大学入試センター試験 2018年(平成30年) 追試 数学ⅠA 第4問 解説

[1]

1次不定方程式はお約束の解き方があるので憶えておこう。

$23x-31y=2$式A
を解く。

$x$と$y$の係数の$23$と$31$でユークリッドの互除法を行うと、
$31\div 23=1\ldots 8$式B1
$23\div 8=2\ldots 7$式B2
$8\div 7=1\ldots 1$式B3

これを「=余り」の形に変形して、
$31-23\cdot 1=8$式B1'
$23-8\cdot 2=7$式B2'
$8-7\cdot 1=1$式B3'

式B3'に式B2'を代入して、
$8-(23-8\cdot 2)\cdot 1=1$
$8-23+8\cdot 2=1$
$23\cdot (-1)+8\cdot 3=1$
これに式B1'を代入して、
$23\cdot (-1)+(31-23\cdot 1)\cdot 3=1$
$23\cdot (-1)+31\cdot 3+23\cdot (-3)=1$
$23\cdot (-4)+31\cdot 3=1$
ができる。

これを式Aの方程式に合わせよう。
係数の符号をあわせて、
$23\cdot(-4)-31\cdot(-3)=1$
両辺に$2$をかけて、
$23\cdot(-8)-31\cdot(-6)=2$式C

式Aから式Cを辺々引くと、

$23x$ $-31y$ $=$ $2$
$-)$ $23\cdot(-8)$ $-31\cdot(-6)$ $=$ $2$
$23(x+8)$ $-31(y+6)$ $=$ $0$

となるから、
$23(x+8)=31(y+6)$式D
とかける。

ここで、$23$と$31$は互いに素なので、式Dが成り立つためには、$m$を整数として
$\left\{\begin{array}{l}
x+8=31m\\
y+6=23m
\end{array}\right.$
より
$\left\{\begin{array}{l}
x=31m-8\\
y=23m-6
\end{array}\right.$式E
でなければならない。

問題文より$x$,$y$は自然数。
よって、式Eより
$\left\{\begin{array}{l}
0 \lt 31m-8\\
0 \lt 23m-6
\end{array}\right.$
となるので、$m$の範囲は
$1\leqq m$
だ。

また、式Eより、$m$が大きくなれば$x$,$y$も大きくなる。
つまり、$m$が最小値の$1$のとき、$x$,$y$も最小値だ。
式Eに$m=1$を代入して、
$x=31\cdot 1-8$
$x$$=23$
$y=23\cdot 1-6$
$y$$=17$
より、$x$が最小になるときの$(x,y)$は$(23,17)$である。

解答ア:2, イ:3, ウ:1, エ:7


$n=31\times 17$式F
なので、これまでの計算で$31\cdot 17$が出てこなかったか、まず確認だ。
式Aの不定方程式にアイウエで求めた解を代入すると、$31\cdot 17$を含む式ができることに気づく。
とりあえず式を作って、その先はできた式を見ながら考えよう。

アイウエの解を式Aに代入して、
$23\cdot 23-31\cdot 17=2$
より
$31\cdot 17=23^{2}-2$
となる。
これを式Fに代入して、
$n=23^{2}-2$
であるから、
$n^{3}=(23^{2}-2)^{3}$
$n^{3}$$=$$(23^{2})^{3}-3(23^{2})^{2}\cdot 2+3\cdot 23^{2}\cdot 2^{2}$$-2^{3}$
となる。

この式の青い部分は$23$で割り切れる。
よって、$n^{3}$を$23$で割った余りは、式の赤い部分
$-2^{3}=-8$
なんだけど、余りが負の数ってのはセンター試験的にはアウトだ。
なので、余りを正の数にしよう。
割る数は$23$なので、
$-8+23=15$
より、余りは$15$である。

解答オ:1, カ:5

[2](1)

循環小数を分数に変形する方法を思い出そう。

今回分数にしたい循環小数を
$a=0.\dot{5}$式G
とおく。
循環している数字は$1$桁だから、この両辺を$10^{1}$倍して、
$10a=5.\dot{5}$式G'
として、式G'から式Gを辺々引くと、

$10a$ $=$ $5.\dot{5}$
$-)$ $a$ $=$ $0.\dot{5}$
$9a$ $=$ $5$
となるので、
$a=\displaystyle \frac{5}{9}$
である。

解答キ:5


次は、$\displaystyle \frac{5}{9}$を$3$進法の小数にする。
何通りかの方法を紹介する。
計算は結構違うけど、やってることは同じだから、自分に合った方法を見つけてほしい。
この部分については、詳しくはこのページ参照。

解法1

まず、$10$進法の小数を$n$進法にする方法の復習だ。

10進法の小数をn進法にする

$n$倍する
積の整数部分を取り出す。小数部分は①にもどって計算を繰りかえす
という作業をし、取り出した整数を順に並べれば$n$進法の小数ができる

この方法は、$10$進法の分数を$n$進法の小数にするときにも使える。

復習より、$\displaystyle \frac{5}{9}$を$3$進法にするには、
$\displaystyle \frac{5}{9}$$\times 3 =\displaystyle \frac{5}{3}$
$\displaystyle \frac{5}{9} \times 3$$=$$1$$+$$\displaystyle \frac{2}{3}$
$\displaystyle \frac{2}{3}$$\times 3 =$$2$
なので、
$\displaystyle \frac{5}{9}=0.$$1$$2$$_{(3)}$
である。

解答ク:1, ケ:2

解法2

まず、$n$進法の小数の復習をしておこう。

復習

$a$,$b$,$c$,$\ldots$を$0$以上$n$未満の整数とするとき、
$n$進法の小数
$0.abc\ldots_{(n)}$

$ a\displaystyle \times\frac{1}{n}+b\times\frac{1}{n^{2}}+c\times\frac{1}{n^{3}}+\ldots$式H
とかける。

復習より、$\displaystyle \frac{5}{9}$を式Hの形に変形して、
$\displaystyle \frac{5}{9}=\frac{3}{9}+\frac{2}{9}$
$\displaystyle \frac{5}{9}$$\displaystyle =\frac{1}{3}+\frac{2}{3^{2}}$
なので、
$\displaystyle \frac{5}{9}=0.12_{(3)}$
である。

解答ク:1, ケ:2

解法3

復習

$n$進法の小数$d_{(n)}$があって、整数部分が$0$、小数部分が$a_{(n)}$で、小数部分の桁数が$m$桁とするとき、
$d_{(n)}=\displaystyle \frac{a_{(n)}}{n^{m}}$式I
とかける。

復習より、$\displaystyle \frac{5}{9}$を式Iの形に変えよう。
$3$進法なので、
分母の$9$を$3^{n}$の形にして、
$9=3^{2}$
分子の$5$を$3$進法にして、
$5\div 3=1\ldots 2$
より、
$5_{(10)}=12_{(3)}$
以上より、
$\displaystyle \frac{5}{9}=\frac{12_{(3)}}{3^{2}}$ なので、
$\displaystyle \frac{5}{9}=0.12_{(3)}$ である。

解答ク:1, ケ:2

[2](2)

$n$進数についてもうちょっと復習しておこう。

復習

$n$進法とは、$n$個集まったものをひとつ大きな桁で表す方法だ。
この説明じゃ何のことか分からないので、例をいくつか挙げる。

$10$進法の場合、

もとの数 $10$個集まると
$1$ $10$
$3.14$ $31.4$
$0.0012$ $0.012$
$8$進法の場合、
もとの数 $8$個集まると
$1_{(8)}$ $10_{(8)}$
$3.14_{(8)}$ $31.4_{(8)}$
$0.0012_{(8)}$ $0.012_{(8)}$

となる。
このことから、
$n$進法の数字を$n$倍すると、小数点がひとつ右に動く と言える。
また、
$n$進法の数字を$n$で割ると、小数点がひとつ左に動く とも言える。

$2$進法の小数$0.10_{(2)}$を$4$倍する。
復習より、$2$進法の数字を$4=2^{2}$倍すると、小数点はふたつ右に動く。
よって、
$4x=10.\dot{1}\dot{0}_{(2)}$
である。

解答コ:1, サ:0

$10_{(2)}$を$10$進法で表すと、
$10_{(2)}=1\times 2^{1}+0\times 2^{0}$
$10_{(2)}$$=2$
となる。
詳しくはこのページ参照。

解答シ:2

以上より、
$4x-x=2$
なので、
$x=\displaystyle \frac{2}{3}$
である。

解答ス:2, セ:3

[2](3)

(2)の復習より、$3$進法で小数第$3$位までで終わる小数を$3^{3}$倍すると、小数点は3つ右に動いて整数になる。
なので、
$A=3^{3}x$式J
とすると、$A$は整数になる。
これを変形して、
$x=\displaystyle \frac{A}{3^{3}}$
とかける。

ここで、
$x^{2} \lt \displaystyle \frac{1}{7}$
なので、
$\displaystyle \left(\frac{A}{3^{3}}\right)^{2} \lt \frac{1}{7}$
となる。

これを変形して、
$\displaystyle \frac{A^{2}}{3^{6}} \lt \frac{1}{7}$
$A^{2} \lt \displaystyle \frac{3^{6}}{7}$
$A^{2} \lt \displaystyle \frac{729}{7}$
$ A^{2} \lt 104.14\ldots$
だけど、$A$は整数なので、
$-10\leqq A\leqq 10$
である。

問題で問われているのは、$A$じゃなくて$x$の最大だ。
なので、この式の$A$を$x$に戻そう。
式Jを代入して、
$-10\leqq 3^{3}x\leqq 10$
$-\displaystyle \frac{10}{3^{3}}\leqq x\leqq\frac{10}{3^{3}}$
より、最大の$x$を$x_{max}$とすると、
$x_{max}=\displaystyle \frac{10}{3^{3}}$式K
である。


でも、この$\displaystyle \frac{10}{3^{3}}$は$10$進法の数字だ。
$3$進法に変えて、問題文のマスの$0.$ソタチ$(3)$の形にしよう。

$10$を$3$進法で表す。
$10$$\div 3=$$3$$\ldots $$1$
$3$$\div 3=$$1$$\ldots $$0$
$1$$\div 3=0\ldots $$1$
の余りを右から順に並べて、
$10=$$1$$0$$1$$_{(3)}$
である。
この計算についてはこのページ参照。

よって、式Kは
$x_{max}=\displaystyle \frac{101_{(3)}}{3^{3}}$
とかける。
ここで、(2)の復習より、$3$進法の数を$3^{3}$で割ると小数点は3つ左に動くので、これはさらに
$x_{max}=0.101_{(3)}$
となる。

解答ソ:1, タ:0, チ:1