大学入試センター試験 2017年(平成29年) 追試 数学ⅡB 第2問 解説

(1)

関数$f(x)$を微分して、
$f'(x)=3x^{2}-10x+3$式A

解答ア:3, イ:1, ウ:0, エ:3

なので、$f'(x)=0$になるのは
$3x^{2}-10x+3=0$
$(3x-1)(x-3)=0$
より
$x=\displaystyle \frac{1}{3}$,$3$
のとき。

$x=\displaystyle \frac{1}{3}$のとき、
$f\displaystyle \left(\frac{1}{3}\right)=\left(\frac{1}{3}\right)^{3}-5\left(\frac{1}{3}\right)^{2}+3\cdot\frac{1}{3}-4$

途中式 $f\displaystyle \left(\frac{1}{3}\right)$$\displaystyle =\frac{1}{3^{3}}-5\cdot\frac{3}{3^{3}}+3\cdot\frac{3^{2}}{3^{3}}-4\cdot\frac{3^{3}}{3^{3}}$
$f\displaystyle \left(\frac{1}{3}\right)$$\displaystyle =\frac{1-5\cdot 3+3\cdot 3^{2}-4\cdot 3^{3}}{3^{3}}$
$f\displaystyle \left(\frac{1}{3}\right)$$\displaystyle =\frac{-95}{3^{3}}$
$f\displaystyle \left(\frac{1}{3}\right)$$\displaystyle =-\frac{95}{27}$

$x=3$のとき、
$f(3)=3^{3}-5\cdot 3^{2}+3\cdot 3-4$
$f(3)$$=-13$

以上より増減表を書くと、

表A
$x$ $\cdots$ $\displaystyle \frac{1}{3}$ $\cdots$ $3$ $\cdots$
$f'(x)$ $+$ $0$ - $0$ $+$
$f(x)$ $\nearrow$ $-\displaystyle \frac{95}{27}$ $\searrow$ $-13$ $\nearrow$

となる。

表Aより、$f(x)$の
極大値は$x=\displaystyle \frac{1}{3}$のとき 極小値は$x=3$のとき であることが分かる。

解答オ:1, カ:3, キ:3


また、表Aより、極小値は$x\geqq 0$の範囲に入って、
$f(3)=-13$
である。
また、
$f(0)=-4$
なので、$x\geqq 0$の範囲における$f(x)$の最小値は
$f(3)=-13$
である。

解答ク:-, ケ:1, コ:3

図B
大学入試センター試験2017年追試 数学ⅡB第2問 解説図B

さらに、表Aより、$f(x)$のグラフは図Bのようになるので、$x$軸との共有点は1個。
よって、$f(x)=0$の異なる実数解の個数も1個である。

解答サ:1

(2)

接線$\ell$の傾きは、式Aに$x=0$を代入して、
$f'(0)=3$
傾き$3$の直線が、$(0$,$f(0))$を通るので、
$y-f(0)=3(x-0)$
$y=3x+f(0)$
ここで、$f(0)=-4$なので、求める接線$\ell$の方程式は、
$y=3x-4$
である。

解答シ:3, ス:4


直線$\ell$と放物線$C$が、点$(a$,$3a-4)$で接するので、連立方程式
$\left\{\begin{array}{l}
y=3x-4\\
y=x^{2}+px+q
\end{array}\right.$
は、$x=a$の重解をもつはずだ。

というわけで、連立方程式を解く。
二つの式で加減法をして、

$y$ $=$ $x^{2}$ $+px$ $+q$
$-)$ $y$ $=$ $3x$ $-4$
$0$ $=$ $x^{2}$ $+(p-3)x$ $+(q+4)$

より、方程式
$x^{2}+(p-3)x+(q+4)=0$式B
ができる。

この方程式が$x=a$の重解をもつので、
$(x-a)^{2}=0$
と因数分解出来るはず。
よって、これを展開した
$x^{2}-2ax+a^{2}=0$式C
と、式Bは同じ式であるはず。

なので、式Bと式Cの係数を比較して、
$\left\{\begin{array}{l}
p-3=-2a\\
q+4=a^{2}
\end{array}\right.$
であることが分かる。
これを変形して、
$\left\{\begin{array}{l}
p=-2a+3\\
q=a^{2}-4
\end{array}\right.$
となる。

解答セ:-, ソ:2, タ:3, チ:2, ツ:4

別解

上の方法がシンプルでお薦めなんだけど、連立方程式が$x=a$の重解をもつことに気がつかなければ使えない。
これに気づかなかったとき、接線の傾きやグラフ上の点の座標から解くと、次のようになる。

放物線$C$の式を微分して、
$y'=2x+p$
ここで、放物線$C$の、点$(a$,$3a-4)$における接線の傾きが$3$なので、
$2a+p=3$
とかける。
これを変形して、
$p=-2a+3$式D
である。

解答セ:-, ソ:2, タ:3

さらに、放物線$C$が点$(a$,$3a-4)$を通るので、これを放物線$C$の式に代入して、
$3a-4=a^{2}+pa+q$
これに式Dを代入して、
$3a-4=a^{2}+(-2a+3)a+q$
$3a-4=a^{2}-2a^{2}+3a+q$
$-4=-a^{2}+q$
$q=a^{2}-4$
である。

解答チ:2, ツ:4

(3)

問題文より、放物線$C$は、図Cの紫のグラフか茶色いグラフのいずれかのような形になる。
ただし、軸の位置は図C通りとは限らない。

図C
大学入試センター試験2017年追試 数学ⅡB第2問 解説図C

紫のグラフであれば、
$\left\{\begin{array}{l}
g(0) \lt 0\\
g(1) \gt 0
\end{array}\right.$
茶色いグラフであれば、
$\left\{\begin{array}{l}
g(0) \gt 0\\
g(1) \lt 0
\end{array}\right.$
なので、どちらの場合でも
$g(0)g(1) \lt 0$式E
になる。

放物線$C$の式、つまり$g(x)$は、
$g(x)=x^{2}+px+q$
に(2)の結果を代入して、
$g(x)=x^{2}+(-2a+3)x+(a^{2}-4)$式F
とかける。

$g(0)=a^{2}-4$
$g(0)$$=(a-2)(a+2)$式G
$g(1)=1+(-2a+3)+(a^{2}-4)$
$g(1)$$=a^{2}-2a$
$g(1)$$=a(a-2)$式H
なので、式Eは
$a(a+2)(a-2)^{2} \lt 0$式E'
となる。

解答テ:2, ト:2

ここで、$0\leqq(a-2)^{2}$だけど、
$(a-2)^{2}=0$
つまり
$a=2$
のとき、式E'は
$0 \lt 0$
となって成り立たない。
なので、
$a\neq 2$
のときだけ考える。

すると、
$0 \lt (a-2)^{2}$
なので、式E'の両辺を$(a-2)^{2}$で割って、
$a(a+2) \lt 0$
$-2 \lt a \lt 0$
である。

解答ナ:-, ニ:2, ヌ:0

以上より、
$a-2 \lt 0$ $a \lt 0$ $0 \lt a+2$ なので、式G,式Hから
$g(0)=$負$\times$正$ \lt 0$ $g(1)=$負$\times$負$ \gt 0$ である。

解答ネ:0, ノ:2

このことから、放物線$C$は、図Cの紫のグラフのような形であることが分かる。


問題文中の式$\displaystyle \int_{0}^{1}g(x)dx$は、
$\displaystyle \int_{0}^{1}g(x)dx=\int_{0}^{\beta}g(x)dx+\int_{\beta}^{1}g(x)dx$式I
とかける。

また、ネノより、放物線$C$と面積$S$,$T$の関係は、図Dのようになる。

図D
大学入試センター試験2017年追試 数学ⅡB第2問 解説図D

(ただし、軸の位置は図D通りとは限らない。)

関数を定積分すると、グラフと$x$軸の間の面積が出るけれど、$x$軸よりも下の面積は負の値になる。
なので、
$\displaystyle \int_{0}^{\beta}g(x)dx=-S$ $\displaystyle \int_{\beta}^{1}g(x)dx=T$ と表せる。
よって、式Iは
$\displaystyle \int_{0}^{1}g(x)dx=-S+T$式I'
とかける。

解答ハ:5


$S=T$のとき、式I'より、
$\displaystyle \int_{0}^{1}g(x)dx=0$
なので、このときの$a$の値を求めよう。

上の式に式Fを代入して、
$\displaystyle \int_{0}^{1}x^{2}+(-2a+3)x+(a^{2}-4)dx=0$
これを積分して、
$\left[\frac{1}{3}x^{3}+\frac{-2a+3}{2}x^{2}+(a^{2}-4)x\right]_{0}^{1}=0$
$\displaystyle \frac{1}{3}+\frac{-2a+3}{2}+(a^{2}-4)=0$
両辺に$6$をかけて分母を払って、
$2+3(-2a+3)+6(a^{2}-4)=0$
$6a^{2}-6a-13=0$

この式は因数分解出来ないから、しかたがないので解の公式だ。

$a=\displaystyle \frac{6\pm\sqrt{6^{2}-4\cdot 6(-13)}}{2\cdot 6}$
$a\displaystyle $$\displaystyle =\frac{6\pm 2\sqrt{3^{2}+6\cdot 13}}{2\cdot 6}$
$a\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3\pm\sqrt{87}}{6}$
となるけど、ナニヌより
$-2 \lt a \lt 0$
なので、
$a=\displaystyle \frac{3+\sqrt{87}}{6}$
は不適。

よって、求める$a$は
$a=\displaystyle \frac{3-\sqrt{87}}{6}$
である。

解答ヒ:3, フ:8, ヘ:7, ホ:6