大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 本試 数学ⅠA 第2問 [2] 解説

(1)

最初に、2次関数の式の復習だ。

復習

2次関数の式の表し方は3通りあって、状況に応じて使い分けるんだった。

$y=a(x-p)+q$式A
頂点(軸でもよい)の情報があるとき

$y=a(x-\alpha)(x-\beta)$
$x$軸との交点の情報があるとき

$y=ax^{2}+bx+c$
頂点も$x$軸との交点も分からないとき

図A
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅠA第2問[2] 解説図A

放物線$C_{1}$は点$\mathrm{P}_{0}$と点$\mathrm{M}$を通るけど、この2点とも、$y$座標は$3$だ。
なので、$C_{1}$の軸は$\mathrm{P}_{0}$と$\mathrm{M}$の真ん中を通るから、軸、つまり頂点の$x$座標は
$x=\dfrac{\mathrm{P}_{0}\text{の}x\text{座標}+\mathrm{M}\text{の}x\text{座標}}{2}$
$\phantom{ x } =2$
である。

これから$C_{1}$の式を求めるんだけど、頂点の$x$座標が分かっているから、復習の式Aを使う。

$x^{2}$の係数を$a$とすると、頂点の$x$座標は$2$なので、$C_{1}$の式は
$y=a(x-2)^{2}+q$
とかける。
これを展開すると
$y=ax^{2}-4ax+\textcolor{red}{4a+q}$
となる。

この式の赤い部分は$y$切片(グラフと$y$軸との交点の$y$座標)なので、$3$になるはず。

よって、$C_{1}$の式は
$y=ax^{2}-4ax+3$式B
と表せる。

解答キ:4, ク:3

また、プロ選手の「シュートの高さ」は$C_{1}$の頂点の$y$座標なので、式Bに$x=2$を代入して、
$a\cdot 2^{2}-4a\cdot 2+3=4a-2\cdot 4a+3$
$\phantom{ a\cdot 2^{2}-4a\cdot 2+3 } =-4a+3$
である。

解答ケ:4, コ:3


問題文中の$C_{2}$の式より、$C_{2}$の頂点の$x$座標は
$2-\dfrac{1}{8p}$
であることが分かる。

ここで、$p$は上に凸の放物線の式の$x^{2}$の係数なので、
$p \lt 0$
だ。

よって、
$\dfrac{1}{8p} \lt 0$
より
$0 \lt -\dfrac{1}{8p}$
だから、
$2 \lt 2-\dfrac{1}{8p}$
といえる。

以上より、
$C_{1}$の頂点の$x$座標 $ \lt \ C_{2}$の頂点の$x$座標 なので、
「ボールが最も高くなるときの地上の位置」は、プロ選手よりも花子さんの方が$\mathrm{M}$の$x$座標に近い ことが分かる。

解答サ:2

別解

問題文中の$C_{2}$の式を使わずに解くと、次のようになる。

図B
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅠA第2問[2] 解説図B

$C_{2}$のグラフを描くと、図Bができる。 図Bのように、$C_{2}$上にあって$y$座標が$3$である点のうち、$\mathrm{M}$ではない方(図中の赤い点)を$\mathrm{H}_{3}$とする。

$C_{2}$の軸は、$\mathrm{H}_{3}$と$\mathrm{M}$の真ん中を通る。
$\mathrm{H}_{3}$は$\mathrm{H}_{0}$より右にあるから、$\mathrm{H}_{3}$と$\mathrm{M}$の真ん中は $\mathrm{H}_{0}$と$\mathrm{M}$の真ん中よりも右にある。
よって、$C_{2}$の軸、つまり頂点の$x$座標は$2$よりも右にある。

以上より、
$C_{1}$の頂点の$x$座標 $ \lt \ C_{2}$の頂点の$x$座標 なので、
「ボールが最も高くなるときの地上の位置」は、プロ選手よりも花子さんの方が$\mathrm{M}$の$x$座標に近い ことが分かる。

解答サ:2

(2)

$\mathrm{AD}=\dfrac{\sqrt{3}}{15}$
より、点$\mathrm{D}$の
$x$座標は、点$\mathrm{A}$と同じ
$\hspace{50px} 3.8=\dfrac{19}{5}$
$y$座標は、点$\mathrm{A}$の$y$座標に$\dfrac{\sqrt{3}}{15}$をたして
$\hspace{50px} 3+\dfrac{\sqrt{3}}{15}$
となる。

$C_{1}$が点$\mathrm{D}$を通るときを考える。

式Bに$\left(\dfrac{19}{5},3+\dfrac{\sqrt{3}}{15}\right)$を代入すると、
$3+\dfrac{\sqrt{3}}{15}=a\left(\dfrac{19}{5}\right)^{2}-4a\cdot\dfrac{19}{5}+3$
とかける。

これを解くと、
$\dfrac{\sqrt{3}}{15}=a\cdot\dfrac{19}{5}\cdot\left(\dfrac{19}{5}-4\right)$

途中式 $\phantom{ \dfrac{\sqrt{3}}{15} } =a\cdot\dfrac{19}{5}\cdot\left(-\dfrac{1}{5}\right)$
$\phantom{ \dfrac{\sqrt{3}}{15} } =-\dfrac{19}{5^{2}}a$
$a=-\dfrac{5^{2}}{19}\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{15}$
$\phantom{ a } =-\dfrac{5}{19}\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{3}$
より
$a=-\dfrac{5\sqrt{3}}{57}$式C
となる。

このときの$C_{1}$の式は、式Bを変形した
$y=a(x^{2}-4x)+3$
に式Cを代入した
$y=-\dfrac{5\sqrt{3}}{57}(x^{2}-4x)+3$
である。

解答シ:5, ス:3, セ:5, ソ:7


最後は、プロ選手と花子さんのシュートの高さの比較だ。
花子さんのシュートの高さは問題文に載っているので、プロ選手だけ考えよう。

で考えたように、プロ選手のシュートの高さは
$-4a+3$
だった。

これに式Cを代入すると
$-4\cdot \left( -\dfrac{5\sqrt{3}}{57} \right)+3= \textcolor{red}{\dfrac{20\sqrt{3}}{57}}+3$
となる。

この式の赤い部分は、$\sqrt{3}\doteqdot 1.73$なので
$\dfrac{20\times 1.73}{57}=\dfrac{34.6}{57}$
$\hspace{74px} =0.607\ldots$
くらいの値だ。

よって、プロ選手のシュートの高さは
$0.6+3=3.6$
くらいである。

これを花子さんのシュートの高さの$3.4$と比較すると、
プロ選手のシュートの高さの方が高い ことが分かる。

解答タ:0

高さの差は
$3.6-3.4=0.2$
なので、ボール約1個分だ。

解答チ:0