大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 本試 数学ⅡB 第2問 [2] 解説

(1)

定積分 $\displaystyle\int_{0}^{30}\left(\dfrac{1}{5}x+3\right)dx$ を計算すると、
$\displaystyle\int_{0}^{30}\left(\dfrac{1}{5}x+3\right)dx=\left[\dfrac{1}{5}\cdot\dfrac{x^{2}}{2}+3x\right]_{0}^{30}$
$\hspace{128px} =\left[x\left(\dfrac{x}{10}+3\right)\right]_{0}^{30}$式A
$\hspace{128px} =30\cdot\left(\dfrac{30}{10}+3\right)$
$\hspace{128px} =180$
となる。

解答タ:1, チ:8, ツ:0

また、不適積分
$\displaystyle\int\left(\dfrac{1}{100}x^{2}-\dfrac{1}{6}x+5\right)dx$
を計算すると、$C$を積分定数として、
$$ \begin{align} \int\left(\dfrac{1}{100}x^{2}-\dfrac{1}{6}x+5\right)dx&=\dfrac{1}{100}\cdot\dfrac{x^{3}}{3}-\dfrac{1}{6}\cdot\dfrac{x^{2}}{2}\\ &\hspace{60px}+5x+C\\ &=\dfrac{1}{300}x^{3}-\dfrac{1}{12}x^{2}\\ &\hspace{60px}+5x+C \end{align} $$ である。

解答テ:3, ト:0, ナ:0, ニ:1, ヌ:2, ネ:5

(2) (i)

問題文は長いけれど、問われているのは、単に
$\displaystyle\int_{0}^{t}\left(\dfrac{1}{5}x+3\right)dx=400$式B
となる$t$の値だ。
図でいうと、図Aの緑の部分の面積が$400$になるような$t$の値を問われている。

図A
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅡB第2問[2] 解説図A

式Bはそのまま積分してもいいんだけど、(1)の作業を使うと、式Aより
$\displaystyle\int_{0}^{30}\left(\dfrac{1}{5}x+3\right)dx=\left[x\left(\dfrac{x}{10}+3\right)\right]_{0}^{30}$
なので、式Bの左辺は
$\displaystyle\int_{0}^{t}\left(\dfrac{1}{5}x+3\right)dx=\left[x\left(\dfrac{x}{10}+3\right)\right]_{0}^{t}$
$\phantom{ \int_{0}^{t}\left(\dfrac{1}{5}x+3\right)dx} =t\left(\dfrac{t}{10}+3\right)$
となる。

この値が$400$になればいいので、
$t\left(\dfrac{t}{10}+3\right)=400$式C
より
$t(t+30)=4000$式D
とかける。


式Dを解くんだけど、真面目に解く必要はなくて、$t$に適当な値を代入してみた方が早い。

(1)より
$\displaystyle\int_{0}^{30}\left(\dfrac{1}{5}x+3\right)dx=180$
なので、$t=30$のとき図Aの緑の面積は$180$だから、解答群の⓪は不適だ。

なので、正解は①~⑦のどれかなんだけど、まずはちょうど真ん中の④でやってみよう。
式Dの左辺の$t$に$50$を代入したものが、右辺の$4000$より
大きければ、正解は①~③のどれか 小さければ、正解は⑤~⑦のどれか であることが分かる。

ということで、式Dの左辺に$t=50$を代入すると、
$50\cdot(50+30)=50\cdot 80$
$\phantom{ 50\cdot(50+30) } =4000$
となって、いきなりうっかり正解を見つけてしまった。

以上より、開花日時は2月に入ってから$50$日後である。

解答ノ:4

別解

積分を使わずに、図Aの緑の図形の面積を考えても解ける。

図Aの緑の図形は台形なので、面積は
$\dfrac{1}{2}\times($上底$+$下底$)\times$高さ
で求められる。

上底にあたるのは、図Aの紫の線。
この長さは$y=f(x)$の$y$切片なので、
上底$=3$
下底にあたるのは、図Aの赤い線。
この長さは$f(t)$なので、
下底$=\dfrac{1}{5}t+3$
高さにあたるのは、図Aのオレンジの線。
この長さは$t$

だから、面積は
$\dfrac{1}{2}\times\left\{3+\left(\dfrac{1}{5}t+3\right)\right\}\times t=t\left(\dfrac{t}{10}+3\right)$
とかける。

この面積が$400$になればいいので、
$t\left(\dfrac{t}{10}+3\right)=400$式C
と表せ、式Cができる。

(2) (ii)

今度は、$f(x)$を
$f(x)=\left\{\begin{array}{l} \dfrac{1}{5}x+3 \hspace{54px} (0\leqq x\leqq 30)\textcolor{coral}{\text{・・・①}}\\ \dfrac{1}{100}x^{2}-\dfrac{1}{6}x+5 \hspace{20px} (30\leqq x)\textcolor{coral}{\text{・・・②}} \end{array}\right.$
として、(i)と同様に考える。

$y=f(x)$のグラフを描くと、図Bができる。

図B
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅡB第2問[2] 解説図B

図Bで、緑の部分の面積が$400$になるような$t$を考えるわけだ。


これを考えるために、分かることを確認しよう。

図C
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅡB第2問[2] 解説図C

(1)より
$\displaystyle\int_{0}^{30}\left(\dfrac{1}{5}x+3\right)dx=180$
なので、図Bの黄色い部分の面積は
$180$
であることが分かっている。

また、問題文の
$\displaystyle\int_{30}^{40}\left(\dfrac{1}{100}x^{2}-\dfrac{1}{6}x+5\right)dx=115$
より、図Bの青い部分の面積は
$115$
だ。

さらに、図Cの紫の放物線は、$x=30$より左の部分で単調増加なので、
青の面積$\textcolor{red}{ \lt }$オレンジの面積
だから、
$\displaystyle\int_{30}^{40}f(x)\,dx \textcolor{red}{ \lt } \int_{40}^{50}f(x)\,dx$
である。

解答ハ:0


以上より、図Cにおいて、
黄色$+$青は
$180+115=295$
黄色$+$青$+$オレンジは
$180+115+115$より大きいので、
$410$より大きい
ことが分かる。

よって、図Bの、緑の面積が$400$である$t$は、
$40 \lt t \lt 50$
の部分にある。

解答ヒ:4