大学入試センター試験 2017年(平成29年) 追試 数学ⅠA 第4問 解説

(1) ア~カ

1次不定方程式はお約束の解き方があるので憶えておこう。

式①を変形して
$21x-16y=-1$式①'
を解く。

$x$と$y$の係数の$21$と$16$でユークリッドの互除法を行うと、
$21\div16=1\ldots5$式A1
$16\div5=3\ldots1$式A2

これを「=余り」の形に変形して、
$21-16\cdot1=5$式A1'
$16-5\cdot3=1$式A2'

式A2'に式A1'を代入して、
$16-(21-16\cdot 1)\cdot 3=1$
$16-21\cdot 3+16\cdot 3=1$
$21\cdot(-3)+16\cdot4=1$
ができる。

これを式①'の方程式に合わせよう。
係数の符号をあわせて、
$21\cdot(-3)-16\cdot(-4)=1$
両辺に$-1$をかけて、
$21\cdot3-16\cdot4=-1$

式①'からこの式を辺々引くと、

$21x$$-16y$$=$$-1$
$-)$$21\cdot3$$-16\cdot4$$=$$-1$
$21(x-3)$$-16(y-4)$$=$$0$

となるから、
$21(x-3)=16(y-4)$式B
とかける。

ここで、$21$と$16$は互いに素なので、式Bが成り立つためには、$m$を整数として
$\left\{\begin{array}{l}x-3=16m\\y-4=21m\end{array}\right.$
より
$\left\{\begin{array}{l}x=16m+3\\y=21m+4\end{array}\right.$式C
でなければならない。


ここでは、解のうち$|x|$が最小のものを問われているので、$x=0$付近を探せばよい。
式Cに$x=0$を代入して、
$16m+3=0$
$m=\displaystyle -\frac{3}{16}$
$m$は整数なので、$ \displaystyle -\frac{3}{16}$に一番近い整数のとき、$|x|$は最小になる。
よって、$m=0$のとき、
式Cより、
$\left\{\begin{array}{l}
x=3\\
y=4
\end{array}\right.$

解答ア:3, イ:4

また、ウエオカの式は、式Cの$m$を$s$と書き換えた
$\left\{\begin{array}{l}
x=3+16s\\
y=4+21s
\end{array}\right.$式D
となる。

解答ウ:1, エ:6, オ:2, カ:1

(1) キ~ネ

問題文の指示通り、式②に$y=4+21s$を代入すると、
$16(4+21s)+12=96z+28$

途中式 両辺を4で割って、
$4(4+21s)+3=24z+7$
$16+4\cdot 21s+3=24z+7$
$24z-4\cdot 21s=16+3-7$
$24z-4\cdot 21s=12$
$2z-7s=1$
と変形できる。

解答キ:2, ク:7

式③も1次不定方程式なので、まず解をひと組求める。
式①を解いたように互除法を使ってもいいんだけど、今回は係数が小さい数なので、ちょっと考えれば解が見つかりそうだ。
$2z$と$7s$の差が$1$になる数を考えると、
$z=4$,$s=1$
が思いつく。これが解のひとつだ。

これを式③に代入して、
$2\cdot 4-7\cdot 1=1$
この式を式③から辺々引いて、

$2z$ $-7s$ $=$ $1$
$-)$ $2\cdot 4$ $-7\cdot 1$ $=$ $1$
$2(z-4)$ $-7(s-1)$ $=$ $0$

より、
$2(z-4)=7(s-1)$式E
とかける。

ここで、$2$と$7$は互いに素なので、式Eが成り立つためには、$\ell$を整数として、
$\left\{\begin{array}{l}
z-4=7\ell\\
s-1=2\ell
\end{array}\right.$
より
$\left\{\begin{array}{l}
z=4+7\ell\\
s=1+2\ell
\end{array}\right.$式F
でなければならない。

ここは、解のうち$|z|$が最小のものを問われているので、$z=0$付近を探せばよい。
式Fに$z=0$を代入して、
$4+7\ell=0$
$\displaystyle \ell=-\frac{4}{7}$
$\ell$は整数なので、$\displaystyle -\frac{4}{7}$に一番近い整数のとき、$|z|$は最小になる。
よって、$ \ell = -1$のとき、
式Fより、
$\left\{\begin{array}{l}
x=-3\\
y=-1
\end{array}\right.$

解答ケ:-, コ:3, サ:-, シ:1


ここで、式Fについて考えてみる。
式Fの意味は「方程式③の解は、先に見つけたひとつの解$z=4$,$s=1$に、それぞれ$ 7\ell$,$ 2\ell$をたしたものである」ということ。
なので、方程式③の解は、ケコサシで見つけた$z=-3$,$s=-1$をひとつの解として
$\left\{\begin{array}{l}
z=-3+7t\\
s=-1+2t
\end{array}\right.$式G
とも書けると考えられる。($t$は整数)

解答ス:7, セ:2

別解1

式Gは、式Fを作ったのと同じ方法でも求められる。

$z=-3$,$s=-1$を式③に代入して、
$2(-3)-7(-1)=1$
この式を式③から辺々引いて、

$2z$ $-7s$ $=$ $1$
$-)$ $2(-3)$ $-7(-1)$ $=$ $1$
$2(z+3)$ $-7(s+1)$ $=$ $0$

より、
$2(z+3)=7(s+1)$
とかける。
よって、$t$を整数として、
$\left\{\begin{array}{l}
z+3=7t\\
s+1=2t
\end{array}\right.$
なので、
$\left\{\begin{array}{l}
z=-3+7t\\
s=-1+2t
\end{array}\right.$式G
である。

解答ス:7, セ:2

別解2

$z=-3$,$s=-1$になるのは、$\ell=$$-1$のときだった。
$\ell$はすべての整数なので、$t$を整数として、
$\ell=$$-1$$+t$
とおいても問題ない。
これを式Fに代入して、
$\left\{\begin{array}{l}
z=4+7(-1+t)\\
s=1+2(-1+t)
\end{array}\right.$
より、
$\left\{\begin{array}{l}
z=-3+7t\\
s=-1+2t
\end{array}\right.$式G
である。

解答ス:7, セ:2

$s=-1+2t$を式Dに代入すると、
$\left\{\begin{array}{l}
x=3+16(-1+2t)\\
y=4+21(-1+2t)
\end{array}\right.$
より、
$\left\{\begin{array}{l}
x=-13+32t\\
y=-17+42t
\end{array}\right.$式H
である。

解答ソ:-, タ:1, チ:3, ツ:3, テ:2, ト:-, ナ:1, ニ:7, ヌ:4, ネ:2

(2)

(1)より、
$x=-13+32t$
なので、これを$n$の式に代入して、
$n=21(-13+32t)+13$
$n$$=-260+672t$式I
である。
ここで、$n$は自然数なので、
$0 \lt -260+672t$
$260 \lt 672t$
$\displaystyle \frac{260}{672} \lt t$
$t$は整数なので、
$1\leqq t$
である。

式Iより、$t$小さいほど$n$も小さくなるので、求める$n$は$t$が最小のとき。
よって、$t=1$のとき、
$n=-260+672$
$n$$=412$
となる。

解答ノ:4, ハ:1, ヒ:2