大学入試センター試験 2017年(平成29年) 追試 数学ⅡB 第3問 解説

(1)

式①の$n$に$1$を代入して、
$2a_{3}-5a_{2}+2a_{1}=6$
これに
$a_{1}=1$ $a_{2}=4$ を代入して、
$2a_{3}-5\cdot 4+2\cdot 1=6$
$2a_{3}=24$
$a_{3}=12$
となる。

解答ア:1, イ:2

(2) ウ~キ

アドバイス

式①の3項間漸化式を変形してウの式になるのだけど、くれぐれも式①を変形しようとしてはいけない。ウの式を変形して式①と比べる方が分かりやすいと思う。

ウの式を変形して、
$(n+1)(a_{n+2}-$ウ$a_{n+1})-n(a_{n+1}-$ウ$a_{n})$
$=(n+1)a_{n+2}-$ウ$(n+1)a_{n+1}-na_{n+1}+$ウ$na_{n}$式A
$=(n+1)a_{n+2}-\{($ウ$+1)n+$ウ$\}a_{n+1}+$ウ$na_{n}$

この式を式①の左辺と比較すると、
ウ$=2$
であることが分かる。

解答ウ:2

アドバイス

式Aの段階で$a_{n}$の係数からウの値は分かるから、センター試験本番では式A以降の計算は必要ない。


よって、式①は
$(n+1)(a_{n+2}-2a_{n+1})-n(a_{n+1}-2a_{n})=4n+2$式①'
とかける。
ここで、
$n(a_{n+1}-2a_{n})=b_{n}$式B
とおくと、この式の$n$に$n+1$を代入して、
$(n+1)(a_{n+2}-2a_{n+1})=b_{n+1}$式C
ができる。
この式B,式Cを式①'に代入すると、
$b_{n+1}-b_{n}=4n+2$
より、
$b_{n+1}=b_{n}+(4n+2)$式D
となるので、$\{b_{n}\}$の2項間漸化式ができた。

せっかくなので2項間漸化式の基本の復習をしよう。

復習

2項間漸化式の基本の形は4つあって、
$p_{n+1}=p_{n}+d$
公差$d$の等差数列
$p_{n+1}=rp_{n}$
公比$r$の等比数列
$p_{n+1}=p_{n}+f(n)$
階差数列の一般項が$f(n)$
$ p_{n+1}=\alpha p_{n}+\beta$
特性方程式を使って解く
だった。

式Dは3番目のパターンなので、$\{bn\}$の階差数列の一般項が $(4n+2)$ である。
この階差数列は等差数列で、
$n$に$1$を代入して、初項が$6$
公差が$4$ である。

解答エ:6, オ:4


ついでに、階差数列の復習もしておく。

復習

階差数列が分かっているとき、もとの数列$\{p_{n}\}$の一般項は、
$p_{n}=p_{1}+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}q_{k} \hspace{30px} (2\leqq n)$
ただし、$q_{k}$は階差数列の一般項
だった。

なので、式Dより、$2\leqq n$のときの$\{b_{n}\}$の一般項は
$b_{n}=b_{1}+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}(4k+2)$式E
と表せる。

式Bより、
$b_{1}=a_{2}-2a_{1}$
問題文中の(I)より、
$a_{1}=1$,$a_{2}=4$
なので、
$b_{1}=4-2\cdot 1$
$b_{1}$$=2$
となる。

これを式Eに代入して、
$b_{n}=2+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}(4k+2)$
$b_{n}\displaystyle $$\displaystyle =2+4\sum_{k=1}^{n-1}k+\sum_{k=1}^{n-1}2$
$b_{n}\displaystyle $$\displaystyle =2+4\cdot\frac{1}{2}(n-1)n+2(n-1)$式E'
$b_{n}$$=2+2(n-1)n+2(n-1)$
$b_{n}$$=2+2(n-1)(n+1)$
$b_{n}$$=2\{(n-1)(n+1)+1\}$
$b_{n}$$=2(n^{2}-1+1)$
$b_{n}$$=2n^{2}$式F
である。

これは$n=1$のときも成り立つ。

解答カ:2, キ:2

アドバイス

上の式E'~式Fの変形は、問題文中の$b=$カ$n^{\text{キ}}$の形からも想像がつくように、実は展開した方が早い。この問題に限っては、センター試験本番では展開することをお薦めする。
しかし、一般的にはやはり基本は因数分解である。なので、上の解説では因数分解して計算してある。


この式Fは$\{b_{n}\}$の式。一方、問題文中の式②は$\{a_{n}\}$の式。
だから、$b_{n}$を$a_{n}$にもどさないといけない。

$b_{n}$は、式Bで
$n(a_{n+1}-2a_{n})=b_{n}$
と決めたので、この式に式Fを代入すると$a_{n}$の式にもどり、
$n(a_{n+1}-2a_{n})=2n^{2}$
$a_{n+1}-2a_{n}=\displaystyle \frac{1}{n}\cdot 2n^{2}$式②
$a_{n+1}-2a_{n}=2n$式②'
ができる。

(2) ク~ツ

復習

$p_{n+1}=\alpha p_{n}+(\beta n+\gamma)$
($\alpha$,$\beta$,$\gamma$は定数)
の形の漸化式は、
漸化式の$n$に$n+1$を代入した式 もとの漸化式 を辺々引く。

式②'は上の復習の形なので、式②'の$n$に$n+1$を代入した
$a_{n+2}-2a_{n+1}=2(n+1)$
と、式②'を辺々引くと、

$a_{n+2}$ - $2a_{n+1}$ $=$ $2(n+1)$
$-)$ $a_{n+1}$ - $2a_{n}$ $=$ $2n$
$(a_{n+2}-a_{n+1})$ - $2(a_{n+1}-a_{n})$ $=$ $2$

ここで、
$a_{n+1}-a_{n}=c_{n}$ $a_{n+2}-a_{n+1}=c_{n+1}$ なので、上の式は
$c_{n+1}-2c_{n}=2$
とかける。

解答ク:2

これをさらに変形して
$c_{n+1}=2c_{n}+2$式G
とすると、先に復習した漸化式の基本の形の4番目のパターンだ。
詳しい解き方はこのページを見てもらうとして、ここでは簡単に説明する。

式Gの両辺に$2$をたすと、
$c_{n+1}+2=2c_{n}+4$
$c_{n+1}+2$$=2(c_{n}+2)$式G'
と変形できる。

解答ケ:2

ここで、
$c_{n}+2=d_{n}$式H
とおくと、式G'は
$d_{n+1}=2d_{n}$
とかける。
これは、先に復習した漸化式の基本の形の2番目のパターンで、$\{d_{n}\}$は公比$2$の等比数列であることが分かる。
初項$d_{1}$は、
$d_{n}=c_{n}+2$ $c_{n}=a_{n+1}-a_{n}$ なので、
$d_{1}=c_{1}+2$
$d_{1}$$=a_{2}-a_{1}+2$
$d_{1}$$=4-1+2$
$d_{1}$$=5$
である。

解答コ:5

よって、
$d_{n}=5\cdot 2^{n-1}$式I
である。


ここまで、$\{a_{n}\}$から$\{c_{n}\}$をつくり、$\{c_{n}\}$から$\{d_{n}\}$をつくってきた。
この流れを逆にたどって、$\{d_{n}\}$から$\{a_{n}\}$を求めよう。

式Iを式Hに代入して、
$c_{n}+2=5\cdot 2^{n-1}$
$c_{n}=5\cdot 2^{n-1}-2$

これを$c_{n}=a_{n+1}-a_{n}$に代入して、
$a_{n+1}-a_{n}=5\cdot 2^{n-1}-2$
より
$a_{n+1}=a_{n}+(5\cdot 2^{n-1}-2)$
ができる。

これは、先に復習した漸化式の基本の形の2番目のパターンで、$\{a_{n}\}$の階差数列の一般項が
$5\cdot 2^{n-1}-2$
である。
なので、$2\leqq n$のとき
$a_{n}=a_{1}+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}(5\cdot 2^{k-1}-2)$
とかける。

これを計算して、
$a_{n}=1+5\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}2^{k-1}-\sum_{k=1}^{n-1}2$
$a_{n}\displaystyle $$\displaystyle =1+5\cdot\frac{1-2^{n-1}}{1-2}-2(n-1)$
$a_{n}$$=1-5(1-2^{n-1})-2(n-1)$
$a_{n}$$=5\cdot 2^{n-1}-2n-2$
となる。

これは$n=1$のときも成り立つ。

解答サ:5, シ:2, ス:1, セ:2, ソ:2


最後に、$\{a_{n}\}$の初項から$n$項までの和$S_{n}$を求める。
一般項$a_{n}$は分かっているので、単純にΣを使おう。
$S_{n}=\displaystyle \sum_{k=1}^{n}(5\cdot 2^{k-1}-2k-2)$
これを変形して、
$S_{n}=5\displaystyle \sum_{k=1}^{n}2^{k-1}-2\sum_{k=1}^{n}k-\sum_{k=1}^{n}2$
$S_{n}\displaystyle $$\displaystyle =5\cdot\frac{1-2^{n}}{1-2}-2\cdot\frac{1}{2}n(n+1)-2n$
$S_{n}$$=5\cdot 2^{n}-5-n(n+1)-2n$
$S_{n}$$=5\cdot 2^{n}-n^{2}-3n-5$
である。

解答タ:5, チ:2, ツ:2, テ:3, ト:5