数学A : 場合の数と確率 大学入試センター試験 2008年追試 数学ⅠA第4問 解説

アドバイス

2次関数と確率をからめた問題が、過去何度か出題されている。
と言っても、2次関数の部分はぜんぜん難しくないから大丈夫。

(1)

$y=x^{2}$のグラフを $x$軸方向に$a$,$y$軸方向に$a-b$平行移動するので、移動後のグラフ$G$の
頂点の座標は
$(a,a-b)$式A
式は
$y=(x-a)^{2}+(a-b)$
$y$切片は
$(0-a)^{2}+(a-b)=a^{2}+a-b$
$(0-a)^{2}+(a-b)$$=a(a+1)-b$式B
となる。

まず、得点についてのルールを確認しよう。

$y=x^{2}$を平行移動したグラフは下に凸の放物線なので、グラフで考えると
図Aのとき0点 図Bまたは図Cのとき1点 図Dのとき2点 といえる。


図A
大学入試センター試験2008年本試 数学ⅠA第4問 解説図A
図B
大学入試センター試験2008年本試 数学ⅠA第4問 解説図B
図C
大学入試センター試験2008年本試 数学ⅠA第4問 解説図C
図D
大学入試センター試験2008年本試 数学ⅠA第4問 解説図D

アドバイス

$a$はさいころの目なので、必ず正の数。
つまり、グラフは必ず$x$軸の正の方向に移動する。
なので、図Eのような場合は起こらないので考えなくてよい。

図E
大学入試センター試験2008年本試 数学ⅠA第4問 解説図E

このことから、

表F
頂点の$y$座標
$0$
グラフの
$y$切片
$0$以下1点0点
2点

であることが分かる。

表Fを式A,式Bを使って$a$,$b$で表すと、表Gができる。

詳しく

式Aより、頂点の$y$座標が
負になるのは、
$a-b \lt 0$ より、
$a \lt b$ のとき
$0$になるのは、
$a-b=0$ より、
$a=b$ のとき
正になるのは、
$a-b \gt 0$ より、
$a \gt b$ のとき
である。

また、グラフの$y$切片が
$0$以下になるのは、
$a(a+1)-b\leqq 0$ より、
$a(a+1)\leqq b$ のとき
正になるのは、
$a(a+1)-b \gt 0$ より、
$a(a+1) \gt b$ のとき
である。

表G
$a \lt b$$a=b$$a \gt b$
$a(a+1)\leqq b$1点0点
$a(a+1)\gt b$2点

表Gより、
$a \gt b$のとき、得点は0点 $a=b$のとき、得点は1点 である。

解答ア:0, イ:1

(2)(3)

PCでFirefoxをお使いの場合、表H~表Jが表示されないことがあります。
その場合、Firefoxのウインドウ幅を変えれば表示されるようになると思います。

表Gをもうちょっと分かりやすくしよう。
さいころを2個投げるので、目の出方は$6\times 6=36$通り。
これを6行$\times$6列の表にする。

まず、$a$と$b$の大小関係から。
$a=b$の場合を赤くすると、表Hができる。

表H
小($b$)
$1$$2$$3$$4$$5$$6$

($a$)
$1$
$2$
$3$
$4$
$5$
$6$

$a=b$のとき1点,$a \gt b$のとき0点なので、
表Hの赤いマスは1点 赤いマスより左、つまり青いマスの部分は0点 だ。


赤いマスより右、つまり黄色いマスのときは、
$a(a+1)\leqq b$のとき、1点 $a(a+1) \gt b$のとき、2点 だけど、考えるよりもやってみた方が早い。
どうせ黄色いマスは15個しかないし。

まず$a(a+1)$を計算して、$b$と比較すると、図Iのようになる。

表中の
×の部分は$a(a+1)\leqq b$なので、1点 ○の部分は$a(a+1) \gt b$なので、2点 だ。

表I
小($b$)
$a(a+1)$$1$$2$$3$$4$$5$$6$

($a$)
$1$$2$×××××
$2$$6$×
$3$$12$
$4$$20$
$5$$30$
$6$$42$

表Iを見やすく整理すると、表Jになる。

表J
小($b$)
$1$$2$$3$$4$$5$$6$

($a$)
$1$$1$$1$$1$$1$$1$$1$
$2$$0$$1$$2$$2$$2$$1$
$3$$0$$0$$1$$2$$2$$2$
$4$$0$$0$$0$$1$$2$$2$
$5$$0$$0$$0$$0$$1$$2$
$6$$0$$0$$0$$0$$0$$1$

それから、確認だけど、表の$36$個のマスは同じ確率で起こる。

アドバイス

考え方を詳しく説明したので、長くなってしまった。
ここでは説明のために表をたくさん書いたけど、試験本番では表H~表Jを分けて書く必要はない。

(2)

表Jを見ると、$a=1$の行には1点のマスが6個。
なので、6通り。

解答ウ:6

同様に、$a=2$の行には0点のマスが1個。
なので、1通り。

解答エ:1

また、1点のマスは2個。
なので、2通り。

解答オ:2

(3)

表Jのマスの数は全部で
$6\times 6=36$個
そのうち、
0点のマスは$15$個
なので、0点である確率は
$\displaystyle \frac{15}{36}=\frac{5}{12}$
である。

解答カ:5, キ:1, ク:2


また、
1点のマスは$12$個
なので、1点である確率は
$\displaystyle \frac{12}{36}=\frac{1}{3}$
である。

解答ケ:1, コ:3


アドバイス

次に問われている期待値は、今の教育課程からは外れている。
一応解説は書いておくけど、読み飛ばしてもらってかまわない。

表Jの全てのマスは同じ確率で起こるので、得点の期待値は表Jのすべての数の平均値と等しい。
表中、

0点のマスは$15$個
1点のマスは$12$個
2点のマスは$9$個

なので、平均値は
$\displaystyle \frac{0\times 15+1\times 12+2\times 9}{36}=\frac{30}{36}$
$\displaystyle \frac{0\times 15+1\times 12+2\times 9}{36}$$\displaystyle =\frac{5}{6}$
である。

解答サ:5, シ:6