大学入試センター試験 2016年(平成28年) 本試 数学ⅠA 第1問 [2] 解説

(1)

まず、集合の記号の復習から始めよう。

復習

$\{\ \}$
$\{\ \}$は、集合を表す。
例えば$\{0\}$は、メンバー(要素)が$0$だけの集合を表す。
$\in$,$\ni$
$\in$,$\ni$は、集合のメンバー(要素)であることを表す。
例えば$A\ni a$は、$a$が集合$A$のメンバーであることを表す。
$\subset$,$\supset$
$\subset$,$\supset$は、部分集合を表す。
例えば$A\supset B$は、集合$B$が集合$A$の部分集合である(集合$A$に含まれる)ことを表す。
$\cap$
$\cap$は、集合同士の共通部分を表す。
$\cup$
$\cup$は、和集合を表す。

(i)

$0$は有理数なので集合$A$の要素だけれど、$\{0\}$は集合を表しているので、$A\ni\{0\}$は誤り。
集合同士の関係は、
$A\supset\{0\}$
と書かなければいけない。

解答サ:3

(ii)

$\sqrt{28}=2\sqrt{7}$で、$\sqrt{7}$は無理数なので、$\sqrt{28}$も無理数。
よって、$\sqrt{28}$は集合$B$の要素(メンバー)だから、
$\sqrt{28}\in B$
と書ける。

解答シ:0

(iii)

スの両辺は集合なので、入れられるのは$\subset\supset\cap\cup$のいずれか。このうち、$\subset$,$\supset$では意味をなさない式ができるので、残る$\cap$,$\cup$について考えてみる。
$\cap$の場合、$\{0\}\cap A$は$\{0\}$。
よって、$A=\{0\}\cap A$は$A=\{0\}$と書きかえられるので、偽。
$\cup$の場合、$\{0\}\cup A$は$A$。
よって、$A=\{0\}\cup A$は$A=A$と書きかえられるので、真。

解答ス:5

(iv)

セの両辺も集合なので、入れられるのは$\subset\supset\cap\cup$のいずれか。このうち、$\subset$,$\supset$では意味をなさない式ができるので、残る$\cap$,$\cup$について考えてみる。
$\cap$の場合、有理数と無理数に共通部分はないので、$A\cap B$は$\phi$となり、真。
$\cup$の場合、$A\cup B$は実数全体の集合なので、$\phi$にはならない。

解答セ:4

(2)

条件$p$は簡単だけど、条件$q$と条件$r$は分かりにくい。なので、例を考えてみよう。

まず、条件$q$について。
$x+\sqrt{28}$が有理数になる$x$の例を考える。
$x+\sqrt{28}=$有理数
なので、
$x=$有理数$-\sqrt{28}$
の形で表される数であることが分かる。
なので、条件$q$の集合は、条件$p$の集合に含まれる。(図A)

図A
大学入試センター試験2016年本試 数学ⅠA第1問[2] 解説図A

よって、$p$は$q$であるための必要条件。

解答ソ:1

次に、条件$r$について。
$\sqrt{28}x$が有理数になる$x$の例を考える。
$0$,$\sqrt{7}$,$-\displaystyle \frac{\sqrt{7}}{3}$,$9\sqrt{7}$,$\ldots$
など、$0$か、有理数$\times\sqrt{7}$となる無理数であることが分かる。
なので、条件$r$の集合をベン図に描くと図Bのようになる。

図B
大学入試センター試験2016年本試 数学ⅠA第1問[2] 解説図B

$p$の条件の集合も$r$の条件の集合も、お互いにはみ出しているので、必要条件でも十分条件でもない。

解答タ:3

アドバイス

一般的には
$p\Rightarrow r$ ×
$p\Leftarrow r$ ○
なので、必要条件
って解くことが多いけど、○×の判定で混乱したり間違えたりすることが多い。なので、数直線やベン図で表せるときは、集合の大小で考える方がおすすめ。
「大きい集合は小さい集合の必要条件」。呪文のように憶えておこう。