大学入試センター試験 2015年(平成27年) 追試 数学ⅠA 第2問 [1] 解説

問題を解く準備

まず、それぞれの条件を数直線で表しておこう。

121
2次不等式の解法(1)

$p$について、
$2\sqrt{3}=\sqrt{12}$なので、
$\sqrt{9} \lt \sqrt{11} \lt \sqrt{12} \lt \sqrt{16}$
より、
$3 \lt \sqrt{11} \lt 2\sqrt{3} \lt 4$
だから、条件$p$の表す範囲の数直線は

図A
大学入試センター試験2015年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図A

とかける。

$q$について、
$\sqrt{9} \lt \sqrt{11} \lt \sqrt{16}$なので、
$\displaystyle \frac{3}{2} \lt \frac{\sqrt{11}}{2} \lt 2$

47
文字係数の方程式・不等式

さらに$0 \lt a$なので、
$a \lt \displaystyle \frac{\sqrt{11}}{2}a$
になるから、条件$q$の表す範囲の数直線は

図B
大学入試センター試験2015年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図B

とかける。

$r$について、
条件$r$の表す範囲は整数なので、図Cの数直線では●である。

図C
大学入試センター試験2015年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図C

以上のように数直線が描けたところで、問題を解こう。

(1)

図Aと図Cより、
条件$p$の集合 $\supset$ 条件$r$の集合
である。
ベン図で描けば、図Dのようになる。

図D
大学入試センター試験2015年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図D
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必要条件と十分条件

$p$の集合が$r$の集合を含んでいるので、$p$は$r$であるための必要条件。

解答ア:2

アドバイス

一般的には
$p\Rightarrow r$ × $p\Leftarrow r$ ○ なので、必要条件
って解くことが多いけど、○×の判定で混乱したり間違えたりする人が多い。なので、数直線やベン図で表せるときは、集合の大小で考える方がおすすめ。
「大きい集合は小さい集合の必要条件」。呪文のように憶えておこう。

(2)

55
補集合

図Aより、集合Aは

図E
大学入試センター試験2015年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図E

とかける。

図Bより、集合Bは

図F
大学入試センター試験2015年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図F

とかける。

ここまでの別解

ゼンゼンおすすめじゃないけど、$\overline{p}$や$\overline{q}$を数直線を使わずに求めるとこうなる。

$P$は$(x\leqq\sqrt{11}\cup 2\sqrt{3}\leqq x)$なので、
$\overline{p}$は$\overline{(x\leqq\sqrt{11}\cup 2\sqrt{3}\leqq x)}$
ド・モルガンの法則より、
$\overline{p}=\overline{x\leqq\sqrt{11}}\cap\overline{2\sqrt{3}\leqq x}$
$\overline{p}$$=\sqrt{11} \lt x \lt 2\sqrt{3}$

$q$は$\left(x\leqq a\cup\frac{\sqrt{11}}{2}a\leqq x\right)$なので、
$\overline{q}$は$\overline{\left(x\leqq a\cup\frac{\sqrt{11}}{2}a\leqq x\right)}$
ド・モルガンの法則より、
$\overline{q}=\overline{x\leqq a}\cap\overline{\frac{\sqrt{11}}{2}a\leqq x}$
$\displaystyle \overline{q}$$\displaystyle =a \lt x \lt \frac{\sqrt{11}}{2}a$

54
空集合

$A\cap B$が空集合にならないためには、$\overline{p}$と$\overline{q}$に重なる部分があればよい。
よって、
$a\leqq 2\sqrt{3}$ かつ $\displaystyle \sqrt{11}\leqq\frac{\sqrt{11}}{2}a$
であればよい。ここで分からなくなった人は、下の別解を読んでほしい。

46
連立不等式の
解法(1次)

ということで、連立不等式
$\left\{\begin{array}{l}
a\leqq 2\sqrt{3}\\
\sqrt{11}\leqq\frac{\sqrt{11}}{2}a
\end{array}\right.$
の解が、求める答えだ。
下の式の両辺に$2$をかけて$\sqrt{11}$で割ると、
$2\leqq a$
となるから、上の式とあわせて、
$2\leqq a\leqq 2\sqrt{3}$
である。

解答イ:2, ウ:2, エ:3

別解

こういうややこしい条件を考えるときには、ダメな場合を考えた方が楽なことがある。
ダメな場合を考えると、

図G
大学入試センター試験2015年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図G

図Gのように、$\overline{q}$が$\overline{p}$の左に離れるのはダメ。
式で書くと、$\displaystyle \frac{\sqrt{11}}{2}a \lt \sqrt{11}$はダメ。
両辺に$2$をかけて$\sqrt{11}$で割って、$a \lt 2$はダメ。

図H
大学入試センター試験2015年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図H

図Hのように、$\overline{q}$が$\overline{p}$の右に離れるのもダメ。
式にすると、$2\sqrt{3} \lt a$はダメ。

結局、ダメなのは$a \lt 2$と$2\sqrt{3} \lt a$。
以上より、ダメじゃないのは
$2\leqq a\leqq 2\sqrt{3}$
で、これが答えだ。

解答イ:2, ウ:2, エ:3