大学入試センター試験 2020年(令和2年) 追試 数学ⅠA 第4問 解説

(1)

1次不定方程式はお約束の解き方があるので憶えておこう。

$7x-31y=1$

①の1次不定方程式を解く。

$x$と$y$の係数の$7$と$31$でユークリッドの互除法を行うと、
$31\div7=4\ldots3$式A1
$7\div3=2\ldots1$式A2

これを「=余り」の形に変形して、
$31-7\cdot4=3$式A1'
$7-3\cdot2=1$式A2'

式A2'に式A1'を代入して、
$7-(31-7\cdot4)\cdot2=1$
より
$7+7\cdot4\cdot2-31\cdot2=1$
$7\cdot9-31\cdot2=1$
ができる。

①からこの式を辺々引くと

$7x$$-31y$$=$$1$
$-)$$7\cdot9$$-31\cdot2$$=$$1$
$7(x-9)$$-31(y-2)$$=$$0$

となるから、
$7(x-9)=31(y-2)$式B
とかける。

ここで、$7$と$31$は互いに素なので、式Bが成り立つためには、$m$を整数として
$\left\{\begin{array}{l}x-9=31m\\y-2=7m\end{array}\right.$
でなければならない。

以上より、1次不定方程式①のすべての整数解は、
$\left\{\begin{array}{l}x=31m+9\\y=7m+2\end{array}\right.$($m$は整数)式C
と表せる。


式Cより、自然数$x$が最小になるのは、
$m=0$
のときで、そのときの$(x,y)$は
$(x,y)=(9,2)$
である。

解答ア:9, イ:2


また、すべての整数解は、式Cの定数項がと等しいので、式Cの$m$を$k$にかえて、
$\left\{\begin{array}{l}
x=31k+9\\
y=7k+2
\end{array}\right.$($k$は整数)
となる。

解答ウ:3, エ:1, オ:7

(2)

$n$をの$7$で割る場合を考える。
そのときの商を$q$,余りを$r$とすると、
$n=7q+r$
       ただし、$0\leqq r\leqq 6$
とかける。

よって、$n^{2}$は
$(7q+r)^{2}=$$49q^{2}+14qr$$+$$r^{2}$
と表せる。

この式の青い部分は$7$の倍数なので、$n^{2}$を$7$で割った余りは、赤い部分を$7$で割った余りだ。
この余りがの$2$になる$r$を見つける。

$r$は$0\leqq r\leqq 6$の数なので、総当たりで探してもたいした手間じゃない。


$r$が$0$~$2$のときは、計算するまでもなく明らかに不適。 $r=3$のとき、$r^{2}=9$なので、$7$で割った余りは$2$だ。
ひとつ見つけた。
$r=4$のとき、$r^{2}=16$なので、$7$で割った余りは$2$だ。
もうひとつ見つけた。

答えはの2個なのでこれで全部見つけたけど、念のために$r=6$まで計算しておく。

$r=5$のとき、$r^{2}=25$なので、$7$で割った余りは$4$だ。
不適。
$r=6$のとき、$r^{2}=36$なので、$7$で割った余りは$1$だ。
不適。

以上より、$n^{2}$を$7$で割った余りが$2$になるのは、$n$を$7$で割った余りが
$3$または$4$
のときである。

解答カ:3, キ:4(順不同)

(3)

より、$y$は
$y=7k+2$
       ただし、$k$は整数
と表せた。
つまり、$y$は$7$で割ると$2$余る数だ。

なので、この$y$が
$y=n^{2}$
となるのは、$n^{2}$が$7$で割ると$2$余る数のときだ。

(2)より、
$n=7q+r$
としたとき、$n^{2}$を$7$で割ると$2$余るのは
$r=3,4$
のときだった。

よって、$y$が
$y=n^{2}$
と表せるのは、$q$を$0$以上の整数として、
$n=7q+3$式D
または
$n=7q+4$式E
のときであることが分かる。


このとき、$y$は
式Dより
$y=n^{2}$
$y$$=(7q+3)^{2}$式D'
式Eより
$y=n^{2}$
$y$$=(7q+4)^{2}$式E'
とかける。
この$y$を小さい方から4つ求めれば、それがケコサシスセソタだ。

式D',式E'を見ると、$q$が小さい方が$y$も小さい。
$0 \leqq q$なので、$q=0,1$でやってみよう。


$q=0$のとき、 式D'より、
$y=(7\cdot 0+3)^{2}$
なので、
$y=3^{2}$
   $=9$
式E'より、
$y=(7\cdot 0+4)^{2}$
なので、
$y=4^{2}$
   $=16$
$q=1$のとき、 式D'より、
$y=(7\cdot 1+3)^{2}$
なので、
$y=10^{2}$
   $=100$
式E'より、
$y=(7\cdot 1+4)^{2}$
なので、
$y=11^{2}$
   $=121$

となる。
これが問われている最小の$y$4つだ。

解答ク:9, ケ:1, コ:6, サ:1, シ:0, ス:0, セ:1, ソ:2, タ:1

(4)

$\sqrt{31(7x-1)}$
が整数になるためには、根号の中が
$31(7x-1)=($自然数$)^{2}$式F
の形で表せればよい。

ここで、$31$は素数なので、式Fが成り立つ場合、$n$を自然数として、
$7x-1=31n^{2}$式G
より
$7x-31n^{2}=1$
である。

見覚えがある式ができた。
これは、不定方程式①の $y$を$n^{2}$に変えたもの。
つまり、不定方程式①の整数解の$y$のうち、$y=n^{2}$と表せるものっていう意味だ。

よって、この問題で問われているのは、不定方程式①の整数解$(x,y)$の組で、
$1000 \leqq x$である条件A $y$が自然数$n$の2乗である条件B もののうち、$x$が最小のものだ。


まず、条件Aから考える。

不定方程式①の
$7x-31y=1$
を変形して
$x=\displaystyle \frac{31y+1}{7}$①'
とする。

いま問われているのは
$x\geqq 1000$
のときなので、式①'より
$1000\displaystyle \leqq\frac{31y+1}{7}$
とかける。

これを計算すると
$7000\leqq 31y+1$
$\displaystyle \frac{6999}{31}\leqq y$
$225.7\ldots\leqq y$
となるけど、$y$は整数なので、$y$の範囲は
$226\leqq y$式H
である。


次に、条件B。

$y=n^{2}$なので、式Hは
$226\leqq n^{2}$
とかける。
ここで、$15^{2}=255$なので、$n$の範囲は
$16 \leqq n$式H'
である。

(3)より、$y=n^{2}$となるのは、$q$を$0$以上の整数として
$n=7q+3$式D
または
$n=7q+4$式E
のときだった。

式H'が成り立つ$q$の範囲は、
式Dのとき、
式H'に式Dを代入して
$16\leqq 7q+3$
$q$は整数なので
$2\leqq q$
式Eのとき、
式Hに式Eを代入して、
$16\leqq 7q+4$
$q$は整数なので
$2\leqq q$
より、どちらの式の場合でも
$2\leqq q$
となる。

$q$が同じ値のときは、式Dの$n$の方が式Eの$n$よりも$1$小さい。 $n$は自然数で、$y=n^{2}$なので、$n$が小さい方が$y$も小さい。 式①'より、$y$が小さい方が$x$も小さい。 なので、ここでは式Dだけ考えればよい。


ここまで分かれば勝ったも同然。
あとは手を動かして計算するだけだ。

式Dより,$q$が小さいほど$n$も小さいので、
$2\leqq q$
を満たす最小の$q$、つまり
$q=2$
を使う。

これを式Dに代入して、
$n=7\cdot 2+3$
$n$$=17$
なので、条件Bより
$y=n^{2}$
$y$$=17^{2}$

これを式①'に代入して、求める$x$は
$x=\displaystyle \frac{31\cdot 17^{2}+1}{7}$
$x$$=1280$
である。

解答チ:1, ツ:2, テ:8, ト:0


また、このときの$\sqrt{31(7x-1)}$の値は、これに式Gを代入して、
$\sqrt{31(7x-1)}=\sqrt{31\cdot 31n^{2}}$
より
$\sqrt{31(7x-1)}=31n$
                   $=31\cdot 17$
                   $=527$
である。

解答ナ:5, ニ:2, ヌ:7