大学入試センター試験 2019年(平成31年) 本試 数学ⅠA 第1問 [3] 解説

(1)

$y=x^{2}+(2a-b)x+a^{2}+1$式A
を平方完成するのは面倒なので、次の方法を使おう。

復習

$y=ax^{2}+bx+c$のグラフの頂点の$x$座標は
$\displaystyle \frac{-b}{2a}$

復習より、頂点の$x$座標は
$\displaystyle \frac{-(2a-b)}{2\cdot 1}$式B
$=\displaystyle \frac{b}{2}-a$
である。

頂点の$y$座標は、式Bを式Aの$x$に代入して、
$\displaystyle \left(\frac{2a-b}{2}\right)^{2}-(2a-b)\cdot\frac{2a-1}{2}+a^{2}+1$

途中式 $=\displaystyle \frac{1}{2^{2}}(2a-b)^{2}-\frac{1}{2}(2a-b)^{2}+a^{2}+1$
$=\left\{\frac{1}{4}-\frac{1}{2}\right\}(2a-b)^{2}+a^{2}+1$
$=-\displaystyle \frac{1}{4}(2a-b)^{2}+a^{2}+1$
$=-\displaystyle \frac{1}{4}(4a^{2}-4ab+b^{2})+a^{2}+1$
$=-a^{2}+ab-\displaystyle \frac{b^{2}}{4}+a^{2}+1$
$=-\displaystyle \frac{b^{2}}{4}+ab+1$
となる。

以上より、グラフ$G$の頂点の座標は
$\displaystyle \left(\frac{b}{2}-a,-\frac{b^{2}}{4}+ab+1\right)$式C
である。

解答チ:2, ツ:4, テ:1

(2)

グラフ$G$が点$(-1,6)$を通るので、式Aの$(x,y)$に$(-1,6)$を代入して、
$(-1)^{2}+(2a-b)(-1)+a^{2}+1=6$
これを計算すると、
$1-2a+b+a^{2}+1=6$
$a^{2}-2a+1=5-b$
$(a-1)^{2}=5-b$式D
とかける。

この式の左辺は実数の2乗なので、
$(a-1)^{2}\geqq 0$
だから、右辺も
$5-b\geqq 0$
である。

これを変形すると
$b\leqq 5$
となるので、$b$の最大値は
$5$
であることが分かる。

解答ト:5

そのときの$a$の値は、$b=5$を式Dに代入して、
$(a-1)^{2}=5-5$
$(a-1)^{2}=0$
$a=1$
となる。

解答ナ:1


$\left\{\begin{array}{l}
b=5\\
a=1
\end{array}\right.$
のときのグラフ$G$の頂点の座標は、これを式Cに代入して、
$\displaystyle \left(\frac{5}{2}-1,-\frac{5^{2}}{4}+1\cdot 5+1\right)$

途中式 $\displaystyle =\left(\frac{5}{2}-\frac{2}{2},-\frac{25}{4}+\frac{20}{4}+\frac{4}{4}\right)$
$\displaystyle =\left(\frac{5-2}{2},\frac{-25+20+4}{4}\right)$
$\displaystyle =\left(\frac{3}{2},-\frac{1}{4}\right)$
である。

$y=x^{2}$のグラフの頂点は$(0,0)$なので、
グラフ$G$は、$y=x^{2}$のグラフを
$\left\{\begin{array}{l} x\text{方向に}\displaystyle \frac{3}{2}\\ y\text{方向に}\displaystyle -\frac{1}{4} \end{array}\right.$
平行移動したものである。

解答ニ:3, ヌ:2, ネ:-, ノ:1, ハ:4