大学入学共通テスト 2017年(平成29年) 試行調査 数学ⅡB 第3問 解説

(1)

問題文がややこしそうだけど、問われていること自体は難しくないので、落ち着いて解けば大丈夫。

まず、$a_{1}$だ。
問題文中に「$a_{1}$は$P$と一致すると考えてよい」とあるので、
$a_{1}=P$
$a_{1}$$=5$
である。

解答ア:5


また、問題文の最初にある枠で囲んだ説明の中に
「(血中濃度は)$T$時間が経過すると$\displaystyle \frac{1}{2}$倍になる」
という説明とともに
「$T=12$である」
と書かれている。

いま、薬を飲むのは前回の服用から$12$時間後。
$12$時間で血中濃度は$\displaystyle \frac{1}{2}$になるから、$n+1$回目に薬を飲む直前の血中濃度は、$n$回目の服用直後の$\displaystyle \frac{1}{2}$なので、
$\displaystyle \frac{1}{2}a_{n}$式A
とかける。

薬Dを飲むと血中濃度は$P$、つまり$5$上昇するので、式Aに$5$をたして、$n+1$回目に薬を飲んだ後の血中濃度$a_{n+1}$は
$a_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{2}a_{n}+5$式B
である。

解答イ:1, ウ:2, エ:5


で、この漸化式から、2通りの方法で一般項を求めよという。

まず【考え方1】から。
いつもの方法だ。(詳しくはこのページ参照


式Bの小さい文字を全部消すと
$a=\displaystyle \frac{1}{2}a+5$
より
$2a=a+10$
$a=10$
となる。

この$10$を式Bの両辺から引いて、
$a_{n+1}-10=\displaystyle \frac{1}{2}a_{n}-5$
$a_{n+1}-10$$\displaystyle =\frac{1}{2}(a_{n}-10)$

ここで、
$a_{n}-10=p_{n}$式C
とおくと、上の式は
$p_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{2}p_{n}$
とかけるから、$p_{n}$、つまり$a_{n}-10$は
公比が$\displaystyle \frac{1}{2}$
の等比数列である。

解答オ:1, カ:0, キ:1, ク:2


また、より、
$a_{1}=5$
なので、
$p_{1}=a_{1}-10$
より
$p_{1}=-5$
となる。

よって、$\{p_{n}\}$は、
初項が$-5$ 公比が$\displaystyle \frac{1}{2}$ の等比数列だから、一般項$p_{n}$は
$p_{n}=-5\cdot\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}$
とかける。


これを式Cに代入して、$a_{n}$は
$a_{n}-10=-5\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}$
より
$a_{n}=10-5\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}$
である。

解答サ:1, シ:0, ス:5, セ:1, ソ:2


次に【考え方2】だけど、どっちかというとマイナーな方法かも。


式Bの$n$に$n+1$を代入して、
$a_{n+2}=\displaystyle \frac{1}{2}a_{n+1}+5$
これから式Bを辺々引くと、

$a_{n+2}$$=$$\displaystyle \frac{1}{2}a_{n+1}$$+5$
$-)$$a_{n+1}$$=$$\displaystyle \frac{1}{2}a_{n}$$+5$
$a_{n+2}-a_{n+1}$$=$$\displaystyle \frac{1}{2}(a_{n+1}-a_{n})$

となる。

ここで、$\{q_{n}\}$を$\{a_{n}\}$の階差数列として
$a_{n+1}-a_{n}=q_{n}$
とおくと、上の引き算の結果は
$q_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{2}q_{n}$
とかける。

よって、$\{q_{n}\}$は
公比が$\displaystyle \frac{1}{2}$
の等比数列になる。

解答ケ:1, コ:2


$\{a_{n}\}$の一般項はすでに求めたので、この先の計算をする必要はないんだけど、せっかくだから書いておく。

$q_{1}=a_{2}-a_{1}$
だけど、式Bより、$a_{2}$は
$a_{2}=\displaystyle \frac{1}{2}\cdot 5+5$
$a_{2}$$\displaystyle =\frac{5}{2}+5$
なので、$q_{1}$は
$q_{1}=\displaystyle \frac{5}{2}+5-5$
$q_{1}$$\displaystyle =\frac{5}{2}$
である。

よって、$\{q_{n}\}$は
初項が$\displaystyle \frac{5}{2}$ 公比が$\displaystyle \frac{1}{2}$ の等比数列だから、一般項$q_{n}$は
$q_{n}=\displaystyle \frac{5}{2}\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}$
とかける。


$\{q_{n}\}$は$\{a_{n}\}$の階差数列なので、
$a_{n+1}-a_{n}=q_{n}$
より
$a_{n+1}=a_{n}+q_{n}$
$a_{n+1}$$\displaystyle =a_{n}+\frac{5}{2}\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}$
である。

これを$\{a_{n}\}$の漸化式(式B)に代入すると
$a_{n}+\displaystyle \frac{5}{2}\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}=\frac{1}{2}a_{n}+5$
ができる。

これを計算して、$a_{n}$は
$2a_{n}+5\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}=a_{n}+10$
$a_{n}=10-5\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}$
となる。

解答サ:1, シ:0, ス:5, セ:1, ソ:2

別解

上の解では階差数列の考え方を使わなかった。
階差数列の考え方で解くと、次のようになる。

まず、階差数列の復習をすると、

復習

数列$\{a_{n}\}$の階差数列が$\{q_{n}\}$のとき、
$\{a_{n}\}$の一般項$a_{n}$は、$\{q_{n}\}$の一般項$q_{n}$を使って、
$a_{n}=a_{1}+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}q_{k}$     $(2\leqq n)$
と表せる。

だった。

復習より、$2\leqq n$のとき
$a_{n}=a_{1}+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}q_{k}$
$a_{n}$$\displaystyle =5+\sum_{k=1}^{n-1}\left\{\frac{5}{2}\cdot\left(\frac{1}{2}\right)^{k-1}\right\}$
途中式 $a_{n}$$\displaystyle =5+\frac{5}{2}\sum_{k=1}^{n-1}\left(\frac{1}{2}\right)^{k-1}$
$a_{n}$$\displaystyle =5+\frac{5}{2}\cdot\frac{1-\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}}{1-\frac{1}{2}}$
$a_{n}$$\displaystyle =5+5\cdot\frac{1}{2}\cdot\frac{1-\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}}{\frac{1}{2}}$
$a_{n}$$\displaystyle =5+5\left\{1-\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}\right\}$
$a_{n}$$\displaystyle =5+5-5\cdot\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}$
$a_{n}$$\displaystyle =10-5\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}$
である。

これは$n=1$のときも成り立つ。

解答サ:1, シ:0, ス:5, セ:1, ソ:2

(2)

(2)は、(1)で求めた一般項$a_{n}$を使って、薬Dを飲み続けたときの血中濃度の範囲を考える問題。


まず、血中濃度の上限から。

薬Dの血中濃度が最も高くなるのは服用直後で、そのときの濃度が$a_{n}$だけど、(1)より、
$\displaystyle a_{n}=10-5\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}$
なので、$a_{n}$は$10$を超えない。

つまり、血中濃度は$10$を超えない。

いま、$L=40$なので、
血中濃度は$L$を超えない ことが分かる。


次は、血中濃度の下限だ。
薬Dの血中濃度が最も低くなるのは服用直前なので、そのときの濃度を考えよう。

$n$回目の服用直前の血中濃度は
$\displaystyle a_{n}-P=10-5\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}-5$
$a_{n}-P$$=5-5$$\displaystyle \left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}$式D
と表せる。

この式の赤い部分を考える。
$n=1$のときの$a_{1}-P$は$1$回目の服用前、つまり薬Dを飲み始める前なので、考えない。

$2\leqq n$のとき、式Dの赤い部分は
$n=2$のとき、$\displaystyle \left(\frac{1}{2}\right)^{1}=\frac{1}{2}$式E
$n=3$のとき、$\displaystyle \left(\frac{1}{2}\right)^{2}=\frac{1}{4}$
$n=4$のとき、$\displaystyle \left(\frac{1}{2}\right)^{3}=\frac{1}{8}$
$n=5$のとき、$\displaystyle \left(\frac{1}{2}\right)^{4}=\frac{1}{16}$
       $\vdots$
と、どんどん小さくなる。
つまり、$0$に近づいてゆく。

よって、$a_{n}-P$はどんどん$5$に近づいてゆく。

$a_{n}-P$が最小になるのは、式Dの赤い部分が最大のとき。
これは式Eのときで、このときの$a_{n}-P$は
$\displaystyle a_{2}-P=5-5\left(\frac{1}{2}\right)^{1}$
$a_{2}-P$$\displaystyle =\frac{5}{2}$
である。

なので、血中濃度は$\displaystyle \frac{5}{2}$を下回らない。

いま、$M=2$なので、
血中濃度は$M$を下回らない ことが分かる。


以上より、選択肢のうちで正しいのは
②③
である。

解答タ:2,3

(3)

薬Dの服用する間隔を$24$時間に変える。

(1)とほぼ同じ作業をするんだけど、今回は一部文字のままで計算しよう。

$b_{1}$は$P$と等しいので、
$b_{1}=P$
である。

血中濃度は$T=12$時間で$\displaystyle \frac{1}{2}$になるから、$24$時間経つと
$\displaystyle \frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2}=\frac{1}{4}$
になる。
よって、$n+1$回目に薬を飲む直前の血中濃度は$n$回目の服用後の$\displaystyle \frac{1}{4}$になるから
$\displaystyle \frac{1}{4}b_{n}$式F
とかける。

薬Dを飲むと血中濃度は$P$上昇するので、式Fに$P$をたして、$n+1$回目に薬を飲んだ直後の血中濃度$b_{n+1}$は
$b_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{4}b_{n}+P$式G
と表せる。


式Gの小さい文字を全部消すと
$b=\displaystyle \frac{1}{4}b+P$
より
$4b=b+4P$
$b=\displaystyle \frac{4P}{3}$
となる。

この$\displaystyle \frac{4P}{3}$を式Gの両辺から引くと、
$b_{n+1}-\displaystyle \frac{4P}{3}=\frac{1}{4}b_{n}+P-\frac{4P}{3}$
$b_{n+1}-\displaystyle \frac{4P}{3}$$\displaystyle =\frac{1}{4}b_{n}-\frac{P}{3}$
$b_{n+1}-\displaystyle \frac{4P}{3}$$\displaystyle =\frac{1}{4}\left(b_{n}-\frac{4P}{3}\right)$式G'
である。

ここで、
$b_{n}-\displaystyle \frac{4P}{3}=r_{n}$式H
とおくと、式G'は
$r_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{4}r_{n}$
とかける。

また、$b_{1}=P$なので、
$r_{1}=P-\displaystyle \frac{4P}{3}$
$r_{1}$$\displaystyle =-\frac{P}{3}$
である。

よって、$\{r_{n}\}$は、
初項が$-\displaystyle \frac{P}{3}$ 公比が$\displaystyle \frac{1}{4}$ の等比数列なので、一般項$r_{n}$は
$r_{n}=-\displaystyle \frac{P}{3}\left(\frac{1}{4}\right)^{n-1}$
となる。

これを式Hに代入して、$\{b_{n}\}$の一般項$b_{n}$は、
$b_{n}-\displaystyle \frac{4P}{3}=-\frac{P}{3}\left(\frac{1}{4}\right)^{n-1}$
より
$b_{n}=\displaystyle \frac{4P}{3}-\frac{P}{3}\left(\frac{1}{4}\right)^{n-1}$式I
である。


よって、問題文中の$b_{n+1}-P$は、
$b_{n+1}-P=\displaystyle \frac{4P}{3}-\frac{P}{3}\left(\frac{1}{4}\right)^{n}-P$
なので、
$b_{n+1}-P=\displaystyle \frac{P}{3}-\frac{P}{3}\left(\frac{1}{4}\right)^{n}$
$b_{n+1}-P$$\displaystyle =\frac{P}{3}\left\{1-\left(\frac{1}{2}\right)^{2n}\right\}$
である。

また、$a_{2n+1}-P$は、式Dの$n$に$2n+1$を代入して、
$a_{2n+1}-P=5-5\left(\frac{1}{2}\right)^{2n}$
$a_{2n+1}-P=5\left\{1-\left(\frac{1}{2}\right)^{2n}\right\}$
とかける。

以上より、
$\displaystyle \frac{b_{n+1}-P}{a_{2n+1}-P}=\frac{\frac{P}{3}\left\{1-\left(\frac{1}{2}\right)^{2n}\right\}}{5\left\{1-\left(\frac{1}{2}\right)^{2n}\right\}}$
                $=\displaystyle \frac{\frac{P}{3}}{5}$
                $=\displaystyle \frac{P}{3\cdot 5}$式J
となる。


ここで、$P$は$5$なので、式Jに$P=5$を代入すると、
$\displaystyle \frac{b_{n+1}-P}{a_{2n+1}-P}=\frac{5}{3\cdot 5}$
                $=\displaystyle \frac{1}{3}$
である。

解答チ:1, ツ:3

(4)

さらに、薬Dを$12$時間ごとに$1$錠ずつ服用したときと、$24$時間ごとに$k$錠ずつ服用したときで、$24n$時間ごとの服用直前の血中濃度を等しくしたい。
問題文より、$k$錠ずつ服用すると、服用後の血中濃度の上昇が$1$錠のときの$k$倍の$kP$になる、

なので、式Jの$P$を$kP$にかえた
$\displaystyle \frac{kP}{3\cdot 5}$式J'
が$1$になればよい。

$P$は$5$で変わらないから、式J'より
$\displaystyle \frac{5k}{3\cdot 5}=1$
なので、
$k=3$
である。

解答テ:3


このとき、$n$回服用直後の血中濃度を表す数列を$\{c_{n}\}$とすると、一般項$c_{n}$は式Iの$P$を$kP$にかえたもの。
なので、
$c_{n}=\displaystyle \frac{4kP}{3}-\frac{kP}{3}\left(\frac{1}{4}\right)^{n-1}$
とかけるけど、
$\left\{\begin{array}{l}
k=3\\
P=5
\end{array}\right.$
なので、上の式は
$c_{n}=\displaystyle \frac{4\cdot 3\cdot 5}{3}-\frac{3\cdot 5}{3}\left(\frac{1}{4}\right)^{n-1}$
$c_{n}$$\displaystyle =20-5\left(\frac{1}{4}\right)^{n-1}$式K
となる。

$c_{n}$は、服用直後の血中濃度。なので、血中濃度が上がったときの値だ。
式Kより、$c_{n}$は$20$を超えない。
つまり、血中濃度は$20$を超えない。

いま、$L=40$なので、
血中濃度は$L$を超えない ことが分かる。

なので、選択肢のうちで正しいのは

である。

解答ト:3