大学入学共通テスト 2021年(令和3年) 追試 数学ⅠA 第3問 解説
はじめに
この問題では、
計算による解法
表による解法
のふたつを解説した。
(2)(i)までは表による解法が楽だと思うけど、(2)(ii)はどちらの解法もあまり差がないかも。
また、以下の解説では
赤球を
袋Aの赤球を
袋Bの赤球を
白球を
と表すことにする。
(1) 計算による解法
(i)
最初は、図Aのような試行をしたとき、箱の中の球のうち少なくとも1個はである確率から。
問題文中に「少なくとも」とあるので、余事象を考えよう。
「少なくとも1個が」の余事象は、「全部」だ。
なので、両方の袋からが取り出される確率を求めて、$1$から引く。
袋Aからが取り出される確率は $\dfrac{1}{3}$
袋Bからが取り出される確率は $\dfrac{1}{4}$
なので、余事象の「全部」の確率は
$\displaystyle \frac{1}{3}\cdot\frac{1}{4}=\frac{1}{12}$
となる。
求める確率は、これを全事象の$1$から引いて、
$1-\displaystyle \frac{1}{12}=\frac{11}{12}$
である。
解答ア:1, イ:1, ウ:1, エ:2
(ii) オカキク
次は、図Bのように、箱からが取り出される確率だ。
箱からが取り出される場合には パターンA 中身がの箱からが取り出される パターンB 中身がの箱からが取り出される のふたつのパターンが考えられる。
このそれぞれの確率を求めて、和を求める方向で解こう。
箱の中がになるのは、両方の袋からが取り出されたとき。
袋Aからが取り出される確率は $\dfrac{2}{3}$
袋Bからが取り出される確率は $\dfrac{3}{4}$
なので、箱の中がになる確率は
$\displaystyle \frac{2}{3}\cdot\frac{3}{4}=\frac{1}{2}$式A
の箱から取り出される球は必ずなので、確率は$1$
よって、パターンAの確率は、
$\displaystyle \frac{1}{2}\times 1=\frac{1}{2}$
箱の中がになる確率から。
$\fbox{アイ}\ \fbox{ウエ}$ より、箱の中に少なくとも1個がある確率、つまり、箱の中がまたはになる確率は
$\dfrac{11}{12}$
式Aより、箱の中がになる確率は
$\dfrac{1}{2}$
なので、箱の中がになる確率は、このふたつの値を引き算して、
$\displaystyle \frac{11}{12}-\frac{1}{2}=\frac{5}{12}$
の箱からが取り出される確率は$\displaystyle \frac{1}{2}$
よって、パターンBの確率は、
$\displaystyle \frac{5}{12}\times\frac{1}{2}=\frac{5}{24}$
以上より、箱からが取り出される確率は、両方のパターンの確率をたして、
$\displaystyle \frac{1}{2}+\frac{5}{24}=\frac{17}{24}$
となる。
解答オ:1, カ:7, キ:2, ク:4
(ii) ケコサ
ここで条件付き確率の復習をしておくと、
復習
事象$A$が起こる確率を$P(A)$,事象$A$と$B$の両方が起こる確率を$P(A\cap B)$とするとき、
$A$が起こったときに$B$が起こる条件付き確率$P_{A}(B)$は、
$P_{A}(B)=\displaystyle \frac{P(A\cap B)}{P(A)}$式B
とかける
この問題の場合、箱から取り出される球が、
である場合が事象$A$
である場合が事象$B$
に当たる。
なので、事象$B$が起こるときは、必ず事象$A$が起こっている。
ベン図で表すと、図Cのような感じだ。
このことから
$P(A\cap B)=P(B)$
といえるので、復習の式Bより、求める条件付き確率$P_{A}(B)$は
$P_{A}(B)=\displaystyle \frac{P(B)}{P(A)}$式C
と表せる。
式Cのうち、$P(A)$はオカキクで求めた
$\displaystyle \frac{17}{24}$
にあたる。
$P(B)$は図Dのように
袋Bからが取り出される①
かつ
箱からが取り出される②
ときの確率だ。
①の確率は$\displaystyle \frac{3}{4}$
②の確率は$\displaystyle \frac{1}{2}$
なので、$P(B)$は
$P(B)=\displaystyle \frac{3}{4}\cdot\frac{1}{2}$
となる。
以上を式Cに代入して、求める条件付き確率$P_{A}(B)$は
$$
\begin{align}
P_{A}(B)&=\frac{\cfrac{3}{4}\cdot\cfrac{1}{2}}{\cfrac{17}{24}}\\
&=\frac{3}{4}\cdot\frac{1}{2}\cdot\frac{24}{17}\\
&=\frac{9}{17}
\end{align}
$$
である。
解答ケ:9, コ:1, サ:7
(2) 計算による解法
(i) シス
今度は、それぞれの袋から球を2個ずつ取り出す、図Eのような試行をしたときの確率だ。
まず、箱の中の球がとなる確率から。
箱の中の球がになるのは、
両方の袋からが取り出される
場合だけ。
袋Aからが取り出される確率は $\dfrac{{}_{2}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}$ 袋Bからが取り出される確率は $\dfrac{{}_{3}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
なので、箱の中の球がである確率は、
$$
\begin{align}
&\frac{{}_{2}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}\times\frac{{}_{3}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}\\
&\qquad=\frac{{}_{2}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}}\times\frac{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}\\
&\qquad=\frac{2}{\cfrac{4\cdot 3}{2\cdot 1}}\\
&\qquad=\frac{1}{3}
\end{align}
$$
である。
解答シ:1, ス:3
(i) セソ
次は、箱の中の球がとなる確率。
箱の中の球のすべての場合を考えると、
パターンA
パターンB
パターンC
の3通りしかない。
なので、余事象の考え方を使って、パターンAとパターンCの確率をたして$1$から引けば、問われているパターンBの確率が求められる。
パターンAになるのは、両方の袋からが取り出される 場合だけ。
袋Aからが取り出される確率は
$\dfrac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}$
袋Bからが取り出される確率は
$\dfrac{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
なので、パターンAになる確率は
$$
\begin{align}
\frac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}}\cdot\frac{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}&=\frac{1}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}\\
&=\frac{1}{6}\class{tex_formula}{式D}
\end{align}
$$
パターンCになる確率は、シスで求めたように
$\displaystyle \frac{1}{3}$
よって、求めるパターンBの確率は、
$1-\displaystyle \left(\frac{1}{6}+\frac{1}{3}\right)=\frac{1}{2}$
である。
解答セ:1, ソ:2
ちょっと計算は面倒になるけど、余事象を使わない解法を別解として載せておいた。
別解
箱の中の球がになるのは
の2つのパターン。
このそれぞれの確率を求めて、和を求めるわけだ。
袋Aからが取り出される確率は
$\dfrac{{}_{2}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}$
袋Bからが取り出される確率は
$\dfrac{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
なので、パターンAになる確率は
$\dfrac{{}_{2}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}}\times\dfrac{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\dfrac{2}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
袋Aからが取り出される確率は
$\dfrac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}$
袋Bからが取り出される確率は
$\dfrac{{}_{3}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
なので、パターンBになる確率は
$$
\begin{align}
\frac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}\times\frac{{}_{3}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}&=\frac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}}\times\frac{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}\\
&= \frac{1}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}
\end{align}
$$
以上より、箱の中の球がになる確率は、両方のパターンの確率をたして、
$$
\begin{align}
\frac{2}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}+\frac{1}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}&=\frac{3}{\cfrac{4\cdot 3}{2\cdot 1}}\\
&=\frac{1}{2}
\end{align}
$$
となる。
解答セ:1, ソ:2
(ii) タチツテ
次は、図Fのように、箱からが取り出される確率だ。
箱からが取り出される場合には、次の3パターンが考えられる。
このそれぞれの確率を求めて、和を求める。
箱の中がになる確率は、
式Dより $\dfrac{1}{6}$
の箱から取り出される球は、
必ず
なので、パターンAの確率は、
$\displaystyle \frac{1}{6}\times 1$
箱の中がになる確率は、
$\fbox{セ} \ \fbox{ソ}$ より $\dfrac{1}{2}$
の箱からが取り出される確率は、
$\dfrac{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\dfrac{1}{2}$
なので、パターンBの確率は、
$\displaystyle \frac{1}{2}\times\frac{1}{2}$
箱の中がになる確率は、
$\fbox{シ} \ \fbox{ス}$ より $\dfrac{1}{3}$
の箱からが取り出される確率は、
$\dfrac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\dfrac{1}{6}$
なので、パターンCの確率は、
$\displaystyle \frac{1}{3}\times\frac{1}{6}$
以上より、箱からが取り出される確率は、この3つのパターンの確率をたして、
$$
\begin{align}
&\frac{1}{6}\cdot 1+\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2}+\frac{1}{3}\cdot\frac{1}{6}\\
&\qquad=\frac{2\cdot 3+3\cdot 3+2}{2\cdot 3\cdot 6}\\
&\qquad=\frac{17}{2\cdot 3\cdot 6}\\
&\qquad=\frac{17}{36}
\end{align}
$$
である。
解答タ:1, チ:7, ツ:3, テ:6
(ii) トナニヌ
最後は、また条件付き確率だ。
今回は、箱から取り出される球が、
である場合が復習の事象$A$
である場合が事象$A \cap B$
にあたる。
なので、復習の式Bの
タチツテより、$P(A)=\displaystyle \frac{17}{36}$
$P(A\cap B)$は、図Gのようになる確率
になる。
ということで、図Gのようになる確率$P(A\cap B)$を求めよう。
箱からが取り出される確率はタチツテで求めたけれど、これには
パターンA
取り出されたのが
パターンB
取り出されたのが
パターンC
取り出されたのが
の3つのパターンが含まれている。
なので、タチツテからパターンAとパターンCの確率を引けば、パターンBの確率、つまり
$P(A\cap B)$
が分かる。
この考え方で解く。
パターンAは、
袋Aからが取り出される①
かつ
箱からが取り出される②
場合。
①の確率は $\dfrac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}$
②の確率は $\dfrac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
なので、パターンAの確率は
$\displaystyle \frac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}\times\frac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\frac{1}{3\cdot 6}$式E
パターンCは
袋Bからが取り出される③
かつ
箱からが取り出される④
場合。
③の確率は $\dfrac{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
④の確率は $\dfrac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
なので、パターンCの確率は
$\displaystyle \frac{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}\times\frac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\frac{3}{6\cdot 6}$式F
よって、$P(A\cap B)$は、タチツテから式E$+$式Fを引いた
$$
\begin{align}
P(A \cap B)&=\frac{17}{36}-\left(\frac{1}{3\cdot 6}+\frac{3}{6\cdot 6}\right)\\
&=\frac{17-(2+3)}{36}\\
&=\frac{12}{36}\class{tex_formula}{式G}
\end{align}
$$
となる。
以上より、求める条件付き確率$P_{A}(B)$は、式Bに式Gとタチツテを代入して、
$P_{A}(B)=\displaystyle \frac{\frac{12}{36}}{\frac{17}{36}}$
$\phantom{ P_{A}(B)\displaystyle } \displaystyle =\frac{12}{17}$
である。
解答ト:1, ナ:2, ニ:1, ヌ:7
上の解説では、余事象の考え方を使って$P(A\cap B)$を求めた。
これが思いつかない場合、真っ正直に場合分けして解くことになる。
せっかくだから次の別解で解説しておくけど、話もややこしいし、お勧めはしない。
別解
箱からが取り出されるのは、
の4つのパターンある。
この4パターンの確率を求めて、たし算だ。
箱の中がになる確率
袋Aからが取り出される確率は
$\dfrac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}$
袋Bからが取り出される確率は
$\dfrac{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
なので、箱の中がになる確率は
$\displaystyle \frac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}}\cdot\frac{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\frac{1}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
の箱からが取り出される確率は
$\displaystyle \frac{{}_{2}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{2}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\frac{4}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
よって、パターンAの確率は
$\displaystyle \frac{1}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}\cdot\frac{4}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\frac{4}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}\cdot {}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
箱の中がになる確率
袋Aからが取り出される確率は
$\dfrac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}$
袋Bからが取り出される確率は
$\dfrac{{}_{3}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\dfrac{{}_{3}\mathrm{C}_{2}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
なので、箱の中がになる確率は
$\displaystyle \frac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}}\cdot\frac{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\frac{1}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
の箱からが取り出される確率は
$\displaystyle \frac{{}_{2}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\frac{2}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
よって、パターンBの確率は
$\displaystyle \frac{1}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}\cdot\frac{2}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\frac{2}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}\cdot {}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
箱の中がになる確率
袋Aからが取り出される確率は
$\dfrac{{}_{2}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}$
袋Bからが取り出される確率は
$\dfrac{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
なので、箱の中がになる確率は
$\displaystyle \frac{{}_{2}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}}\cdot\frac{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\frac{2}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
の箱からが取り出される確率は
$\displaystyle \frac{{}_{1}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{2}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\frac{2}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
よって、パターンCの確率は
$\displaystyle \frac{2}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}\cdot\frac{2}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\frac{4}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}\cdot {}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
箱の中がになる確率
袋Aからが取り出される確率は
$\dfrac{{}_{2}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}$
袋Bからが取り出される確率は
$\dfrac{{}_{3}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}} =\frac{{}_{3}\mathrm{C}_{2}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
なので、箱の中がになる確率は
$\displaystyle \frac{{}_{2}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}}\cdot\frac{\cancel{{}_{3}\mathrm{C}_{2}}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\frac{2}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
の箱からが取り出される確率は
$\displaystyle \frac{{}_{1}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{1}\mathrm{C}_{1}}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\frac{1}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
よって、パターンDの確率は
$\displaystyle \frac{2}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}\cdot\frac{1}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}}=\frac{2}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}\cdot {}_{4}\mathrm{C}_{2}}$
以上より、箱からが取り出される確率は、4つのパターンの確率をたして、
$$
\begin{align}
&\frac{4}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}\cdot {}_{4}\mathrm{C}_{2}}+\frac{2}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}\cdot {}_{4}\mathrm{C}_{2}}\\
&\hspace{100px} +\frac{4}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}\cdot {}_{4}\mathrm{C}_{2}}+\frac{2}{{}_{4}\mathrm{C}_{2}\cdot {}_{4}\mathrm{C}_{2}}\\
&\qquad=\frac{4+2+4+2}{\cfrac{4\cdot 3}{2\cdot 1}\cdot\cfrac{4\cdot 3}{2\cdot 1}}\\
&\qquad=\frac{12}{2\cdot 3\cdot 2\cdot 3}\\
&\qquad=\frac{12}{36}\class{tex_formula}{式H}
\end{align}
$$
となる。
以上より、求める条件付き確率$P_{A}(B)$は、式Bに式Hとタチツテを代入して、
$$ \begin{align} P_{A}(B)&=\frac{\cfrac{12}{\cancel{36}}}{\cfrac{17}{\cancel{36}}}=\frac{12}{17} \end{align} $$
である。
解答ト:1, ナ:2, ニ:1, ヌ:7
(1) 表による解法
(i)
両方の袋から球を取り出すすべてのパターンを表にすると、箱の中の球は表Hのようになる。
| 袋B | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 袋A | |||||
表Hのマスは$12$個あって、全て同じ確率で起こる。
このうち「少なくとも1個は」に当てはまるのは、オレンジの$11$マス。
なので、求める確率は
$\displaystyle \frac{11}{12}$
である。
解答ア:1, イ:1, ウ:1, エ:2
(ii)
箱の中の球が表Hの場合、そこから球をひとつ取り出すと、取り出された球は表Iのような感じだ。
と言っても、表Hのそれぞれのマスの真ん中に線を引いただけだけど。
| 袋B | |||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 袋A | |||||||||
表Iのマスは$24$個あって、全て同じ確率で起こる。
このうち「取りだした球が」にあてはまるのは、オレンジの$17$マス。
なので、求める確率は
$\displaystyle \frac{17}{24}$
である。
解答オ:1, カ:7, キ:2, ク:4
ケコサでは、袋Bから出たを区別しないといけない。
なので、表Iの袋Bのに「B」と書き込むと、表Jができる。
| 袋B | |||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 袋A | |||||||||
ここで、条件付き確率の復習をしておこう。
復習
事象$A$が起こったときに事象$B$が起こる条件付き確率$P_{A}(B)$とは、$A$が起こった場合を全事象と考えて、その中で$B$が起こる確率のことである。
なので、この問題の場合は、
箱から取り出されたのがである場合を全事象と考えて
箱からが取り出される確率を考える
ということになる。
表Jより、
が取り出される場合を全ての事象と考えるので、全ての事象はグレーのマス以外の$17$マス。
箱からが取り出されるのは、オレンジの$9$マス。
なので、求める条件付き確率は
$\displaystyle \frac{9}{17}$
である。
解答ケ:9, コ:1, サ:7
(2) 表による解法
(i)
今度は、それぞれの袋から球を2個ずつ取り出す。
袋Aから球を取り出す方法は、
| - | |||
| - | |||
| - |
の3通り。
詳しく
「いや、との2通りじゃないの?」って思う人もいると思う。
2通りにすると、
の確率は$\displaystyle \frac{1}{3}$
の確率は$\displaystyle \frac{2}{3}$
になって、確率がそろわない。
確率がそろわないと、これをもとに表を作った場合、マスの確率がばらばらになって面倒だ。
なので、袋Aから球を取り出す方法は,,の3通りで、確率はすべて$\displaystyle \frac{1}{3}$と考える。
また、袋Bから球を取り出す方法は、
| - | ||||
| - | ||||
| - | ||||
| - |
の6通りだけど、今回はとの確率が$\frac{3}{6}$ずつで等しいから、
との2通り
と考えよう。
以上より、両方の袋から球を取り出すすべてのパターンは、表Mのようになる。
| 袋B | |||
|---|---|---|---|
| 袋A | |||
表Mのマスは$6$個あって、全て同じ確率で起こる。
このうち「ちょうど2個が」にあてはまるのは、紫の$2$マス。
なので、確率は
$\displaystyle \frac{2}{6}=\frac{1}{3}$
である。
解答シ:1, ス:3
また、「ちょうど3個が」にあてはまるのは、緑の$3$マス。
なので、確率は
$\displaystyle \frac{3}{6}=\frac{1}{2}$
となる。
解答セ:1, ソ:2
(ii)
アドバイス
ここまで快適に解いてきたけれど、ここから表が書きづらくなる。
この先の解説を読んで面倒だと思う人は、ここから先は計算で解くっていうのもアリだと思う。
表Mの白いマスを考える。
このとき、箱の中の球は
なので、ここから2個取り出す方法は
| - | ||||
| - | ||||
| - | ||||
| - |
より6通りある。
詳しく
「いやいや、の1通りでしょ」って思う人もいると思うけど、今回も確率をそろえるために6通りと考える。
同様に、表Mの緑のマスの場合、箱から2個取り出す方法は
| - | ||||
| - | ||||
| - | ||||
| - |
の6通り。
紫のマスの場合も
| - | ||||
| - | ||||
| - | ||||
| - |
の6通りある。
この表M~表Oをひとつにまとめる。
具体的には、
表Nを、表Mの白いマスに
表Oを、表Mの緑のマスに
表Pを、表Mの紫のマスに
入れ込んでしまう。
すると、表Qができる。
| 袋B | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 袋A |
|
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
表Qのマスは$36$個あって、全て同じ確率で起こる。
このうち、問われている「箱から取り出された球が」なのは、オレンジのマスの$17$個。
なので、求める確率は
$\displaystyle \frac{17}{36}$
である。
解答タ:1, チ:7, ツ:3, テ:6
トナニヌでは、また袋Bから出たを区別しないといけない。
なので、ケコサのときと同じように 表Qの袋Bのに「B」と書き込むと、表Rができる。
| 袋B | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 袋A |
|
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
表Rを使って条件付き確率を求めるんだけど、復習より、この問題では
箱から取り出されたのがである場合を全事象と考えて
箱からが取り出される確率を考える
ということになる。
表Rより、
が取り出される場合を全ての事象と考えるので、全ての事象はグレーのマス以外の$17$マス。
箱からが取り出されるのは、オレンジの$12$マス。
なので、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{12}{17}$
である。
解答ト:1, ナ:2, ニ:1, ヌ:7