大学入試センター試験 2019年(平成31年) 本試 数学ⅠA 第4問 解説

(1)

1次不定方程式はお約束の解き方があるので憶えておこう。

$49x-23y=1$式A

式Aを解く。

$x$と$y$の係数の$49$と$23$でユークリッドの互除法を行うと、
$49\div23=2\ldots3$式B1
$23\div3=7\ldots2$式B2
$3\div2=1\ldots1$式B3

これを「=余り」の形に変形して、
$49-23\cdot2=3$式B1'
$23-3\cdot7=2$式B2'
$3-2\cdot1=1$式B3'

式B3'に式B2'を代入して、
$23\cdot(-1)+3\cdot8=1$
これに式B1'を代入して、
$49\cdot8+23\cdot(-17)=1$
ができる。

これを式Aの方程式に合わせよう。
係数の符号をあわせて、
$49\cdot8-23\cdot17=1$式C

式Aから式Cを辺々引くと、

$49x$$-23y$$=$$1$
$-)$$49\cdot8$$-23\cdot17$$=$$1$
$49(x-8)$$-23(y-17)$$=$$0$

となるから、
$49(x-8)=23(y-17)$式D
とかける。

ここで、$49$と$23$は互いに素なので、式Dが成り立つためには、$n$を整数として
$\left\{\begin{array}{l}x-8=23n\\y-17=49n\end{array}\right.$
より
$\left\{\begin{array}{l}x=23n+8\\y=49n+17\end{array}\right.$($n$は整数)式E
でなければならない。

いま問われているのは $x$,$y$が自然数のときの $x$が最小となる組合せ。
これは、式Eを見ると、考えるまでもなく
$n=0$
のとき
$(x,y)=(8,17)$
である。

解答ア:8, イ:1, ウ:7

イウが$8$と$17$なので、
       問題文中のエオカキの式は
$x=$エオ$k+8$,$y=$カキ$k+17$
とかける。
式Eを変形してこれと同じ式をつくるんだけど、定数項が同じなので、式Eがそのまま使える。
式Eの$n$を$k$に変えて、
$\left\{\begin{array}{l}x=23k+8\\y=49k+17\end{array}\right.$
である。

解答エ:2, オ:3, カ:4, キ:9

(2)

$A$も$B$も自然数なので、$x$,$y$を自然数として、
$\left\{\begin{array}{l}A=49x\\B=23y\end{array}\right.$式F
と表せる。

$A$と$B$の差の絶対値が$1$なので、
$A-B=|1|$
とかける。
これに式Fを代入して、
$49x-23y=|1|$
絶対値をはずして、
$49x-23y=1$パターンA
または
$49x-23y=-1$パターンB
となる。

ケコで問われているのは
       $A$が最小のときの$x$,$y$である。
なので、パターンAとパターンBそれぞれで
    最小の自然数$x$を求めて、小さい方が答えだ。

パターンAのとき

パターンAの式は(1)の不定方程式と同じ。
なので、(1)より、$x$が最小となる$(x$,$y)$は、
$(x$,$y)=(8$,$17)$式G
である。

パターンBのとき

パターンAの$(x$,$y)$はイウだった。
ということで、パターンBも
       イウと同じ方法で求める。
(1)でやった作業の前半はそのまま使って、
       式Cから計算しよう。

式Cの両辺に$-1$をかけて、
$49\cdot(-8)-23\cdot(-17)=-1$
パターンBの式からこの式を辺々引くと、

$49x$$-23y$$=$$-1$
$-)$$49\cdot(-8)$$-23\cdot(-17)$$=$$-1$
$49(x+8)$$-23(y+17)$$=$$0$

となるから、
$49(x+8)=23(y+17)$
とかける。

よって、$n$を整数として
$\left\{\begin{array}{l}
x+8=23n\\
y+17=49n
\end{array}\right.$
より
$\left\{\begin{array}{l}
x=23n-8\\
y=49n-17
\end{array}\right.$
となる。

この$x$が最小の自然数になるのは、
$n=1$
のとき
$x=15$
である。

この$x=15$と式Gを比較すると、式Gの$x$の方が小さい。
なので、求める答えは式Gのとき。
$=8$,ケコ$=17$
である。

解答ク:8, ケ:1, コ:7


絶対値が$2$の場合も$1$のときと同じように解こう。

$A$と$B$の差の絶対値が$2$なので、
$A-B=|2|$
とかける。
これに式Fを代入して、
$49x-23y=|2|$
絶対値をはずして、
$49x-23y=2$パターンC
または
$49x-23y=-2$パターンD
となる。

パターンCのとき

式Cの両辺に$2$をかけて、
$49\cdot(8\cdot 2)-23\cdot(17\cdot 2)=2$
$49\cdot 16-23\cdot 34=2$
パターンCの式からこの式を辺々引くと、

$49x$$-23y$$=$$2$
$-)$$49\cdot 16$$-23\cdot 34$$=$$2$
$49(x-16)$$-23(y-34)$$=$$0$

となるから、
$49(x-16)=23(y-34)$
とかける。

よって、$n$を整数として
$\left\{\begin{array}{l}
x-16=23n\\
y-34=49n
\end{array}\right.$
より
$\left\{\begin{array}{l}
x=23n+16\\
y=49n+34
\end{array}\right.$
となる。

よって、$x$が最小の自然数になる$(x$,$y)$は、
$n=0$
のとき
$(x$,$y)=(16$,$34)$式H
である。

パターンDのとき

式Cの両辺に$-2$をかけて、
$49\cdot\{8\cdot(-2)\}-23\cdot\{17\cdot(-2)\}=-2$
$49\cdot(-16)-23\cdot(-34)=-2$
パターンDの式からこの式を辺々引くと、

$49x$$-23y$$=$$-2$
$-)$$49\cdot (-16)$$-23\cdot (-34)$$=$$-2$
$49(x+16)$$-23(y+34)$$=$$0$

となるから、
$49(x+16)=23(y+34)$
とかける。

よって、$n$を整数として
$\left\{\begin{array}{l}
x+16=23n\\
y+34=49n
\end{array}\right.$
より
$\left\{\begin{array}{l}
x=23n-16\\
y=49n-34
\end{array}\right.$
となる。

よって、$x$が最小の自然数になる$(x$,$y)$は、
$n=1$
のとき
$(x$,$y)=(7$,$15)$式I
である。

式Hと式Iを比較すると、式Iの$x$の方が小さい。
なので、求める答えは式Iのとき。
$=7$,シス$=15$
である。

解答サ:7, シ:1, ス:5

(3)

最初に最大公約数について復習しておこう。

復習

自然数$a$,$b$があり、
       $a$を$b$で割ったときの余りを$r$とすると、
$a$と$b$の最大公約数 $=\ a$と$r$の最大公約数
である。

$a$と$a+2$の最大公約数を$G$とすると、
$a=1$のとき、$1$と$3$の最大公約数なので $G=1$ $a=2$のとき、$2$と$4$の最大公約数なので $G=2$ $3\leqq a$のとき、$(a+2)\div a=1\ldots 2$なので、
     復習より$G$は$a$と$2$の最大公約数である。
よって、
$a$が奇数のとき、$G=1$ $a$が偶数のとき、$G=2$
となる。
以上より $a$と$a+2$の最大公約数は$1$または$2$である。

解答セ:2


さらに、連続する整数と倍数の関係について復習しておこう。

復習

連続する$n$個の整数の中には、$n$の倍数が含まれている。

復習より、$a$,$a+1$,$a+2$の中には
$2$の倍数は必ず含まれる $3$の倍数は必ず含まれる $4$以上の倍数については不明である ことが分かる。
よって、
$a(a+1)(a+2)$は必ず$2$の倍数かつ$3$の倍数、
     つまり$6$の倍数になる。

解答ソ:6

(4)

$6762$を素因数分解すると、
$6762=2\times 3\times 7^{2}\times 23$
となる。

解答タ:3, チ:2, ツ:2, テ:3


$b(b+1)(b+2)$が$6762$の倍数なので、$n$を整数として
$b(b+1)(b+2)=6762n$
とかけるけど、
$6762=2\cdot 3\cdot 7^{2}\cdot 23$
なので、
$b(b+1)(b+2)=$$2\cdot 3$ $\cdot$ $7^{2}\cdot 23$ $n$式J
となる。

より、
$a(a+1)(a+2)$は$6$の倍数だから、
     $b(b+1)(b+2)$も$6$の倍数である。
なので、式Jの緑の部分は解決済み。
赤い部分だけ考えよう。

まず、$7^{2}$から。
連続する三つの自然数に、
     $7$の倍数が2個含まれるのはムリ。
つまり、
$b$,$b+1$,$b+2$
のうち2つが$7$の倍数ってのはムリ。
なので、$b(b+1)(b+2)$が$7^{2}$の倍数ならば、
$b$,$b+1$,$b+2$のひとつは$7^{2}$の倍数である。

次に、$23$だ。
$23$は素数なので、
     複数の整数をかけて$23$をつくるのはムリ。
なので、$b(b+1)(b+2)$が$23$の倍数ならば、
$b$,$b+1$,$b+2$のひとつは$23$の倍数である。

以上より、
$b$,$b+1$,$b+2$には、
$7^{2}$の倍数1個と$23$の倍数1個が含まれる
ことが分かる。


ここで問題になるのは、$7^{2}$の倍数と$23$の倍数の含まれかただ。
パターンとしては、$b$,$b+1$,$b+2$のうち、
ひとつが$7^{2}$の倍数かつ$23$の倍数である。
        パターンA
連続する2つが$7^{2}$の倍数と$23$の倍数である。
        パターンB
両端の2つが$7^{2}$の倍数と$23$の倍数である。
        パターンC
の3つが存在する。
この3パターンそれぞれを考えよう。

パターンA

$b$,$b+1$,$b+2$のうちひとつが$7^{2}$の倍数かつ$23$の倍数なので、$m$を整数として、
$b=7^{2}\cdot 23m$ $b+1=7^{2}\cdot 23m$ $b+2=7^{2}\cdot 23m$ のいずれかだけど、いま問われているのは$b$が最小の自然数である場合だから、$m$は$1$だ。
なので、上の式はそれぞれ
$b=7^{2}\cdot 23\cdot 1$
$b$$=1127$
$b+1=7^{2}\cdot 23\cdot 1$
$b=1127-1$
$b$$=1126$
$b+2=7^{2}\cdot 23\cdot 1$
$b=1127-2$
$b$$=1125$
となる。
よって、パターンAのとき、最小の自然数$b$は
$b=1125$式K
である。

パターンB

$b$,$b+1$,$b+2$のうち連続する2つが$7^{2}$の倍数と$23$の倍数なので、
$b$と$b+1$の一方が$7^{2}$の倍数、他方が$23$の倍数 $b+1$と$b+2$の一方が$7^{2}$の倍数、他方が$23$の倍数 のどちらかだ。

ここで、ケコを思い出そう。
ケコで求めたのは、
$49$の倍数の自然数$A$と、$23$の倍数の自然数$B$があり、 $A$と$B$の差の絶対値が$1$になる
(つまり$A$と$B$が連続する自然数である)
とき、$A$が最小になるのは
$(A$,$B)=(49\times 8$,$23\times 17)$
$(A$,$B)$$=(392$,$391)$
だった。

このことから、
$b$と$b+1$の一方が$7^{2}$の倍数、他方が$23$の倍数
のとき、
$\left\{\begin{array}{l}
b=391\\
b+1=392
\end{array}\right.$
より
$b=391$
である。

また、
$b+1$と$b+2$の一方が$7^{2}$の倍数、他方が$23$の倍数
のとき、
$\left\{\begin{array}{l}
b+1=391\\
b+2=392
\end{array}\right.$
より
$b=390$
である。

以上より、パターンBのとき、最小の自然数$b$は
$b=390$式L
となる。

パターンC

$b$,$b+1$,$b+2$のうち、両端の2つが$7^{2}$の倍数と$23$の倍数なので、
$b$と$b+2$の一方が$7^{2}$の倍数、他方が$23$の倍数 である。

ここでシスを思い出すと、
$A$と$B$の差の絶対値が$2$になる
(つまり$A$と$B$の一方が$b$,他方が$b+2$である)
とき、$A$が最小になるのは
$(A$,$B)=(49\times 7$,$23\times 15)$
$(A$,$B)$$=(343$,$345)$
だった。

このことから、
$\left\{\begin{array}{l}
b=343\\
b+2=345
\end{array}\right.$
より、パターンCのときの最小の自然数$b$は
$b=343$式M
である。


式K,式L,式Mより、
3つのパターンすべてでの$b$の最小値は
$b=343$
である。

解答ト:3, ナ:4, ニ:3