大学入学共通テスト 2018年(平成30年) 試行調査 数学ⅡB 第2問 [2] 解説
(1) (i)(ii)
(i)
はじめは、定期テストなんかでよく見る軌跡の問題だ。
このタイプの問題を解くときには鉄則があって、
復習
軌跡を求める点を$(x,y)$とおく
だった。
復習より、
点$\mathrm{M}$を$(x,y)$
点$\mathrm{P}$を$(s,t)$
とおく。
点$\mathrm{M}$は点$\mathrm{A}(0,-2)$と点$\mathrm{P}(s,t)$の中点なので、
$(x,y)=\displaystyle \left(\frac{0+s}{2},\frac{-2+t}{2}\right)$
より
$\left\{\begin{array}{l}
2x=s\\
2y=-2+t
\end{array}\right.$
なので
$\left\{\begin{array}{l}
s=2x\\
t=2y+2
\end{array}\right.$式A
と表せる。
また、点$\mathrm{P}$は$y=x^{2}$上の点なので、
$t=s^{2}$
とかける。
これに式Aを代入して、点$\mathrm{M}$の軌跡の方程式は
$2y+2=(2x)^{2}$
より
$y+1=2x^{2}$
$y=2x^{2}-1$式B
である。
解答ト:1
(ii)
(i)の解説の図A以降の計算をちょっと変えよう。
点$\mathrm{M}$は点$\mathrm{A}(p,-2)$と点$\mathrm{P}(s,t)$の中点なので、
$(x,y)=\displaystyle \left(\frac{p+s}{2},\frac{-2+t}{2}\right)$
より
$\left\{\begin{array}{l}
2x=p+s\\
2y=-2+t
\end{array}\right.$
なので
$\left\{\begin{array}{l}
s=2x-p\\
t=2y+2
\end{array}\right.$式C
と表せる。
また、点$\mathrm{P}$は$y=x^{2}$上の点なので、
$t=s^{2}$
とかけるから、これに式Cを代入して、点$\mathrm{M}$の軌跡の方程式は
$2y+2=(2x-p)^{2}$
より
$y+1=\displaystyle 2\left(x-\frac{p}{2}\right)^{2}$
$y=\displaystyle 2\left(x-\frac{p}{2}\right)^{2}-1$式D
となる。
これは、式Bの$x$を$x-\displaystyle \frac{p}{2}$に変えたもの。
なので、式Dのグラフは式Bのグラフを
$x$軸方向に$\displaystyle \frac{p}{2}$
平行移動したものである。
解答ナ:0
(1) (iii)
(ii)の解説の計算をまたちょっと変える。
点$\mathrm{M}$は点$\mathrm{A}(p,q)$と点$\mathrm{P}(s,t)$の中点なので、
$(x,y)=\displaystyle \left(\frac{p+s}{2},\frac{q+t}{2}\right)$
より
$\left\{\begin{array}{l}
2x=p+s\\
2y=q+t
\end{array}\right.$
なので
$\left\{\begin{array}{l}
s=2x-p\\
t=2y-q
\end{array}\right.$式E
と表せる。
また、点$\mathrm{P}$は$y=x^{2}$上の点なので、
$t=s^{2}$
とかけるから、これに式Eを代入して、点$\mathrm{M}$の軌跡の方程式は
$2y-q=(2x-p)^{2}$式F
となる。
以下、式Fのグラフを放物線$L$とする。
2次関数同士の共有点の数なので、判別式にもってゆく方向で考えよう。
$y=x^{2}$と放物線$L$の共有点は、連立方程式
$y=x^{2}$ | |
$2y-q=(2x-p)^{2}$式F |
の解だ。
この連立方程式から$y$を消して、$x$だけの方程式にしよう。
式Fに$y=x^{2}$を代入して、
$2x^{2}-q=4x^{2}-4px+p^{2}$
より
$2x^{2}-4px+p^{2}+q=0$
とかける。
この式の判別式$D$をとると、
$D=(-4p)^{2}-4\cdot 2\cdot(p^{2}+q)$
$D$$=8(2p^{2}-p^{2}-q)$
$D$$=8(p^{2}-q)$
なので、
$\displaystyle \frac{D}{8}=p^{2}-q$式G
である。
式Gより、$q=0$のとき、
$p=0$のとき、$\displaystyle \frac{D}{8}=0$
$p\neq 0$のとき、$\displaystyle \frac{D}{8} \gt 0$
となる。
よって、放物線$L$と$y=x^{2}$は、
$q=0$のとき、
$p=0$なら、共有点は1個
$p\neq 0$なら、共有点は2個
であることが分かる。
したがって、選択肢の⓪,②は誤りで、
①
は正しい。
また、式Gより、
$q \lt p^{2}$のとき、
$p^{2}-q \gt 0$
なので、
$\displaystyle \frac{D}{8} \gt 0$
$q=p^{2}$のとき、
$p^{2}-q=0$
なので、
$\displaystyle \frac{D}{8}=0$
$q \gt p^{2}$のとき、
$p^{2}-q \lt 0$
なので、
$\displaystyle \frac{D}{8} \lt 0$
となる。
よって、放物線$L$と$y=x^{2}$は、
$q \lt p^{2}$のとき、共有点は2個
$q=p^{2}$のとき、共有点は1個
$q \gt p^{2}$のとき、共有点は0個
であることが分かる。
したがって、選択肢の③は誤りで、
④,⑤
は正しい。
以上より、正しい選択肢は
①,④,⑤
である。
解答ニ:1,4,5
(2)
軌跡からもとの図形を復元する問題。
イメージをつかむために、円周上の点と定点との中点の軌跡をいくつか考えてみよう。
ここでは、おおざっぱなイメージだけ分かればいい。
アドバイス
緑をもとの円として、定点が円の外にあるとき、円周上の点と定点との中点の軌跡は図Bの赤い円のようになる。
また、定点が円の中にあるとき、円周上の点と定点との中点の軌跡は図Cの赤い円のようになる。
図B,図Cを見て気づくのは、
定点,軌跡の円の中心,もとの円の中心は一直線上にある。
定点から見て、もとの円の中心は 軌跡の円の中心の2倍遠くにある。
定点が軌跡の円の内部にあれば、もとの円でも内部にある。
定点が軌跡の円の外部にあれば、もとの円でも外部にある。
定点が軌跡の円の中心なら、もとの円でも中心にある。
もとの円の半径は、軌跡の円の半径の$2$倍である。
くらいだろうか。
これを頭に入れて、問題文中の図を見る。
図を見ると、
軌跡の円は半径が$2$
だ。
また、図Dの赤い円は
円の内部に定点があり
定点が円の中心
になっている。
以上とアドバイスより、もとの円の
半径は$4$
中心は赤い円の中心の$(0,0)$
であることが分かる。
よって、もとの円の方程式は
$x^{2}+y^{2}=4^{2}$
$x^{2}+y^{2}$$=16$
となる。
解答ヌ:3
上のアドバイスのうち、使ってない性質がたくさんある。
それを使うと別解がたくさん作れるけど、ここでは省略する。