大学入試センター試験 2015年(平成27年) 本試 数学ⅠA 第5問 解説

(1)

$756$を素因数分解して、$2^{2}\cdot 3^{3}\cdot 7$

解答ア:2, イ:3, ウ:7

素因数分解の結果、756は2を2個、3を3個、7を1個因数に持つ。その中から数字をいくつか取り出した積が約数である。

2の取り出しかたは、0個出す・1個出す・2個出す の3通り。
3の取り出しかたは、0個出す・1個出す・2個出す・3個出す の4通り。
7の取り出しかたは、0個出す・1個出す の2通り。
よって、正の約数の個数は
$3\times 4\times 2=24$
より、24個。

解答エ:2, オ:4

(2)

$\sqrt{am}$が自然数になるためには、$am$が自然数の2乗にならなければならない。言い換えると、$ am=\alpha^{p}\cdot\beta^{q}\cdot\gamma^{r}\cdots$と素因数分解されて、指数部分$ p,q,r,\cdots$が偶数にならないといけない。

(1)より$a=2^{2}\cdot 3^{3}\cdot 7$なので、$3$と$7$の指数部分が奇数。これを偶数にすればよいから、
$m=3\cdot 7=21$
である。

解答カ:2, キ:1

$m=3\cdot 7k^{2}$とすると、
$\sqrt{am}=\sqrt{2^{2}\cdot 3^{3}\cdot 7\times 3\cdot 7k^{2}}$
$\sqrt{am}$$=\sqrt{(2\cdot 3^{2}\cdot 7k)^{2}}$
$k$は自然数なので、この式の$2\cdot 3^{2}\cdot 7k$の部分は負ではないから、
$\sqrt{am}$$=2\cdot 3^{2}\cdot 7k$
$\sqrt{am}$$=126k$
となる。

解答ク:1, ケ:2, コ:6

(3)

1次不定方程式はお約束の解き方があるので憶えておこう。

$126k-11\ell=1$式A
を解く。

$k$と$\ell$の係数の$126$と$11$でユークリッドの互除法を行うと、
$126\div11=11\ldots5$式B1
$11\div5=2\ldots1$式B2

これを「=余り」の形に変形して、
$126-11\cdot11=5$式B1'
$11-5\cdot2=1$式B2'

式B2'に式B1'を代入して、
$11-(126-11\cdot 11)\cdot 2=1$
$11-126\cdot 2+11\cdot 22=1$
$126\cdot(-2)+11\cdot23=1$
式Aの係数に符号をあわせて、
$126\cdot(-2)-11\cdot(-23)=1$式C
ができる。

式Aから式Cを辺々引くと、

$126k$$-11\ell$$=$$1$
$-)$$126\cdot(-2)$$-11\cdot(-23)$$=$$1$
$126(k+2)$$-11(\ell+23)$$=$$0$

となるから、
$126(k+2)=11(\ell+23)$式D
とかける。

ここで、$126$と$11$は互いに素なので、式Dが成り立つためには、$n$を整数として
$\left\{\begin{array}{l}k+2=11n\\ \ell +23=126n\end{array}\right.$
より、
$\left\{\begin{array}{l}k=11n-2\\ \ell =126n-23\end{array}\right.$式E
でなければならない。

問題文より$k$は自然数。
よって、式Eより、
$0 \lt 11n-2$
$ \displaystyle \frac{2}{11} \lt n$
となるので、$n$の範囲は
$1\leqq n$
だ。

$n$がこの範囲のとき、$k$が最小となる解の組を探す。
式Eより、
$k=11n-2$
なので、$k$が最小になるのは$n$が最小のとき。
よって、式Eに$n=1$を代入して、
$k=11\cdot 1-2$
$k$$=9$
$ \ell =126\cdot 1-23$
$ \ell $$=103$
が求める解である。

解答サ:9, シ:1, ス:0, セ:3

(4)

(2)より、$m=3\cdot 7k^{2}$とおくと、$\sqrt{am}=126k$
(3)より、$126k-11\ell=1$を満たす最小の$k$は$9$
なので、
$\sqrt{am}-11\ell=1$を満たす最小の$k$は
$k=9$
このときの$m$は、$k=9$を$m=3\cdot 7k^{2}$に代入して、
$m=3\cdot 7\cdot 9^{2}$
$m$$=1701$
である。

解答ソ:1, タ:7, チ:0, ツ:1