数学A : 場合の数と確率 条件付き確率の意味

はじめに

大学入学共通テストでよく出題される条件付き確率だけれど、意味がよく分からないって人もいるようなので、基本的なところを説明しておこう。

まず復習をしておくと、条件付き確率の意味は

復習

事象$A$が起こったときにが事象$B$が起こる条件付き確率$P_{A}(B)$とは、$A$が起こった場合を全事象と考えて、その中で$B$が起こる確率のことである。

だった。
これではイメージがつかみにくいので、例を挙げて解説する。

例題1

例題

1~12の数字が1つずつ書かれた10枚のカードがある。この中から無作為にカードを1枚選ぶ。
選ばれたカードに書かれた数字が素数のとき、それが12の約数である条件付き確率を求めなさい。

解説

$1$~$12$の数字から素数と$12$の約数を探すと、図Aのようになる。

図A
条件付き確率の意味 解説図A

この問題で 上の復習の事象$A$にあたるのは 素数の場合。
図Aでいうと、緑の部分だ。
この緑の部分を全事象として、それ以外の場合(グレーの部分)は存在しないと考える。

上の復習の事象$B$にあたるのは $12$の約数の場合。
図Aでいうと、オレンジで囲んだ部分。
だけど、グレーの部分は存在しないと考えるから、使うのは赤文字の部分だ。

よって、求める条件付き確率は、図Aの
緑の部分を全事象としたときの 赤文字になる確率 であるといえる。

また、全ての数字は同じ確率で選ばれる。

以上より、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{\text{赤文字の数}}{\text{緑の部分の数字の数}}=\frac{2}{5}$
である。

解答$\displaystyle \frac{2}{5}$

例題2

例題

1個のさいころを2回投げて、1回目に出た目を$a$,2回目に出た目を$b$とする。
$a \lt b$ のとき、$a+b\leqq 4$ である条件付き確率を求めなさい。

解説

さいころを2回投げるので、目の出かたの場合の数は$6\times 6=36$通りで、表にすると表Bのようになる。

表B
$b$
123456
$a$1
2
3
4
5
6

この問題で、上の復習の事象$A$にあたるのは $a \lt b$の場合。
表Bでいうと、緑の部分だ。
この緑の部分を全事象として、それ以外の場合(グレーの部分)は存在しないと考える。

上の復習の事象$B$にあたるのは $a+b\leqq 4$である場合。
表Bでいうと、オレンジで囲んだ部分。
だけど、グレーの部分は存在しないと考えるから、使うのは赤丸の部分だ。

よって、求める条件付き確率は、表Bの
緑の部分を全事象としたときの 赤丸になる確率 であるといえる。

また、表Bの全てのマスは同じ確率で起こる。

以上より、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{\text{赤丸の数}}{\text{緑のマスの数}}=\frac{2}{15}$
である。

解答$\displaystyle \frac{2}{15}$

例題3

例題

A,Bの2組でテストをしたところ、得点の分布は図のようになった。
この2クラスの生徒から一人選ぶ。
選ばれた生徒の得点が80点以上のとき、A組の生徒である条件付き確率を求めなさい。

条件付き確率の意味 例題図

解説

図C
条件付き確率の意味 解説図C

この問題で、上の復習の事象$A$にあたるのは、選ばれたのが得点が80点以上の生徒の場合。
図Cでいうと、緑の部分だ。
この緑の部分を全事象として、それ以外の場合(グレーの部分)は存在しないと考える。

上の復習の事象$B$にあたるのは、選ばれたのがA組の生徒の場合。
図Cでいうと、オレンジで囲んだ部分。
だけど、グレーの部分は存在しないと考えるから、使うのは赤で囲んだ部分だ。

よって、求める条件付き確率は、図Cの
緑の部分を全事象としたときの 赤で囲んだ部分になる確率 であるといえる。

以上より、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{\text{赤で囲んだ部分の人数}}{\text{緑の部分の人数}}=\frac{5}{9}$
である。

解答$\displaystyle \frac{5}{9}$

例題4

例題

男子と女子の人数比が$2:3$のクラスで 文化祭の出し物のアンケートをしたところ、男子の$\displaystyle \frac{1}{2}$と女子の$\displaystyle \frac{1}{6}$がお化け屋敷と回答した。
このクラスの生徒から一人選ぶ。
選ばれたのがお化け屋敷と回答した生徒である場合、男子である条件付き確率を求めなさい。

解説

例題の文章を表に整理すると、表Dができる。

表D
男子
$\displaystyle \frac{2}{5}$
女子
$\displaystyle \frac{3}{5}$
お化け屋敷$\displaystyle \frac{2}{5}\times\frac{1}{2}=\frac{2}{10}$$\displaystyle \frac{3}{5}\times\frac{1}{6}=\frac{1}{10}$
その他

この問題で、上の復習の事象$A$にあたるのは、選ばれたのがお化け屋敷と回答した生徒の場合。
表Dでいうと、緑の部分だ。
この緑の部分を全事象として、それ以外の場合(グレーの部分)は存在しないと考える。

上の復習の事象$B$にあたるのは、選ばれたのが男子の場合。
表Dでいうと、オレンジで囲んだ部分。
だけど、グレーの部分は存在しないと考えるから、使うのは赤文字の部分だ。

よって、求める条件付き確率は、表Dの
緑の部分を全事象としたときの 赤文字の部分になる確率 であるといえる。

以上より、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{\frac{2}{10}}{\frac{2}{10}+\frac{1}{10}}=\frac{2}{3}$
である。

解答$\displaystyle \frac{2}{3}$

アドバイス

条件付き確率のイメージはつかめただろうか。

参考書なんかには

復習

事象$A$が起こる確率を$P(A)$,事象$A$と事象$B$の両方が起こる確率を$P(A\cap B)$とするとき、$A$が起こったときに$B$が起こる条件付き確率$P_{A}(B)$は、
$P_{A}(B)=\displaystyle \frac{P(A\cap B)}{P(A)}$

って書いてあることが多いと思う。

もちろんこれは正しいし、結局は上の解説と同じことを言っているんだけど、上の解説のように 意味から考えた方がシンプルに解けることも多い。
どちらの方法も使えるようにしておこう。