大学入学共通テスト 2021年(令和3年) 本試 数学ⅠA 第2問 [1] 解説

(1)

こういう問題は、分かりにくければ、文字ではなく数字で考えるとよい。
例えば
ストライドが$2$ ピッチが$4$ くらいでやってみる。

ストライドが$2$なので、
$1$歩で$2$m進む
ピッチが$4$なので、
$1$秒で$4$歩進む
なので、$1$秒で進む距離(秒速)は
$2$(m)$\times 4$(歩)$=8$(m)
だ。

問題では、
ストライドが$x$ ピッチが$z$ なので、上の例と同様に考えて、秒速は
$x$(m)$\times z$(歩)$=xz$(m)
である。

解答ア:2


$100$(m)を秒速で割ると、$100$m進むのに何秒かかるか分かる。
つまり、タイムが分かる。
よって、
タイム$=\displaystyle \frac{100}{xz}$
と表せる。

(2) イ~ク

まず、$x$(ストライド)と$z$(ピッチ)の関係式を作る。
問題文より、関係式は
$x$が$0.05$大きくなると $z$が$0.1$小さくなる ような1次関数なので、横軸を$x$,縦軸を$z$とすると、グラフの傾きは
$\displaystyle \frac{z\text{の増加量}}{x\text{の増加量}}=\frac{-0.1}{0.05}$
               $=-2$
となる。

また、この関数上に、問題文中の表の1回目~3回目の点
$(2.05,4.70)$
$(2.10,4.60)$
$(2.15,4.50)$
が存在する。
どの点を使って関数の式を求めてもいいんだけど、ここでは桁数が少ない2番目を使う。

以上より、求める関数のグラフは
傾きが$-2$で、 $(2.10,4.60)$を通る ような直線だから、
$z-4.60=-2(x-2.10)$
とかける。

これを整理して、関数の式は
$z=-2x+4.20+4.60$
$z$$=-2x+8.80$式A
$z$$\displaystyle =-2x+\frac{44}{5}$
と表せる。

解答イ:-, ウ:2, エ:4, オ:4


次は、$x$の定義域だ。

②式が成り立つ範囲は

$x\leqq 2.40$式B
$z\leqq 4.80$式C

だけど、これを$x$で表すと、$x$の定義域が求められる。

式Cに式Aを代入すると、
$-2x+8.80\leqq 4.80$
より
$4.00\leqq 2x$
$2.00\leqq x$
とかける。

これと式Bをあわせて、$x$の定義域は
$2.00\leqq x\leqq 2.40$式D
である。

解答カ:2, キ:0, ク:0

(2) ケ~ソ

さらに、
$y=xz$式E
とおいて、$xz$、つまり秒速が最大になるときを考える。

式Eには$x$,$y$,$z$の3つの文字が含まれている。
文字が多いと面倒なので、減らそう。

式Eに式Aを代入して$z$を消すと、
$y=x\left(-2x+8.80\right)$
より
$y=-2x(x-4.40)$式F
ができる。
式Dを定義域として、式Fの$y$が最大になるときを求めれば、それが$xz$の最大、つまり秒速の最大だ。


式Fのグラフは
$x^{2}$の係数が負なので、上に凸の放物線 $y=0$になるのは,$x=0$,$4.40$のとき。
つまり、原点と$(4.40,0)$で$x$軸と交わる。
よって、$0$と$4.40$の真ん中の$x=2.20$のときに頂点
である。
なので、式Fのグラフは、式Dの定義域に頂点が含まれる 上に凸の放物線だから、最大値は頂点だ。
以上をグラフで表すと、図Aのようになる。

図A
大学入学共通テスト2021年本試 数学ⅠA第2問[1] 解説図A

以上より、$y$(秒速)が最大になるのは、$x$(ストライド)が
$x=2.20$
のとき。

解答ケ:2, コ:2, サ:0


このときのピッチ($z$)は、式Aに$x=2.20$を代入して、
$z=-2\cdot 2.20+8.80$
$z$$=4.40$
である。

解答シ:4, ス:4, セ:0

さらに、この$x$,$z$を式①に代入すると、タイムは
タイム$=\displaystyle \frac{100}{2.20\times 4.40}$

途中式 タイム$$$\displaystyle =\frac{10000}{22\times 44}$
タイム$$$\displaystyle =\frac{1250}{11^{2}}$
タイム$$$\displaystyle =\frac{1250}{121}$
タイム$$$\doteqdot 10.331$
となるので、該当する選択肢は

である。

解答ソ:3