大学入学共通テスト 2018年(平成30年) 試行調査 数学ⅡB 第2問 [1] 解説
はじめに
まず、情報を整理する。
食品A$x$袋,食品B$y$袋あたりのエネルギーと脂質は、表Aのようになる。
食品A $x$ 袋 | 食品B $y$ 袋 | |
---|---|---|
重さ | $100x$ [g] | $100y$ [g] |
エネルギー | $200x$ [kcal] | $300y$ [kcal] |
脂質 | $4x$ [g] | $2y$ [g] |
(1) (i),(ii)
(i)
太郎さんはエネルギーの合計を$1500$kcal以下にしたい。
つまり、表Aより
$200x+300y\leqq 1500$①
にしたい。
解答ア:0
また、脂質は合計$16$g以下にしたい。
つまり、表Aより
$4x+2y\leqq 16$②
にしたい。
解答イ:2
(ii)
①,②の式のままだと計算しにくいから、簡単にしておこう。
①の両辺を$100$で割って、
$2x+3y\leqq 15$①'
②の両辺を$2$で割って、
$2x+y\leqq 8$②'
とする。
選択肢を①',②'に代入して、成り立つかどうか確認してゆこう。
$(x,y)=(0,5)$を①'の左辺に代入すると
$2\cdot 0+3\cdot 5=15$
なので、条件①を満たす。
よって、選択肢⓪は誤り。
$(x,y)=(5,0)$を①'の左辺に代入すると
$2\cdot 5+3\cdot 0=10$
なので、条件①を満たす。
②'の左辺に代入すると
$2\cdot 5+0=10$
なので、条件②は満たさない。
よって、選択肢①は正しい。
$(x,y)=(4,1)$を①'の左辺に代入すると
$2\cdot 4+3\cdot 1=11$
なので、条件①を満たす。
よって、選択肢②は誤り。
$(x,y)=(3,2)$を①'の左辺に代入すると
$2\cdot 3+3\cdot 2=12$
なので、条件①を満たす。
②'の左辺に代入すると
$2\cdot 3+2=8$
なので、条件②を満たす。
よって、選択肢③は正しい。
以上より、正しい選択肢は
①,③
である。
解答ウ:1, エ:3 (順不同)
(1) (iii)
数学らしい問題になった。
まず、$x$,$y$は袋の数なので、
$0 \leqq x$ | |
$0 \leqq y$ |
である。
次に条件①,②だけど、$x$,$y$の不等式なので、領域にしよう。
①'はさらに
$3y\leqq-2x+15$
より
$y\displaystyle \leqq-\frac{2}{3}x+5$式A
と変形できるから、条件①は図Bの緑の斜線部分(境界を含む)。
②'は
$y\leqq-2x+8$
なので、条件②'は青い斜線の部分(境界を含む)。
よって、両方の条件を満たすのは、図Bのオレンジの部分(境界を含む)だ。
食べる量を$M$とすると
$M=100x+100y$式B
とかける。
この$M$の最大値を求める。
よく見るお約束の問題だ。
なので、お約束通りの解き方をしよう。
$x$,$y$が実数のとき
式Bは
$\displaystyle \frac{M}{100}=x+y$
より
$y=-x+\displaystyle \frac{M}{100}$式B'
と変形できる。
よって、$M$が最大になるのは、
式B'の直線と図Bのオレンジの部分が共有点をもち
式B'の直線の$y$切片が最大になる
とき。
図Bの緑の直線の傾きは、式B'のグラフの傾きより大きい。
青い直線の傾きは、式B'のグラフの傾きより小さい。
なので、式B'の$y$切片が最大になるのは、グラフが緑と青の交点(図Cの紫の点)を通るとき。
ということで、緑の線と青い線の式の連立方程式
$y=-\displaystyle \frac{2}{3}x+5$式C | |
$y==-2x+8$式D |
を解いて、紫の点の座標を求める。
式Cの両辺を$3$倍して
$-2x+3\cdot 5=-6x+3\cdot 8$
より
$4x=3\cdot 3$
$x=\displaystyle \frac{9}{4}$
である。
これを式Dに代入すると、
$y=-2\displaystyle \cdot\frac{9}{4}+8$
$y$$\displaystyle =\frac{7}{2}$
となる。
よって、紫の点の座標は
$\displaystyle \left(\frac{9}{4},\frac{7}{2}\right)$
なので、$M$が最大になる$x$,$y$は
$\displaystyle (x,y)=\left(\frac{9}{4},\frac{7}{2}\right)$式E
であることが分かる。
解答ク:9, ケ:4, コ:7, サ:2
また、このときの食品の量$M$は、式Bに式Eを代入して、
$M=100\displaystyle \cdot\frac{9}{4}+100\cdot\frac{7}{2}$
とかけるから、
$M=25\cdot(9+14)$
より
$M=575$ [g]
である。
解答オ:5, カ:7, キ:5
$x$,$y$が整数のとき
$x$,$y$が整数のとき、式B'より
$y$切片も整数
である。
図Cの紫の直線の$y$切片は、式B'にオカキを代入して
$\displaystyle \frac{575}{100}=5.75$
だけど、今回は
$y$切片が整数
でなければならない。
今回も
式B'の直線は図のオレンジの部分と共有点をもつ
から、求める式B'の直線は、図Cの紫の直線を 切片が整数になるように下に平行移動したもの。
よって、式B'の候補は
$x+y=5$式B''
が考えられる。
このときの$y$切片
$(0,5)$
は$x$座標も$y$座標も整数で、オレンジの部分に含まれるから、答えのひとつだ。
なので、式Bに
$(x,y)=(0,5)$
を代入して、
$100\cdot 0+100\cdot 5=500$
より
$M=500$
であることが分かる。
解答シ:5, ス:0, セ:0
答えとなる$(x,y)$の組は、図Dの赤い線分(両端を含む)上にある$x$も$y$も整数である点(これを格子点と呼ぶ)だ。
よって、答えは$(0,5)$(図Dの緑の点)以外にも存在する。
というわけで、赤い線分の右端、つまり図Dの青い点の座標$x$を求めよう。
青い線と式B''の連立方程式を解く。
今回は、赤い線分の上の点は$x$座標が整数なら$y$座標も整数なので、$x$座標だけ考えればよい。
式B''に青い線の式を代入して、
$x+(-2x+8)=5$
より
$-x=-3$
$x=3$
となる。
以上より、図Dの
緑の点の$x$座標は$0$
青い点の$x$座標は$3$
なので、赤い線分上の格子点は
$x=0$,$1$,$2$,$3$
の4通りあることが分かる。
解答ソ:4
(2)
(1)の(iii)と同じように解こう。
(1)と同様に、食品Aの袋数を$x$,食品Bの袋数を$y$とする。
花子さんは、食品Aと食品Bを合計$600$g以上食べる。
表Aより、この条件は
$100x+100y\geqq 600$
より
$x+y\geqq 6$
$y\geqq-x+6$式F
とかける。
また、エネルギーは$1500$kcal以下だけど、この条件は(1)の①と同じなので、式Aより
$y\displaystyle \leqq-\frac{2}{3}x+5$
である。
なので、この2つの条件を満たすのは、図Eのオレンジの部分(境界を含む)だ。
このとき、脂質を$L$とすると、表Aから
$L=4x+2y$式G
より
$y=-2x+\displaystyle \frac{L}{2}$式G'
とかける。
(1)の(iii)と同様に、式G'の直線が
図Eのオレンジの部分と共有点をもつ
$y$切片が最も小さくなる
ときを考える。
式G'の傾きは 図Eの青と緑 両方の線の傾きより小さい(垂直に近い)。
なので、式G'とオレンジの部分が共有点をもつ限界は紫の線で、紫の点を通るとき。
紫の点の$x$座標は、緑の線と青い線の式の連立方程式
$y=-\displaystyle \frac{2}{3}x+5$ | |
$y=-x+6$式H |
を解いて、
$-\displaystyle \frac{2}{3}x+5=-x+6$
より
$x=3$
である。
このとき、$y$座標は、$x=3$を式Hに代入して
$y=3$
となり、ちょうど$x$,$y$とも整数になった。
なので、求める食品A,Bの袋数は、
Aが3袋 | |
Bが3袋 |
である。
解答タ:3, チ:3
また、このときの脂質は、$(x,y)=(3,3)$を式Gに代入して、
$4\cdot 3+2\cdot 3=18$ [g]
である。
解答ツ:1, テ:8