大学入試センター試験 2012年(平成24年) 追試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説

解説

関数$f(x)$のグラフは下に凸の放物線。
そのグラフがすべての実数$x$で$0$より大きくなるので、$x$軸とグラフの共有点がなければよい。
なので、
$D \lt 0$

解答チ:0

この判別式は、
$D=4^{2}\left(\frac{3\tan\theta}{1+\tan^{2}\theta}-\sqrt{3}\right)^{2}-4\cdot 3(\sin^{2}\theta+3\cos^{2}\theta)^{2}$
である。


復習

2倍角の公式を復習しておくと、

公式

$\sin 2\theta=2\sin\theta\cos\theta$式A $\cos 2\theta=\cos^{2}\theta-\sin^{2}\theta$
$\cos 2\theta$$=1-2\sin^{2}\theta$
$\cos 2\theta$$=2\cos^{2}\theta-1$式B
$\displaystyle \tan 2\theta=\frac{2\tan\theta}{1-\tan^{2}\theta}$

だった。

$\sin^{2}\theta+\cos^{2}\theta=1$より
     $\sin^{2}\theta=1-\cos^{2}\theta$
これを問題の式に代入して、
$\sin^{2}\theta+3\cos^{2}\theta=(1-\cos^{2}\theta)+3\cos^{2}\theta$
$\sin^{2}\theta+3\cos^{2}\theta$$=1+2\cos^{2}\theta$式C

式Bより、
$2\cos^{2}\theta=\cos 2\theta+1$
これを式Cに代入して、
$\sin^{2}\theta+3\cos^{2}\theta$$=1+\cos 2\theta+1$
$\sin^{2}\theta+3\cos^{2}\theta$$=2+\cos 2\theta$式D
である。

解答ツ:2

$1+\displaystyle \tan^{2}\theta=\frac{1}{\cos^{2}\theta}$,$\displaystyle \tan\theta=\frac{\sin\theta}{\cos\theta}$を問題の式に代入して、
$\displaystyle \frac{3\tan\theta}{1+\tan^{2}\theta}=\frac{3\frac{\sin\theta}{\cos\theta}}{\frac{1}{\cos^{2}\theta}}$
    $\displaystyle =3\frac{\sin\theta}{\cos\theta}\cdot\cos^{2}\theta$
    $=3\sin\theta\cos\theta$式E

式Aより、
$\displaystyle \sin\theta\cos\theta=\frac{1}{2}\sin 2\theta$
これを式Eに代入して、
$\displaystyle \frac{3\tan\theta}{1+\tan^{2}\theta}=3\cdot\frac{1}{2}\sin 2\theta$
$\displaystyle \qquad=\frac{3}{2}\sin 2\theta$式F
となる。

解答テ:3, ト:2


式D,式Fを判別式に代入すると、
$D=4^{2}\left(\frac{3}{2}\sin 2\theta-\sqrt{3}\right)^{2}-4\cdot 3(2+\cos 2\theta)^{2}$
となる。
これを計算する。
$D=4\cdot 4\left(\frac{\sqrt{3}^{2}}{2}\sin 2\theta-\sqrt{3}\right)^{2}-4\cdot 3(2+\cos 2\theta)^{2}$

途中式 $D$$=4\cdot 2^{2}\left\{\sqrt{3}\left(\frac{\sqrt{3}}{2}\sin 2\theta-1\right)\right\}^{2}-4\cdot 3(2+\cos 2\theta)^{2}$
$D$$=4\cdot\sqrt{3}^{2}\left\{2\left(\frac{\sqrt{3}}{2}\sin 2\theta-1\right)\right\}^{2}-4\cdot 3(2+\cos 2\theta)^{2}$
$D$$=12\{(\sqrt{3}\sin 2\theta-2)^{2}-(2+\cos 2\theta)^{2}\}$
$D$$=12\{(\sqrt{3}\sin 2\theta-2)+(2+\cos 2\theta)\}$
            $\cdot \{(\sqrt{3}\sin 2\theta-2)-(2+\cos 2\theta)\}$
$D$$=12$$(\sqrt{3}\sin 2\theta+\cos 2\theta)$$(\sqrt{3}\sin 2\theta-\cos 2\theta-4)$式G
である。

解答ナ:3, ニ:4

$-\displaystyle \frac{\pi}{2} \lt \theta \lt \frac{\pi}{2}$なので
$-\pi \lt 2\theta \lt \pi$式H
となるから、
$-1\leqq\sin 2\theta\leqq 1$より、
$-\sqrt{3}\leqq\sqrt{3}\sin 2\theta\leqq\sqrt{3}$
$-1 \lt \cos 2\theta\leqq 1$より、
$-1 \lt \cos 2\theta\leqq 1$
である。
よって、式Gの緑色の部分は、
$\sqrt{3}\sin 2\theta-\cos 2\theta-4 \lt 0$式I
である。

解答ヌ:0

一方、式Gの青い部分は、三角関数の合成から
$\sqrt{3}\sin 2\theta+\cos 2\theta=2\sin\left(2\theta+\frac{\pi}{6}\right)$式J
と変形できる。

解答ネ:2, ノ:6


ちょっと話が長くなったので思い出すと、
$D \lt 0$
となる範囲を求めている。

式G,式I,式Jより、
$D=12\cdot 2$$\sin\left(2\theta+\frac{\pi}{6}\right)$$\cdot($負の値$)$
なので、式の青い部分が正になれば、$D$は負になる。
よって、
$\sin\left(2\theta+\frac{\pi}{6}\right) \gt 0$
となる範囲をさがす。

式Hより
$-\pi \lt 2\theta \lt \pi$
なので、
$-\displaystyle \frac{5}{6}\pi \lt 2\theta+\frac{\pi}{6} \lt \frac{7}{6}\pi$
であるから、$2\displaystyle \theta+\frac{\pi}{6}$の定義域は図Aの緑の部分になる。

図A
大学入試センター試験2012年追試 数学ⅡB第1問[2] 解説図A

$\sin\left(2\theta+\frac{\pi}{6}\right)$が正になる部分を求めるので、定義域が図Aのオレンジの部分に入る範囲が答だ。
結局求める部分は図Aの赤い範囲で、
$ 0 \lt 2\displaystyle \theta+\frac{\pi}{6} \lt \pi$
である。
これを計算して、
$-\displaystyle \frac{\pi}{6} \lt 2\theta \lt \frac{5}{6}\pi$
$-\displaystyle \frac{\pi}{12} \lt \theta \lt \frac{5}{12}\pi$
となる。

解答ハ:1, ヒ:2, フ:5