大学入試センター試験 2018年(平成30年) 追試 数学ⅠA 第1問 [2] 解説

問題を解く準備

最初に、それぞれの条件の式を変形して、$x$の範囲を求めておこう。

p

$|x-1|\leqq a$
$-a\leqq x-1\leqq a$
$1-a\leqq x\leqq 1+a$式A
より、数直線を描くと、図Aになる。
$1$を中心にして左右それぞれ$a$の範囲だ。

図A
大学入試センター試験2018年追試 数学ⅠA第1問[2] 解説図A

q

$|x|\displaystyle \leqq\frac{5}{2}$
$-\displaystyle \frac{5}{2}\leqq x\leqq\frac{5}{2}$
より、数直線を描くと、図Bになる。
$0$を中心にして左右それぞれ$\displaystyle \frac{5}{2}$の範囲だ。

図B
大学入試センター試験2018年追試 数学ⅠA第1問[2] 解説図B

r

$x^{2}-2x\leqq a$
$x^{2}-2x-a\leqq 0$

$x^{2}-2a-a=0$のとき、解の公式より、
$x=\displaystyle \frac{2\pm\sqrt{2^{2}-4\cdot 1\cdot(-a)}}{2\cdot 1}$
$x\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2\pm\sqrt{2^{2}(1+a)}}{2\cdot 1}$
$x$$=1\pm\sqrt{1+a}$
である。

よって、上の不等式の解は、
$1-\sqrt{1+a}\leqq x\leqq 1+\sqrt{1+a}$
である。

数直線を描くと、図Cができる。
$1$を中心にして左右それぞれ$\sqrt{1+a}$の範囲だ。

図C
大学入試センター試験2018年追試 数学ⅠA第1問[2] 解説図C

別解

$x^{2}-2x\leqq a$
両辺に$1$をたして、
$x^{2}-2x+1\leqq a+1$
$(x-1)^{2}\leqq\sqrt{a+1}^{2}$

途中式 これは、
$x^{2}\leqq 3^{2}$
なんかと同じ形。
$x^{2}\leqq 3^{2}$

$x^{2}-3^{2}\leqq 0$
$(x+3)(x-3)\leqq 0$
より
$-3\leqq x\leqq 3$
と変形できる。
同様に、
$(x-1)^{2}\leqq\sqrt{a+1}^{2}$
は次のように変形できる。
$-\sqrt{a+1}\leqq x-1\leqq\sqrt{a+1}$
各辺に$1$をたして、
$1-\sqrt{a+1}\leqq x\leqq 1+\sqrt{a+1}$
$1-\sqrt{1+a}\leqq x\leqq 1+\sqrt{1+a}$
である。

(1)

アドバイス

必要条件・十分条件の問題は、一般的には
$A\Rightarrow B$ ×
$A\Leftarrow B$ ○
ならば、$A$は$B$であるための必要条件
$A\Rightarrow B$ ○
$A\Leftarrow B$ ×
ならば、$A$は$B$であるための十分条件
って解くけど、○×の判定で混乱したり間違えたりすることが多い。

なので、数直線やベン図などで表せるときは、次のように集合の大小で考える方がおすすめ。

大学入試センター試験2018年追試 数学ⅠA第1問[2] 復習図

$A$が$B$を含んでいるとき、$A$は$B$であるための必要条件
大学入試センター試験2018年追試 数学ⅠA第1問[2] 復習図

$A$が$B$に含まれているとき、$A$は$B$であるための十分条件

「大は小の必要条件。」呪文のように憶えておこう。

この考え方で問題を解く。

a=1 のとき

$a=1$のとき、式Aに$a=1$を代入して、
条件$p$は
$0\leqq x\leqq 2$
である。
これを図Bに書き込むと、図Dができる。

図D
大学入試センター試験2018年追試 数学ⅠA第1問[2] 解説図D

図Dより、条件$p$の集合は、条件$q$の集合に含まれる。
なので、十分条件。

解答シ:1

a=3 のとき

$a=3$のとき、式Aに$a=3$を代入して、
条件$p$は
$-2\leqq x\leqq 4$
である。
これを図Bに書き込むと、図Eができる。

図E
大学入試センター試験2018年追試 数学ⅠA第1問[2] 解説図E

図Eより、条件$p$の集合と条件$q$の集合は、どちらも もう一方を含んでいない。
なので、必要条件でも十分条件でもない。

解答ス:3

(2)

復習

命題$A\Rightarrow B$が真の場合、集合$A$,集合$B$のベン図は

大学入試センター試験2018年追試 数学ⅠA第1問[2] 復習図 大学入試センター試験2018年追試 数学ⅠA第1問[2] 復習図

である。
言いかえると、
$A$が$B$に含まれるか等しいとき、$A\Rightarrow B$は真である。

というわけで、条件を満たす数直線を考えてみよう。

pq が真

$p\ \Rightarrow\ q$ が真なので、$p$が$q$に含まれていればよい。
つまり、図Fの数直線のように、緑の点が赤い点より左にあればよい。

図F
大学入試センター試験2018年追試 数学ⅠA第1問[2] 解説図F

それから、緑の点と赤い点がちょうど重なるときもOK。
なので、
$1+a\displaystyle \leqq\frac{5}{2}$
であればよい。

これを解くと、
$a\displaystyle \leqq\frac{5}{2}-1$
$a\displaystyle \leqq\frac{3}{2}$
となるので、条件を満たす$a$の最大値は$\displaystyle \frac{3}{2}$である。

解答セ:3, ソ:2

アドバイス

$p$は、$1$を中心にして左右それぞれ$a$の範囲
$q$は、$0$を中心にして左右それぞれ$\displaystyle \frac{5}{2}$の範囲
なので、図Fで、緑の点が赤い点より左にあれば、青い点はオレンジの点よりも右にあるのは明らか。
よって、この問題の場合、$p$,$q$の左端の関係、つまり$-\displaystyle \frac{5}{2}\leqq 1-a$は考える必要はない。てか、考えてもいいけど、答えには影響がない。

qp が真

$q\ \Rightarrow\ p$ が真なので、$q$が$p$に含まれていればよい。
つまり、図Gの数直線のように、青い点がオレンジの点より左にあればよい。

図G
大学入試センター試験2018年追試 数学ⅠA第1問[2] 解説図G

それから、青い点とオレンジの点がちょうど重なるときもOK。
なので、
$1-a\displaystyle \leqq-\frac{5}{2}$
であればよい。

これを解くと、
$-a\displaystyle \leqq-\frac{5}{2}-1$
$-a\displaystyle \leqq-\frac{7}{2}$
$\displaystyle \frac{7}{2}\leqq a$
となるので、条件を満たす$a$の最小値は$\displaystyle \frac{7}{2}$である。

解答タ:7, チ:2

アドバイス

今回も、図Gで、青い点がオレンジの点より左にあれば、緑の点は赤い点よりも右にあるのは明らか。
なので、$p$,$q$の右端の関係、つまり$\displaystyle \frac{5}{2}\leqq 1+a$は考える必要はない。

(3)

(2)と同様に解く。

$r\ \Rightarrow\ q$ が真なので、$r$が$q$に含まれていればよい。
つまり、図Hの数直線のように、緑の点が赤い点より左にあればよい。

図H
大学入試センター試験2018年追試 数学ⅠA第1問[2] 解説図H

それから、緑の点と赤い点がちょうど重なるときもOK。
なので、
$1+\displaystyle \sqrt{1+a}\leqq\frac{5}{2}$
であればよい。

これを解く。
$\displaystyle \sqrt{1+a}\leqq\frac{5}{2}-1$
$\displaystyle \sqrt{1+a}\leqq\frac{3}{2}$
左辺も右辺も正の数なので、両辺を2乗して、
$1+a\displaystyle \leqq\frac{9}{4}$
$a\displaystyle \leqq\frac{9}{4}-1$
$a\displaystyle \leqq\frac{5}{4}$
また、$a$は正の数なので、
$0 \lt a\displaystyle \leqq\frac{5}{4}$
となるので、条件を満たす$a$の最大値は$\displaystyle \frac{5}{4}$である。

解答ツ:5, テ:4

アドバイス

この問題でも、$r$,$q$の左端の関係を考える必要はない。