大学入試センター試験 2015年(平成27年) 本試 数学ⅡB 第1問 [1] 解説

問題を解く準備

まず、$ 2\cos\theta,\ 2\sin\theta,\ \cos 7\theta,\ \sin 7\theta$ について考えよう。

図A
大学入試センター試験2015年本試 数学ⅡB第1問[1] 解説図A
図B
大学入試センター試験2015年本試 数学ⅡB第1問[1] 解説図B

復習

単位円(半径$1$の円)で、中心から$\theta$の角度で線を引き、円にぶつかった点の$x$座標が$\cos\theta,\ y$座標が$\sin\theta$だった。

とすると、$ 2\cos\theta,\ 2\sin\theta$は、半径2の円で、中心から$\theta$の角度で線を引き、円にぶつかった点の$x$座標と$y$座標と考えられる。(図A)
よって、点$\mathrm{P}$は図C中の$\mathrm{P}$の位置にある。
また、$\cos 7\theta,\ \sin 7\theta$は、半径1の円で、中心から$ 7\theta$の角度で線を引き、円にぶつかった点の$x$座標と$y$座標となる。(図B)
よって、点$\mathrm{Q}$は点$\mathrm{P}$から$x$方向に$\cos 7\theta,\ y$方向に$\sin 7\theta$移動した点なので、図C中の$\mathrm{Q}$の位置にある。

図C
大学入試センター試験2015年本試 数学ⅡB第1問[1] 解説図C

図B・Cでは$\cos 7\theta,\ \sin 7\theta$ ともに負の値として描いてあるので気をつけてほしい。
$\theta$の定義域は$\displaystyle \frac{\pi}{8}\leqq\theta\leqq\frac{\pi}{4}$なので、
$\displaystyle \frac{7\pi}{8}\leqq 7\theta\leqq\frac{7\pi}{4}$
となり、$\cos 7\theta,\ \sin 7\theta$ ともに正の数か負の数か分からない。

さて、グラフが出来たところで問題を解こう。

(1)

図Cより、$\mathrm{OP}$は半径2の円の半径なので、2。

解答ア:2

同じく、$\mathrm{PQ}$は半径1の円の半径なので、1。

解答イ:1


$\mathrm{OQ}^{2}$は、三平方の定理より、
$\mathrm{OQ}^{2}=\left(2\cos\theta+\cos 7\theta\right)^{2}+\left(2\sin\theta+\sin 7\theta\right)^{2}$
計算ではできるだけ展開しない方がいいのだけれど、これは仕方がない。
$\mathrm{OQ}^{2}$$=4\left(\cos^{2}\theta+\sin^{2}\theta\right)+\left(\cos^{2}7\theta+\sin^{2}7\theta\right)$
            $+4\left(\cos\theta\cdot\cos 7\theta+\sin\theta\cdot\sin 7\theta\right)$
$\sin^{2}\alpha+\cos^{2}\alpha=1$なので、
$\mathrm{OQ}^{2}$$=5+4\left(\cos 7\theta\cdot\cos\theta+\sin 7\theta\cdot\sin\theta\right)$式A

解答ウ:5, エ:4

式Aの $\cos 7\theta\cdot\cos\theta+\sin 7\theta\cdot\sin\theta$ の部分だけど、これじゃ見にくいので、$ 7\theta=\alpha$、$\theta=\beta$とおくと、
$\cos\alpha\cdot\cos\beta+\sin\alpha\cdot\sin\beta$
これは$\cos$の加法定理の公式と同じ形なので、
$\cos 7\theta\cdot\cos\theta+\sin 7\theta\cdot\sin\theta=\cos(7\theta-\theta)$
$\cos 7\theta\cdot\cos\theta+\sin 7\theta\cdot\sin\theta$$=\cos(6\theta)$式B
式Bを式Aに代入して、
$\mathrm{OQ}^{2}=5+4\cos(6\theta)$式C

解答オ:6


次に、式Bの最大値を求める。

$\displaystyle \frac{\pi}{8}\leqq\theta\leqq\frac{\pi}{4}$なので、
$\displaystyle \frac{3\pi}{4}\leqq 6\theta\leqq\frac{3\pi}{2}$式D
このグラフを描くと、図Dのようになる。

図D
大学入試センター試験2015年本試 数学ⅡB第1問[1] 解説図D

図中の緑の弧が定義域だ。
今は式Cの最大値を求めればよいので、$x$座標が最大になる場所をさがす。

図Dより、赤い点のところ($6\displaystyle \theta=\frac{3\pi}{2}$のところ)で最大値$\cos 6\theta=0$になることが分かる。
よって、式Cが最大になるのは、
$6\displaystyle \theta=\frac{3\pi}{2}$
$\displaystyle \theta=\frac{\pi}{4}$
のとき。

解答カ:4

最大値は、式Cに$\cos 6\theta=0$を代入して、
$\mathrm{OQ}^{2}=5$
$0 \lt \mathrm{OQ}$より、
$\mathrm{OQ}=\sqrt{5}$
である。

解答キ:5

(2)解法1

まず、直線$\mathrm{OP}$の式を求めよう。

復習

$x$軸の正の方向と$\theta$の角度で交わる直線の傾きは、$\tan \theta$

なので、直線$\mathrm{OP}$の式は、
$y=\tan\theta\cdot x$
$y$$= \displaystyle \frac{\sin\theta}{\cos\theta}x$

ここまで、
図Cより、直線$\mathrm{OP}$は原点を通り、傾きは$\displaystyle \frac{2\sin\theta}{2\cos\theta}=\frac{\sin\theta}{\cos\theta}$なので、直線$\mathrm{OP}$の式は、
$y=\displaystyle \frac{\sin\theta}{\cos\theta}x$
と考えてもよいけど、先の復習の部分は憶えておこう。

この式を変形して、
$\cos\theta\cdot y=\sin\theta\cdot x$
$\sin\theta\cdot x-\cos\theta\cdot y=0$式E
となる。

解答ク:3

ここから、 解法1
今まで求めた式を使って、計算で解いてゆく。
解法2
△$\mathrm{OQP}$の図を描き、図形的に解いてゆく。
の2通りの方法が考えられる。

問題の流れは解法1なので、以下解法1を解説した。
解法2の方がシンプルに解けるが、なかなか思いつかないかも知れない。これについては、ページ末で解説した。


$\mathrm{O},\ \mathrm{P},\ \mathrm{Q}$ が一直線なので、点$\mathrm{Q}$は直線$\mathrm{OP}$上にあるから、式Eの$x,\ y$に$\mathrm{Q}$の座標$\left(2\cos\theta+\cos 7\theta,\ 2\sin\theta+\sin 7\theta\right)$を代入して、
$\sin\theta(2\cos\theta+\cos 7\theta)-\cos\theta(2\sin\theta+\sin 7\theta)=0$
$\sin\theta\cdot\cos 7\theta-\cos\theta\cdot\sin 7\theta=0$式F

加法定理の公式、
$\sin(\alpha - \beta)=\sin\alpha\cdot\cos\beta - \cos\alpha\cdot\sin\beta$
より、式Fは
$\sin(\theta-7\theta)=0$
$\sin 6\theta=0$

式Dより $\displaystyle \frac{3\pi}{4}\leqq 6\theta\leqq\frac{3\pi}{2}$なので、グラフを描くと図Eになる。図中の緑の弧が定義域だ。

図E
大学入試センター試験2015年本試 数学ⅡB第1問[1] 解説図E

この範囲で$\sin 6\theta=0$となる(図Eで、$y=0$となる)のは、$ 6\theta=\pi$のときだけ。
よって、
$\displaystyle \theta=\frac{\pi}{6}$
である。

解答ケ:6

(3)解法1

ア, イより$\mathrm{OP}=2,\ \mathrm{PQ}=1$。$\angle \mathrm{OQP}$が直角とすると、△$\mathrm{OQP}$は$1:2:\sqrt{3}$の直角三角形になる。
ゆえに、
$\mathrm{OQ}=\sqrt{3}$
である。

解答コ:3

以上より、$\angle \mathrm{OQP}$が直角であるためには、$\mathrm{OQ}=\sqrt{3}$でないといけない。
式Cより、$\mathrm{OQ}^{2}=5+4\cos 6\theta$なので、
$5+4\mathrm{cos}6\theta=3$
$\displaystyle \cos 6\theta=-\frac{1}{2}$

ここで$ 6\theta$の範囲を考えると、
式Dより $\displaystyle \frac{3\pi}{4}\leqq 6\theta\leqq\frac{3\pi}{2}$

図F
大学入試センター試験2015年本試 数学ⅡB第1問[1] 解説図F

この範囲で$\displaystyle \cos 6\theta=-\frac{1}{2}$となる$\left(\text{図Fで、}x=-\frac{1}{2}\text{となる}\right)$のは、$ 6\displaystyle \theta=\frac{4}{3}\pi$のときだけ。
よって、
$\displaystyle \theta=\frac{2}{9}\pi$
である。

解答サ:2, シ:9

解法2で問題を解く準備

図Cの角度に関する部分だけを取り出して整理したのが、図Gである。

図G
大学入試センター試験2015年本試 数学ⅡB第1問[1] 解説図G

図Gより、
$\angle \mathrm{OPQ}=\angle \mathrm{RPQ}-\angle \mathrm{RPO}$
$\angle \mathrm{OPQ}$$=7\theta-(\pi+\theta)$
$\angle \mathrm{OPQ}$$=6\theta-\pi$式G
とかける。

当然ながら、$\angle \mathrm{RPQ} \lt \angle \mathrm{RPO}$のとき(点$\mathrm{Q}$が直線$\mathrm{OP}$より上にあるとき)は、式Gは負の数になる。

また、問題文より
$\displaystyle \frac{\pi}{8}\leqq\theta\leqq\frac{\pi}{4}$
なので、
$\displaystyle \frac{6}{8}\pi-\pi\leqq 6\theta-\pi\leqq\frac{6}{4}\pi-\pi$
式Gより$\angle \mathrm{OPQ}=6\theta -\pi$だから、
$-\displaystyle \frac{\pi}{4}\leqq\angle \mathrm{OPQ}\leqq\frac{1}{2}\pi$式H
である。

この式Gと式Hを使って以下の問題を解く。

(2)解法2

3点$\mathrm{O},\ \mathrm{P},\ \mathrm{Q}$が一直線上にあるとき、$\angle \mathrm{OPQ}$は$0$。
式Hで$\angle \mathrm{OPQ}$の範囲は分かっているので、$\pi$とか$-\pi$とかは考えなくていい。

なので、式Gより、
$6\theta-\pi=0$
$\displaystyle \theta=\frac{\pi}{6}$
となる。

解答ケ:6

(3)解法2

ア, イより$\mathrm{OP}=2,\ \mathrm{PQ}=1$。$\angle \mathrm{OQP}$が直角とすると、△$\mathrm{OQP}$は$1:2:\sqrt{3}$の直角三角形になる。
ゆえに、
$\mathrm{OQ}=\sqrt{3}$
である。

解答コ:3

また、$\angle \mathrm{OPQ}$は$\displaystyle \frac{\pi}{3}$だけど、式Hから、逆向きに$\displaystyle \frac{\pi}{3}$の$-\displaystyle \frac{\pi}{3}$とか、一回りして$\displaystyle \frac{\pi}{3}$の$\displaystyle \frac{\pi}{3}+2\pi$とかは考えなくていい。

よって、式Gより、
$6\displaystyle \theta-\pi=\frac{\pi}{3}$
$\displaystyle \theta=\frac{2}{9}\pi$
である。

解答サ:2, シ:9