大学入試センター試験 2012年(平成24年) 追試 数学ⅠA 第2問 解説

ア~ソ

$G$が$x$軸と共有点を持たないので、判別式を考えよう。
$D=(6-2a)^{2}-4\cdot a\cdot 4 \lt 0$
となればよい。
これを計算して、
$2^{2}(3-a)^{2}-4\cdot a\cdot 4 \lt 0$

途中式 $(3-a)^{2}-4a \lt 0$
$a^{2}-6a+9-4a \lt 0$
$a^{2}-10a+9 \lt 0$
$(a-1)(a-9) \lt 0$
$1 \lt a \lt 9$
である。

解答ア:1, イ:9

アドバイス

方程式$ax^{2}+bx+c=0$の$b$が偶数のとき、$b=2n$とおいて、
$\frac{D}{4}=n^{2}-ac$
とする式もあるけど、上の計算のように因数分解するとすぐに同じ形になるので、この式は憶える必要はない。


次は$G$の頂点だ。①式を平方完成するのは面倒なので、次の式を使おう。

復習

$y=ax^{2}+bx+c$のグラフの頂点の$x$座標は
$\displaystyle \frac{-b}{2a}$
だった。

なので、$G$の頂点の$x$座標は、
$\displaystyle \frac{6-2a}{2a}$
$=\displaystyle \frac{3-a}{a}$式A
$=\displaystyle \frac{3}{a}-1$
である。

解答ウ:3, エ:1

$y$座標は、式Aを①式に代入して、
$y=a\left(\frac{3-a}{a}\right)^{2}-(6-2a)\left(\frac{3-a}{a}\right)+4$
$y\displaystyle $$\displaystyle =\frac{a(3-a)^{2}}{a^{2}}-2(3-a)\left(\frac{3-a}{a}\right)+4$
$y\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{a}(3-a)^{2}-\frac{2}{a}(3-a)^{2}+4$

途中式 $y\displaystyle $$\displaystyle =-\frac{1}{a}(3-a)^{2}+4$
$y\displaystyle $$\displaystyle =\frac{-9+6a-a^{2}}{a}+4$
$y\displaystyle $$\displaystyle =-\frac{9}{a}+6-a+4$
$y\displaystyle $$\displaystyle =-a+10-\frac{9}{a}$
である。

アドバイス

$y$座標を求めるのに、頂点の$x$座標は回答の形の$\displaystyle \frac{3}{a}-1$ではなく、その前の段階の$\displaystyle \frac{3-a}{a}$を使った。
①式の$x$の係数が$(6-2a)=2(3-a)$なので、近い形を使えば因数分解がしやすいためである。
値を式に代入する場合、センター試験では一般的に、解答の形を使うと面倒な計算になることが多い。

解答オ:-, カ:1, キ:0, ク:9


ここで、
$k=\displaystyle \frac{3}{a}-1$式B
とおき、②式から$k$の範囲を作る。
②式を
$1 \lt a$と$a \lt 9$
に分けて、それぞれ計算しよう。
$1 \lt a$②a
この両辺を$a$で割ると、$0 \lt a$なので、
$\displaystyle \frac{1}{a} \lt 1$
両辺を$3$倍して
$\displaystyle \frac{3}{a} \lt 3$②a'
両辺から$1$を引いて
$\displaystyle \frac{3}{a}-1 \lt 3-1$
$\displaystyle \frac{3}{a}-1 \lt 2$
式Bより左辺は$k$なので、
$k \lt 2$②a''
となる。
$a \lt 9$②b
この両辺を$a$で割ると、$0 \lt a$なので、
$1 \lt \displaystyle \frac{9}{a}$
両辺を$3$で割って
$\displaystyle \frac{1}{3} \lt \frac{3}{a}$②b'
両辺から$1$を引いて
$\displaystyle \frac{1}{3}-1 \lt \frac{3}{a}-1$
$-\displaystyle \frac{2}{3} \lt \frac{3}{a}-1$
式Bより右辺は$k$なので、
$-\displaystyle \frac{2}{3} \lt k$②b''
となる。
②a'と②b'より、
$\displaystyle \frac{1}{3} \lt \frac{3}{a} \lt 3$
となる。

解答ケ:1, コ:3, サ:3

また、②a''と②b''より、
$-\displaystyle \frac{2}{3} \lt k \lt 2$式C
である。

解答シ:-, ス:2, セ:3, ソ:2

(1)

頂点が動く場合の放物線の最小値の問題。
場合分けは問題文の中で指定されているので、あとは流れに乗って解こう。

$G$は下に凸のグラフで、$k$は頂点の$x$座標。
$-1\leqq x\leqq 0$における最小値が頂点なので、定義域に頂点が含まれる。
よって、
$-1\leqq k\leqq 0$式D
のとき。
これを解けば、タの答である。

式Dを
$-1\leqq k$と$k\leqq 0$
に分けて計算しよう。
$-1\leqq k$
に式Bを代入して、
$-1\displaystyle \leqq\frac{1}{a}-1$
$0\displaystyle \leqq\frac{1}{a}$
両辺を$a$倍すると、$0 \lt a$なので、
$0\leqq 1$
常に正しいのでOk。
$k\leqq 0$式D'
に式Bを代入して、
$\displaystyle \frac{3}{a}-1\leqq 0$
$\displaystyle \frac{3}{a}\leqq 1$
両辺を$a$倍すると、$0 \lt a$なので、
$3\leqq a$式D''

式D''と②の範囲を合わせて、
$3\leqq a \lt 9$
が定義域に頂点が含まれる場合である。

解答タ:3


$1 \lt a\leqq 3$

$1 \lt a$と$a\leqq 3$に分けて$k$(つまり頂点の$x$座標)の範囲を調べよう。

$1 \lt a$から$k$の範囲を求めるのは、上で②a式から②a''式を求めたのと同じ計算なので、
$k \lt 2$
$a\leqq 3$
この両辺を$a$で割ると、$0 \lt a$なので、
$1\displaystyle \leqq\frac{3}{a}$
両辺から$1$を引いて、
$0\displaystyle \leqq\frac{3}{a}-1$
この右辺は$k$なので、
$0\leqq k$
実はこの部分は、計算しなくても式D'~式D''の計算から予想できる。

図A
大学入試センター試験2012年追試 数学ⅠA第2問 解説図A

以上より、$1 \lt a\leqq 3$のとき
$0\leqq k \lt 2$
なので、$G$の頂点は定義域の右にある。
よって、グラフは図Aのようになる。

図Aより、最小値は定義域の右端で、$x=0$のとき。

解答チ:0

最小値は①式に$x=0$を代入して、$4$である。

解答ツ:4

(2)

頂点が動く場合の放物線の最大値の問題だけど、この問題は場合分けをしなくても解ける。

$G$は下に凸の放物線なので、最大値は定義域の左端の$x=-1$のときか、右端の$x=0$のとき。
でも、ツを求めたとき気づいたかもしれないけれど、$x=0$のときは$a$の値に関わらず$y=4$であるので、$M \gt 4$になることはない。
よって、$M \gt 4$となるのは$x=-1$で最大になるときでないとムリ。

解答テ:-, ト:1

最大値は、①式に$x=-1$を代入して、
$M=a(-1)^{2}-(6-2a)(-1)+4$
$M$$=a+6-2a+4$
$M$$=-a+10$
である。

解答ナ:-, ニ:1, ヌ:0

この最大値$M$が$M \gt 4$となるのは、
$-a+10 \gt 4$
$a \lt 6$

これと②式をあわせて、
$1 \lt a \lt 6$
のときである。

解答ネ:6

アドバイス

ネの部分で、「あれ?$x=-1$で最大になるためには、頂点の$x$座標が定義域の中央より右じゃないといけない、つまり$-\displaystyle \frac{1}{2} \lt k$ってのは考えなくていいの?」という疑問が出そうだけど。
上の解説では$x=-1$のときに$y \gt 4$になる範囲を求めたけど、それは、$x=0$のときの$y$よりも$x=-1$のときの$y$の方が大きい範囲を求めたのと同じこと。この計算で$x=-1$のときに最大になる条件も満たしてるので、$-\displaystyle \frac{1}{2} \lt k$は考えなくてもいいです。