大学入試センター試験 2019年(平成31年) 本試 数学ⅠA 第3問 解説

(1)

問題を解きはじめる前に、図のような絵を描こう。
何色の袋にどんな球が入っているか、目に見える形にしておいた方がミスも減るし、思い違いも防げる。
面倒でも必ず絵を書くことを勧める。

大学入試センター試験2019年追試 数学ⅠA第3問 解説図

まず、1回目の操作で赤い袋から赤球が出る確率から。
1回目の操作で赤い袋が選ばれるのは さいころで3の倍数以外の目が出たときなので、確率は $\displaystyle \frac{4}{6}$ 赤い袋から赤球が取り出される確率は、$\displaystyle \frac{2}{3}$ この両方が起こらないといけないので、かけ算をして、求める確率は
$\displaystyle \frac{4}{6}\cdot\frac{2}{3}=\frac{4}{9}$
である。

解答ア:4, イ:9


1回目の操作で白い袋から赤球が出る確率は、
1回目の操作で白い袋が選ばれるのは さいころで3の倍数の目が出たときなので、確率は $\displaystyle \frac{2}{6}$ 白い袋から赤球が取り出される確率は、$\displaystyle \frac{1}{2}$

この両方が起こらないといけないので、かけ算をして、求める確率は
$\displaystyle \frac{2}{6}\cdot\frac{1}{2}=\frac{1}{6}$
である。

解答ウ:1, エ:6

(2)

2回目の操作が白い袋で行われるのは、1回目の操作で白球が出たとき。
なので、1回目の操作で白球が出る確率を求めよう。

(1)で赤球が出る確率を求めたので、余事象を使うことにする。

赤球が出る確率は、(1)より、
$\displaystyle \frac{4}{9}+\frac{1}{6}$
$=\displaystyle \frac{4\cdot 6+1\cdot 9}{9\cdot 6}$
$=\displaystyle \frac{4\cdot 2+1\cdot 3}{9\cdot 2}$
$=\displaystyle \frac{11}{9\cdot 2}$式A

白球が出るのは、この余事象なので、
$1-\displaystyle \frac{11}{9\cdot 2}$
$=\displaystyle \frac{9\cdot 2-11}{9\cdot 2}$
$=\displaystyle \frac{7}{18}$
である。

解答オ:7, カ:1, キ:8

別解

余事象を使わずに解くと次のようになる。

1回目の操作で赤い袋から白球が出る確率は、
1回目の操作で赤い袋が選ばれるのは さいころで3の倍数以外の目が出たときなので、確率は $\displaystyle \frac{4}{6}$ 赤い袋から白球が取り出される確率は、$\displaystyle \frac{1}{3}$ より、この確率は
$\displaystyle \frac{4}{6}\cdot\frac{1}{3}=\frac{2}{9}$

1回目の操作で白い袋から白球が出る確率は、
1回目の操作で白い袋が選ばれるのは さいころで3の倍数の目が出たときなので、確率は $\displaystyle \frac{2}{6}$ 白い袋から白球が取り出される確率は、$\displaystyle \frac{1}{2}$ より、この確率は
$\displaystyle \frac{2}{6}\cdot\frac{1}{2}=\frac{1}{6}$

1回目の操作で白球が出るのは、上のどちらの場合でもよいので、たし算をして
$\displaystyle \frac{2}{9}+\frac{1}{6}=\frac{2\cdot 6+1\cdot 9}{9\cdot 6}$
$\displaystyle \frac{2}{9}+\frac{1}{6}$$\displaystyle =\frac{2\cdot 2+1\cdot 3}{9\cdot 2}$
$\displaystyle \frac{2}{9}+\frac{1}{6}$$\displaystyle =\frac{7}{18}$
である。

解答オ:7, カ:1, キ:8

(3)

2回目の操作で白球が出るのは、
白い袋から白球が出るパターンA 赤い袋から白球が出るパターンB の2パターン。

パターンA

パターンAになるためには、1回目の操作で白球が出ないといけない。
白球が出る確率を$p$とするので、
2回目の操作が白い袋で行われる確率は$p$ 白い袋から白球が取り出される確率は、$\displaystyle \frac{1}{2}$ より、パターンAの確率は
$\displaystyle \frac{1}{2}p$
である。

パターンB

パターンBになるためには、1回目の操作で赤球が出ないといけない。
白球が出る確率を$p$とするので、赤球が出る確率は$1-p$だから、
2回目の操作が赤い袋で行われる確率は$(1-p)$ 赤い袋から白球が取り出される確率は、$\displaystyle \frac{1}{3}$ より、パターンBの確率は
$\displaystyle \frac{1}{3}(1-p)$
である。

2回目の操作で白球が出るのは、パターンAとパターンBのどちらでもよいので、たし算をして、
$\displaystyle \frac{1}{2}p+\frac{1}{3}(1-p)$
$=\displaystyle \left(\frac{1}{2}-\frac{1}{3}\right)p+\frac{1}{3}$
$=\displaystyle \frac{1}{6}p+\frac{1}{3}$式B
となる。

解答ク:1, ケ:6


(2)より、1回目の操作で白球が出る確率は
$\displaystyle \frac{7}{18}$
と分かっているので、
$p=\displaystyle \frac{7}{18}$
である。

これを式Bに代入して、2回目の操作で白球が出る確率は
$\displaystyle \frac{1}{6}\cdot\frac{7}{18}+\frac{1}{3}$
$=\displaystyle \frac{7}{6\cdot 6\cdot 3}+\frac{6\cdot 6}{6\cdot 6\cdot 3}$
$=\displaystyle \frac{43}{6\cdot 6\cdot 3}$式C
$=\displaystyle \frac{43}{108}$
となる。

解答コ:4, サ:3, シ:1, ス:0, セ:8


2回目の操作で白球が出る確率を$q$とすると、を求めたのと全く同じ計算から、3回目の操作で白球が取り出される確率は
$\displaystyle \frac{1}{6}q+\frac{1}{3}$式D
とかける。

コサシスセより、2回目の操作で白球が出る確率は
$\displaystyle \frac{43}{108}$
と分かっているので、これを式Dの$q$に代入して、
$\displaystyle \frac{1}{6}\cdot\frac{43}{108}+\frac{1}{3}$
$=\displaystyle \frac{1}{6}\cdot\frac{43}{108}+\frac{2}{6}\cdot\frac{108}{108}$
$=\displaystyle \frac{43+2\cdot 108}{6\cdot 108}$
$=\displaystyle \frac{259}{6\cdot 108}$式E
$=\displaystyle \frac{259}{648}$
となる。

解答ソ:2, タ:5, チ:9, ツ:6, テ:4, ト:8

(4)

次は、条件付き確率の問題だ。
今回の問題では、この問題のように表を書いて考える方法が使えないので、教科書通りの解き方をしよう。

まず、条件付き確率の復習から。

復習

事象$A$が起こる確率を$P(A)$,事象$A$と事象$B$の両方が起こる確率を$P(A\cap B)$とするとき、
$A$が起こったときに$B$が起こる条件付き確率$P_{A}(B)$は、
$P_{A}(B)=\displaystyle \frac{P(A\cap B)}{P(A)}$
だった。

復習より、ナニヌネで問われている条件付き確率は
$\displaystyle \frac{\text{2回目の操作で白い袋から白球が出る確率}}{\text{2回目の操作で白球が出る確率}}$式F
とかける。

式Fの分子の「2回目の操作で白い袋から白球が出る確率」は、(3)のパターンAなので、
$\displaystyle \frac{1}{2}p$
だけど、$p=\displaystyle \frac{7}{18}$だったので
$\displaystyle \frac{1}{2}\cdot\frac{7}{18}$
である。

式Fの分母の「2回目の操作で白球が出る確率」は、式Cより、
$\displaystyle \frac{43}{6\cdot 6\cdot 3}$
だった。

以上より、式Fは
$\displaystyle \frac{\frac{1}{2}\cdot\frac{7}{18}}{\frac{43}{6\cdot 6\cdot 3}}$
とかける。
これを計算して、
$\displaystyle \frac{\frac{1}{2}\cdot\frac{7}{18}}{\frac{43}{6\cdot 6\cdot 3}}=\frac{1\cdot 7\cdot 6\cdot 6\cdot 3}{2\cdot 18\cdot 43}$
          $=\displaystyle \frac{7\cdot 3}{43}$
          $=\displaystyle \frac{21}{43}$
となる。

解答ナ:2, ニ:1, ヌ:4, ネ:3


また、ノハヒフヘで問われている条件付き確率は
$\displaystyle \frac{\text{赤球→赤球→白球 の順に出る確率}}{\text{3回目の操作で取りだした球が白球である確率}}$式G
とかける。

式Gの分子の「赤球→赤球→白球 の順に出る確率」は、
1回目の操作で赤球が出る確率は、式Aより、$\displaystyle \frac{11}{9\cdot 2}$ 2回目の操作で赤球が出るのは、赤い袋から赤球が出る確率なので、$\displaystyle \frac{2}{3}$ 3回目の操作で白球が出るのは、赤い袋から白球が出る確率なので、$\displaystyle \frac{1}{3}$ このすべてが起こらないといけないので、
$\displaystyle \frac{11}{9\cdot 2}\cdot\frac{2}{3}\cdot\frac{1}{3}$
である。

式Gの分母の「3回目の操作で取りだした球が白球である確率」は、式Eより、
$\displaystyle \frac{259}{6\cdot 108}$
だった。

以上より、式Gは
$\displaystyle \frac{\frac{11}{9\cdot 2}\cdot\frac{2}{3}\cdot\frac{1}{3}}{\frac{259}{6\cdot 108}}$
とかける。
これを計算して、
$\displaystyle \frac{\frac{11}{9\cdot 2}\cdot\frac{2}{3}\cdot\frac{1}{3}}{\frac{259}{6\cdot 108}}=\frac{11\cdot 2\cdot 1\cdot 6\cdot 108}{9\cdot 2\cdot 3\cdot 3\cdot 259}$
               $=\displaystyle \frac{11\cdot 2\cdot 108}{9\cdot 3\cdot 259}$
               $=\displaystyle \frac{11\cdot 2\cdot 4}{259}$
               $=\displaystyle \frac{88}{259}$
となる。

解答ノ:8, ハ:8, ヒ:2, フ:5, ヘ:9