大学入試センター試験 2020年(令和2年) 追試 数学ⅠA 第1問 [3] 解説

(1)

$y=f(x)$は下に凸の放物線だから、最小値は頂点の$y$座標だ。
なので、頂点の座標を求めよう。


$y=f(x)$
$y$$=(x-a)(x-4)+4$式A
を展開してから平方完成する。

$y=(x-a)(x-4)+4$
を展開して、
$y=x^{2}-(a+4)x+4a+4$
これを平方完成すると
$\displaystyle y=\left(x-\frac{a+4}{2}\right)^{2}-\left(\frac{a+4}{2}\right)^{2}+4a+4$

途中式 $y$$\displaystyle =\left(x-\frac{a+4}{2}\right)^{2}-\left(\frac{a^{2}+8a+16}{4}\right)+4a+4$
$y$$\displaystyle =\left(x-\frac{a+4}{2}\right)^{2}-\frac{a^{2}}{4}-2a-4+4a+4$
$y$$\displaystyle =\left(x-\frac{a+4}{2}\right)^{2}-\frac{a^{2}}{4}+2a$
となる。

よって、$y=f(x)$の頂点の座標は
$\displaystyle \left(\frac{a+4}{2},-\frac{a^{2}}{4}+2a\right)$
とかける。

この頂点の$y$座標が最大値だ。
問題文のマスに合うように変形して、最大値は
$\displaystyle \frac{-1a^{2}}{4}+2a$
である。

解答ト:-, ナ:1, ニ:4, ヌ:2

別解

これだけだと面白くないから、ちょっと違う考え方も紹介しておく。


式Aは、
$y=(x-a)(x-4)$式B
を$y$軸方向に$4$平行移動したもの。
なので、式Aのグラフと式Bのグラフの軸は等しい。

式Bのグラフは
$(a,0)$

$(4,0)$
で$x$軸と交わるから、軸はこの2点の中点を通る。

よって、軸の方程式は
$x=\displaystyle \frac{a+4}{2}$
とかける。

以上より、式Aのグラフの頂点の$x$座標は
$\displaystyle \frac{a+4}{2}$式C
である。

説明は長くなってしまったけど、この考え方を使うと 軸が一瞬で求められる。
いろいろな解き方ができることは強みになるから、こういう考え方も知っておいてほしい。


頂点の$x$座標が分かったので、これを$y=f(x)$に代入して$y$座標を求める。

式Cを式Aに代入して、
$y=\displaystyle \left(\frac{a+4}{2}-a\right)\left(\frac{a+4}{2}-4\right)+4$

途中式 これを計算して、頂点の$y$座標は
$y=\displaystyle \left(-\frac{a}{2}+2\right)\left(\frac{a}{2}-2\right)+4$
$y$$=\displaystyle -\left(\frac{a}{2}-2\right)^{2}+4$
$y$$\displaystyle =-\frac{a^{2}}{4}+2a-4+4$
$y$$\displaystyle =-\frac{a^{2}}{4}+2a$
となる。

よって、$y=f(x)$の最大値は
$\displaystyle \frac{-1a^{2}}{4}+2a$
である。

解答ト:-, ナ:1, ニ:4, ヌ:2

(2)

アドバイス

次は、定義域が
$a-2\leqq x\leqq a+2$
のときの、$y=f(x)$の最大最小の問題だ。

この問題では、
グラフの軸は$x=\displaystyle \frac{a+4}{2}$ 定義域は$a-2\leqq x\leqq a+2$ なので、軸と定義域の両方が移動する。

軸と定義域の両方が移動する2次関数の最大最小の問題は、見たことがないかも知れない。
私の記憶にある限り、センター試験でも過去に出たことがない。
けれど、大丈夫。
センター試験は、簡単な問題を難しく見せるのが得意なので、驚く必要はない。
軸や定義域の片方だけが移動する問題と同じように解こう。

まず、最大値から。

$y=f(x)$のグラフは下に凸。
定義域の中央は$x=a$なので、最大値は表Aのように3通りに場合分けできる。

表A
場合分けA場合分けB場合分けC
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第1問[3] 解説図A 大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第1問[3] 解説図A 大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第1問[3] 解説図A
$a \lt $軸
のとき
軸$=a$
のとき
軸$ \lt a$
のとき

場合分けAのとき

この場合は
$a \lt $軸
なので、

途中式 $a \lt \displaystyle \frac{a+4}{2}$
より
$2a \lt a+4$
$a \lt 4$
のとき。

問題文より
$4\leqq a$
なので、場合分けAは不適。

場合分けBのとき

この場合は
軸$=a$
なので、

途中式 $\displaystyle \frac{a+4}{2}=a$
より
$a+4=2a$
$a=4$
のとき。

このとき、最大値は表Aの赤い点なので、定義域の両端だ。
右端でも左端でもいいんだけど、今は右端の$x=a+2$を使うことにする。

$f(x)$に$x=a+2$を代入して、最大値は
$\{(a+2)-a\}\{(a+2)-4\}+4$

途中式 $=2(a-2)+4$
$=2a-4+4$
$=2a$
となる。

場合分けCのとき

この場合は
軸$ \lt a$
なので、

途中式 $\displaystyle \frac{a+4}{2} \lt a$
より
$a+4 \lt 2a$
$4 \lt a$
のとき。

このとき、最大値は表Aの赤い点なので、定義域の右端だ。
パターンBでの計算をそのまま使って、最大値は
$2a$
となる。

以上より、$y=f(x)$の最大値は、場合分けB,Cともに
$2a$
である。

解答ネ:2


それから、最小値。

定義域の両端は$a-2$と$a+2$なので、最小値も 表Bのように3通りに場合分けできる。

表B
場合分けD場合分けE場合分けF
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第1問[3] 解説図B 大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第1問[3] 解説図B 大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第1問[3] 解説図B
$a+2 \lt $軸
のとき
$ a-2\leqq$軸$\leqq a+2$
のとき
軸$ \lt a-2$
のとき

場合分けDのとき

この場合は
$a+2 \lt $軸
なので

途中式 $a+2 \lt \displaystyle \frac{a+4}{2}$
より
$2a+4 \lt a+4$
$a \lt 0$
のとき。

問題文より
$4\leqq a$
なので、場合分けDは不適。

場合分けEのとき

この場合は
$ a-2\leqq$軸$\leqq a+2$
なので

途中式 $a-2\displaystyle \leqq\frac{a+4}{2}\leqq a+2$
$2a-4\leqq a+4\leqq 2a+4$
各辺に$-2a-4$をたして、
$-8\leqq-a\leqq 0$
各辺に$-1$をかけて
$0\leqq a\leqq 8$
のとき。

問題文より
$4\leqq a$
なので、これとあわせて
$4\leqq a\leqq 8$
のとき としておこう。

このとき、最小値は表Bの青い点なので、頂点の$y$座標だ。
これは、(1)より
$-\displaystyle \frac{a^{2}}{4}+2a$
である。

解答ノ:8

場合分けFのとき

この場合は
軸$\leqq a-2$
なので

途中式 $\displaystyle \frac{a+4}{2} \lt a-2$
より
$a+4 \lt 2a-4$
$8 \lt a$
のとき。

このとき、最小値は表Bの青い点なので、定義域の左端($x=a-2$のとき)だ。

$f(x)$に$x=a-2$を代入して、最小値は
$\{(a-2)-a\}\{(a-2)-4\}+4$

途中式 $=-2(a-6)+4$
$=-2a+12+4$
$=-2a+16$
である。

解答ハ:-, ヒ:2, フ:1, ヘ:6