2}\theta-\sin^{2}\theta$
$\cos 2\theta$$=2\cos^{2}\theta-1$
$\cos 2\theta$$=1-2\sin^{2}\theta$
$\displaystyle \tan 2\theta=\frac{2\tan\theta}{1-\tan^{2}\theta}$

解法1

公式より、
$ 2\sin\theta\cos\theta=\sin 2\theta$ $2\cos^{2}\theta=\cos 2\theta+1$

これを式Cに代入して、
$t^{2}=(\cos 2\theta+1)+\sqrt{3}(\sin 2\theta)+1$
$t^{2}=\cos 2\theta+\sqrt{3}\sin 2\theta+2$
$\cos 2\theta+\sqrt{3}\sin 2\theta=t^{2}-2$式C'

式C'と式Dを式Aに代入して、
$y=t^{2}-2-2t$
$y$$=t^{2}-2t-2$式E
である。

解答オ:2, カ:2

解法2

ストーリーを簡単にするために、先に式Aに式Dを代入しておこう。
$y=\cos 2\theta+\sqrt{3}\sin 2\theta-2t$
2倍角の公式を代入して、
$y=(\cos^{2}\theta-\sin^{2}\theta)+\sqrt{3}(2\sin\theta\cos\theta)-2t$
$y=(\cos^{2}\theta-\sin^{2}\theta)+2\sqrt{3}\sin\theta\cos\theta-2t$
この式に式Cを代入したい。

式Cには$\sin^{2}\theta$がないので、$\sin^{2}\theta=1-\cos^{2}\theta$を代入して消すと、
$y=\{\cos^{2}\theta-(1-\cos^{2}\theta)\}+2\sqrt{3}\sin\theta\cos\theta-2t$
$y$$=(2\cos^{2}\theta-1)+2\sqrt{3}\sin\theta\cos\theta-2t$
$y$$=2\cos^{2}\theta+2\sqrt{3}\sin\theta\cos\theta-2t-1$式A'

式Cを
$t^{2}=2\cos^{2}\theta+2\sqrt{3}\sin\theta\cos\theta+1$
$2\cos^{2}\theta+2\sqrt{3}\sin\theta\cos\theta=t^{2}-1$
と変形して、式A'に代入すると、
$y=(t^{2}-1)-2t-1$
$y$$=t^{2}-2t-2$式E
である。

解答オ:2, カ:2

キ~セ

今度は式Bの合成だ。
$ t=\sin\theta+\sqrt{3}\cos\theta$
$t$$=2\sin\left(\theta+\frac{\pi}{3}\right)$式F
である。

解答キ:2, ク:3

問題文より
$-\displaystyle \frac{\pi}{2}\leqq\theta\leqq 0$
なので、この各辺に$\displaystyle \frac{\pi}{3}$をたすと、
$-\displaystyle \frac{\pi}{2}+\frac{\pi}{3}\leqq\theta+\frac{\pi}{3}\leqq\frac{\pi}{3}$
$-\displaystyle \frac{\pi}{6}\leqq\theta+\frac{\pi}{3}\leqq\frac{\pi}{3}$式G
である。

解答ケ:6

式Gの範囲は、図Aの緑の範囲。

図A
大学入試センター試験2011年本試 数学ⅡB第1問[1] 解説図A

$\displaystyle \theta+\frac{\pi}{3}$がこの範囲のとき、$\sin\left(\theta+\frac{\pi}{3}\right)$は赤い範囲になるので、
$-\displaystyle \frac{1}{2}\leqq\sin\left(\theta+\frac{\pi}{3}\right)\leqq\frac{\sqrt{3}}{2}$
各辺を2倍して、
$-1\leqq 2\sin\left(\theta+\frac{\pi}{3}\right)\leqq\sqrt{3}$
この式の中辺は、式Fより$t$なので、
$-1\leqq t\leqq\sqrt{3}$式H
である。

解答コ:-, サ:1, シ:3


式Hの範囲で、式Eの二次関数の最小値を求めよう。
式Eは
$y=t^{2}-2t-2$
$y$$=(t^{2}-2t+1-1)-2$
$y$$=(t-1)^{2}-3$
と平方完成できるので、図Bのようなグラフになる。

図B
大学入試センター試験2011年本試 数学ⅡB第1問[1] 解説図B

図Bより、最小値は$t=1$のとき$-3$である。

解答ス:1, ソ:-, タ:3

最後に、$t=1$のときの$\theta$の値を求めなきゃいけない。

式Fより、$t=1$のとき
$2\sin\left(\theta+\frac{\pi}{3}\right)=1$
$\displaystyle \sin\left(\theta+\frac{\pi}{3}\right)=\frac{1}{2}$式I

図C
大学入試センター試験2011年本試 数学ⅡB第1問[1] 解説図C

図Cより、$-\displaystyle \frac{\pi}{6}\leqq\theta+\frac{\pi}{3}\leqq\frac{\pi}{3}$のとき、式Iを満たすのは
$\displaystyle \theta+\frac{\pi}{3}=\frac{\pi}{6}$
つまり
$\displaystyle \theta=-\frac{\pi}{6}$
のときである。

解答セ:6