数学A : 場合の数と確率 条件付き確率の計算

例題

白球が3個・青球が2個・赤球が1個入った袋Aと、1~4の数字が書かれた球が1個ずつ入っている袋Bがある。袋Aから1個、袋Bから2個球を取り出し、Bから取り出した球の数字の和をSとする。
取り出した球によって、次のルールで得点を決める。 Aから出た球が白球なら、Sを得点とする。 Aから出た球が青球なら、Sの2倍を得点とする。 Aから出た球が赤球なら、Sの3倍を得点とする。 このとき、次の問いに答えなさい。

(1)Aから取り出した球が青球のとき、得点が10以上となる条件付き確率を求めなさい。 (2)Sが4以上のとき、得点が10以上となる条件付き確率を求めなさい。 (3)得点が10以上のとき、Aから取り出されたのが青球である条件付き確率を求めなさい。

アドバイス

ここでは、上の例題を 1.教科書通りの解き方 2.確率を書き込んだ表を使った解き方 3.確率をそろえた表を使った解き方 の3通りの解法で解く。

1番目の解法は、どんな問題のときにも使えるけど、解くのは一番面倒。
2番目の解法は、3番目よりも使える問題は多く、1番目よりは解くのが楽。
3番目の解法は、使えない場合も結構あるけど、一番簡単に解ける。
なので、3つの解法すべてをマスターして、問題によって使い分けられるようになってほしい。


問題に入る前に、条件付き確率の復習をしておこう。

条件付き確率の意味は、

復習1

$A$が起こったときに$B$が起こる条件付き確率$P_{A}(B)$とは、$A$が起こった場合を全事象と考えて、その中で$B$が起こる確率のことである。

だった。
多くの参考書には、

復習2

事象$A$が起こる確率を$P(A)$、事象$A$と事象$B$の両方が起こる確率を$P(A\cap B)$とするとき、
$A$が起こったときに$B$が起こる条件付き確率$P_{A}(B)$は、
$P_{A}(B)=\displaystyle \frac{P(A\cap B)}{P(A)}$

と書いてあると思う。
以下、解法1,2では復習2を、解法3では復習1を使って解いてみる。

解法1

問題を解く前に、A,Bの袋から取り出した球のパターンについて考えておこう。


袋Aから取り出す球の色は白,青,赤の3パターンで、確率は表Aのようになる。

表A
確率 $\displaystyle \frac{3}{6}$ $\displaystyle \frac{2}{6}$ $\displaystyle \frac{1}{6}$

袋Bからは、1,2,3,4の数字から2個取り出すので、すべての場合は${}_{4}\mathrm{C}_{2}=6$通り。
このうち、
Sが3になるのは、1,2が出る1通り。 Sが4になるのは、1,3が出る1通り。 Sが5になるのは、1,4と2,3が出る2通り。 Sが6になるのは、2,4が出る1通り。 Sが7になるのは、3,4が出る1通り。 これを確率にして表にまとめると、

表B
3 4 5 6 7
確率 $\displaystyle \frac{1}{6}$ $\displaystyle \frac{1}{6}$ $\displaystyle \frac{2}{6}$ $\displaystyle \frac{1}{6}$ $\displaystyle \frac{1}{6}$

となる。

表Bをつくる別解

袋Bからは、1,2,3,4の数字から2個取り出すので、すべての場合を表にすると次のようになる。

表C
1 2 3 4
1 3 4 5
2 5 6
3 7
4

表の中の数字は出た数字の和で、これがSにあたる。
球は2個同時に取り出すので、表のグレーの部分は起こらない。
取り出した球の順番は関係ないので、表の青い部分は考えなくてもよい。

表Cより、 すべてのマスの数は6個。 Sが3のマスは1個。 Sが4のマスは1個。 Sが5のマスは2個。 Sが6のマスは1個。 Sが7のマスは1個。 なので、それぞれの確率を求めて表にすると、表Bと同じものができる。
説明は長かったけど、別解の作業の方が簡単だ。

ここで作った表A,表Bを使って問題を解く。


(1)

この問題では、事象$A$は「青球が出る」、事象$B$は「得点が10点以上」である。


事象$A$になる確率は、表Aより$\displaystyle \frac{2}{6}$


事象$A\cap B$になるのは、青球が出てSが5以上のとき。
表Bより、Sが5以上になる確率は$\displaystyle \frac{2}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}$
なので、青球が出て得点が10点以上になる確率は、
$\displaystyle \frac{2}{6}\left(\frac{2}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}\right)$


以上より、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{\frac{2}{6}\left(\frac{2}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}\right)}{\frac{2}{6}}=\frac{4}{6}=\frac{2}{3}$式A
である。

解答$\displaystyle \frac{2}{3}$


(2)

この問題では、事象$A$は「Sが4以上」、事象$B$は「得点が10点以上」である。


事象$A$になるのは、表Bより
$\displaystyle \frac{1}{6}+\frac{2}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}$


事象$A\cap B$になるのは、Sが4以上 かつ 得点が10点以上なので、 Sが4のとき、得点が10点以上になるためには赤球が出ないといけない。なので、確率は$\displaystyle \frac{1}{6}\times\frac{1}{6}$ Sが5のとき、得点が10点以上になるためには青球か赤球が出ればよい。なので、確率は$\displaystyle \frac{2}{6}\left(\frac{2}{6}+\frac{1}{6}\right)$ Sが6のとき、得点が10点以上になるためには青球か赤球が出ればよい。なので、確率は$\displaystyle \frac{1}{6}\left(\frac{2}{6}+\frac{1}{6}\right)$ Sが7のとき、得点が10点以上になるためには青球か赤球が出ればよい。なので、確率は$\displaystyle \frac{1}{6}\left(\frac{2}{6}+\frac{1}{6}\right)$ 以上をたして、$P(A\cap B)$は
$\displaystyle \frac{1}{6}\cdot\frac{1}{6}+\frac{2}{6}\left(\frac{2}{6}+\frac{1}{6}\right)+\frac{1}{6}\left(\frac{2}{6}+\frac{1}{6}\right)+\frac{1}{6}\left(\frac{2}{6}+\frac{1}{6}\right)$
$=\displaystyle \frac{13}{6^{2}}$


よって、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{\frac{13}{6^{2}}}{\frac{5}{6}}=\frac{\frac{13}{6}}{5}=\frac{13}{30}$式B
である。

解答$\displaystyle \frac{13}{30}$


(3)

この問題では、事象$A$は「得点が10点以上である」、事象$B$は「青球が出る」である。


事象$A$になるのは、 白球が出たとき、得点が10点以上になることはない。なので、確率は$0$ 青球が出たとき、Sは5以上でないといけない。なので、確率は$\displaystyle \frac{2}{6}\left(\frac{2}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}\right)$ 赤玉が出たとき、Sは4以上でないといけない。なので、確率は$\displaystyle \frac{1}{6}\left(\frac{1}{6}+\frac{2}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}\right)$ 以上をたして、$P(A)$は
$0+\displaystyle \frac{2}{6}\left(\frac{2}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}\right)+\frac{1}{6}\left(\frac{1}{6}+\frac{2}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}\right)$
$=\displaystyle \frac{13}{6^{2}}$


得点が10点以上かつ青球が出る確率は、(1)より、$\displaystyle \frac{2\cdot 4}{6^{2}}$


なので、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{\frac{2\cdot 4}{6^{2}}}{\frac{13}{6^{2}}}=\frac{8}{13}$式C
である。

解答$\displaystyle \frac{8}{13}$

解法2

次は、表で解く方法だ。
やってることは簡単なんだけど、誤解のないようにていねいに説明すると、ちょっと長いかも。頑張ってついてきてほしい。


袋Aから出た球の色とSから得点を計算するとき、色が3通り,Sが5通りあるので、$3\times 5=15$通りのパターンがある。
これを表にまとめると次のようになる。

表D
袋A
3 3 6 9
4 4 8 12
5 5 10 15
6 6 12 18
7 7 14 21

表の中の数字は得点である。

ただし、表Dにはひとつ問題がある。
袋Aから白,青,赤が出る確率は全部異なる。
Sがそれぞれの数字になる確率も、すべて等しいわけではない。
なので、表Cから表Bを作ったときのように、
マスの数は15個。
得点が10以上のマスは7個。
なので、得点が10以上になる確率は$\displaystyle \frac{7}{15}$
のような計算はできない

というわけで、表Dはこのままだと使えない。
なので、表Aと表Bをもとに確率を書き込んで、表Eに進化させてみよう。

表E
袋A
$\displaystyle \frac{3}{6}$ $\displaystyle \frac{2}{6}$ $\displaystyle \frac{1}{6}$
3 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 3 6 9
4 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 4 8 12
5 $\displaystyle \frac{2}{6}$ 5 10 15
6 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 6 12 18
7 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 7 14 21

こうすると、例えば得点が3になる確率は$\displaystyle \frac{3}{6}\times\frac{1}{6}$のように、簡単に計算ができるようになる。

ここまで出来れば勝ったも同然。問題を解こう。


(1)

表F
袋A
$\displaystyle \frac{3}{6}$ $\displaystyle \frac{2}{6}$ $\displaystyle \frac{1}{6}$
3 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 3 6 9
4 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 4 8 12
5 $\displaystyle \frac{2}{6}$ 5 10 15
6 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 6 12 18
7 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 7 14 21

この問題では、事象$A$は「青球が出る」、事象$B$は「得点が10点以上」である。
事象$A$,$A\cap B$の部分を表Eに書き込むと、表Fができる。


事象$A$になるのは、表Fの緑の部分なので、確率は$\displaystyle \frac{2}{6}$


事象$A\cap B$になるのは、表Fの赤文字の部分なので、確率は
$\displaystyle \frac{2}{6}\left(\frac{2}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}\right)$


以上より、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{\frac{2}{6}\left(\frac{2}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}\right)}{\frac{2}{6}}=\frac{4}{6}=\frac{2}{3}$式A'
である。

解答$\displaystyle \frac{2}{3}$


(2)

表G
袋A
$\displaystyle \frac{3}{6}$ $\displaystyle \frac{2}{6}$ $\displaystyle \frac{1}{6}$
3 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 3 6 9
4 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 4 8 12
5 $\displaystyle \frac{2}{6}$ 5 10 15
6 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 6 12 18
7 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 7 14 21

この問題では、事象$A$は「Sが4以上」、事象$B$は「得点が10点以上」である。
事象$A$,$A\cap B$の部分を表Eに書き込むと、表Gができる。


事象$A$になるのは、表Gの緑の部分なので、確率は
$\displaystyle \frac{1}{6}+\frac{2}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}$


事象$A\cap B$になるのは、表Gの赤文字の部分なので、確率は
$\displaystyle \frac{2}{6}\left(\frac{2}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}\right)+\frac{1}{6}\left(\frac{1}{6}+\frac{2}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}\right)$
$=\displaystyle \frac{1}{6^{2}}\{2(2+1+1)+(1+2+1+1)$
$=\displaystyle \frac{13}{6^{2}}$


以上より、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{\frac{13}{6^{2}}}{\frac{5}{6}}=\frac{\frac{13}{6}}{5}=\frac{13}{30}$式B'
である。

解答$\displaystyle \frac{13}{30}$


(3)

この問題では、事象$A$は「得点が10点以上である」、事象$B$は「青球が出る」である。
事象$A$,$A\cap B$の部分を表Eに書き込むと、表Hができる。

表H
袋A
$\displaystyle \frac{3}{6}$ $\displaystyle \frac{2}{6}$ $\displaystyle \frac{1}{6}$
3 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 3 6 9
4 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 4 8 12
5 $\displaystyle \frac{2}{6}$ 5 10 15
6 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 6 12 18
7 $\displaystyle \frac{1}{6}$ 7 14 21

事象$A$になるのは、表Hの緑の部分。これは表Gの赤文字の部分と等しいので、確率は
$\displaystyle \frac{13}{6^{2}}$


事象$A\cap B$になるのは、表Hの赤文字の部分。これは表Fの赤文字の部分と等しいので、確率は
$\displaystyle \frac{2\cdot 4}{6^{2}}$


以上より、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{\frac{2\cdot 4}{6^{2}}}{\frac{13}{6^{2}}}=\frac{8}{13}$式C'
である。

解答$\displaystyle \frac{8}{13}$

アドバイス

ここまでの解説を見れば分かるけど、解法1と解法2では、計算自体は変わらない。実際、式Aと式A',式Bと式B',式Cと式C'は全く同じ式だ。
実は、解法2は 解法1を表の形で整理したものにすぎない。けれど、解説は解法2の方がはるかに読みやすい。
このことから、数学では情報を目に見える形にすることが大切だと理解してもらえると思う。

解法3

解法2は解法1よりも楽になったけれど、それでもまだ面倒だ。原因は簡単で、表Eに問題がある。表のタテの列ごと,ヨコの行ごとに確率が異なるのが、すべての元凶なのだ。

表I
袋A
3 3 3 3 6 6 9
4 4 4 4 8 8 12
5 5 5 5 10 10 15
5 5 5 5 10 10 15
6 6 6 6 12 12 18
7 7 7 7 14 14 21

ならば、確率をそろえてしまえばいい。
袋Aに入っている球は6個あるので、それを全部表に書けばいい。
表Bから球を2個取り出す場合の数は6通りあるので、それも全部書く。
すると表Iができるけど、この表のいいところは、すべてのマスが同じ確率で起こることだ。

すべてのマスが同じ確率だと、例えば得点が3点になる確率は、
マスは全部で36個。
得点が3のマスは3個。
よって、得点が3になる確率は$\displaystyle \frac{3}{36}=\frac{1}{12}$
のような計算が出来て、とても便利だ。

さらに、ここで条件付き確率の意味をもう一度確認しておこう。

復習

$A$が起こったときに$B$が起こる条件付き確率$P_{A}(B)$とは、$A$が起こった場合を全事象と考えて、その中で$B$が起こる確率のことである。

この条件付き確率の意味と、表Iを使って問題を解く。


(1)

表J
袋A
3 3 3 3 6 6 9
4 4 4 4 8 8 12
5 5 5 5 10 10 15
5 5 5 5 10 10 15
6 6 6 6 12 12 18
7 7 7 7 14 14 21

この問題では、事象$A$は「青球が出る」、事象$B$は「得点が10点以上」である。
事象$A$,$A\cap B$の部分を表Iに書き込むと、表Jができる。


事象$A$になるのは、表Jの緑の部分で、マスの数は$12$
事象$A\cap B$になるのは、表Jの赤文字の部分なので、マスの数は$8$
なので、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{8}{12}=\frac{2}{3}$
である。

解答$\displaystyle \frac{2}{3}$


(2)

表K
袋A
3 3 3 3 6 6 9
4 4 4 4 8 8 12
5 5 5 5 10 10 15
5 5 5 5 10 10 15
6 6 6 6 12 12 18
7 7 7 7 14 14 21

この問題では、事象$A$は「Sが4以上」、事象$B$は「得点が10点以上」である。
事象$A$,$A\cap B$の部分を表Iに書き込むと、表Kができる。


事象$A$になるのは、表Kの緑の部分で、マスの数は$30$
事象$A\cap B$になるのは、表Kの赤文字の部分なので、マスの数は$13$
なので、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{13}{30}$
である。

解答$\displaystyle \frac{13}{30}$


(3)

表L
袋A
3 3 3 3 6 6 9
4 4 4 4 8 8 12
5 5 5 5 10 10 15
5 5 5 5 10 10 15
6 6 6 6 12 12 18
7 7 7 7 14 14 21

この問題では、事象$A$は「得点が10点以上である」、事象$B$は「青球が出る」である。
事象$A$,$A\cap B$の部分を表Iに書き込むと、表Lができる。


事象$A$になるのは、表Lの緑の部分で、マスの数は$13$
事象$A\cap B$になるのは、表Lの赤文字の部分なので、マスの数は$8$
なので、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{8}{13}$
である。

解答$\displaystyle \frac{8}{13}$

アドバイス

解法3が圧倒的に簡単なのが分かってもらえたと思う。
くり返しになるけれど、これはどんな問題でも使えるわけではない。しかし、使えればとても楽に問題が解ける。なので、この方法をぜひマスターしてほしい。