大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 本試 数学Ⅱ 第3問 解説

(1)

(i)

$(x-10)^{2}+(y-5)^{2}=25$
$\phantom{ (x-10)^{2}+(y-5)^{2} }=5^{2}$式A

は、 中心$(10,5)$,半径$5$の円の式 である。

解答ア:1, イ:0, ウ:5, エ:5

(ii)

問題文にしたがって、
$\left\{\begin{array}{l} \text{点}\mathrm{P}\text{の座標を}(s,t)\\ \text{点}\mathrm{Q}\text{の座標を}(x,y) \end{array}\right.$
とおく。

アドバイス

点$\mathrm{Q}$の軌跡を求めるので、点$\mathrm{Q}$の座標を$(x,y)$とおく。
このように、軌跡を求める点を必ず$(x,y)$とする。
ほかの点、例えばこの問題であれば点$\mathrm{P}$を$(x,y)$としたりすると、あとで大混乱する。

図A
大学入学共通テスト2023年本試 数学Ⅱ第3問 解説図A

ここで、

点$\mathrm{Q}$は$\mathrm{OP}$を$2:3$に内分するから、座標$(x, y)$は
$(x, y)=\dfrac{3(0, 0)+2(s, t)}{2+3}$
とかける。

これを計算すると、
$(x, y)=\dfrac{(2s, 2t)}{5}$
より、
$\left\{\begin{array}{l} x=\dfrac{2}{5}s\\ y=\dfrac{2}{5}t \end{array}\right.$式B
と表せる。

解答オ:2, カ:5, キ:2, ク:5

この式Bを、
$\left\{\begin{array}{l} s=\dfrac{5}{2}x\\ t=\dfrac{5}{2}y \end{array}\right.$式B'
と変形しておく。

点$\mathrm{P}$は$C_{1}$上にあるので、式Aに$(s, t)$を代入して
$(s-10)^{2}+(t-5)^{2}=5^{2}$式C
とかける。

以上より、式Cに式B'を代入すると、$x$と$y$の式
$\left(\dfrac{5}{2}x-10\right)^{2}+\left(\dfrac{5}{2}y-5\right)^{2}=5^{2}$
ができる。

この式の両辺に$\left(\dfrac{2}{5}\right)^{2}$をかけると、

途中式 $\left(\dfrac{2}{5}\right)^{2}\left(\dfrac{5}{2}x-10\right)^{2}+\left(\dfrac{2}{5}\right)^{2}\left(\dfrac{5}{2}y-5\right)^{2}$
$\hspace{150px}=\left(\dfrac{2}{5}\right)^{2}\cdot 5^{2}$
$\left(\cancel{\dfrac{2}{5}}\cdot\cancel{\dfrac{5}{2}}x-\dfrac{2}{\cancel{5}}\cdot \cancelto{2}{10}\right)^{2}+\left(\cancel{\dfrac{2}{5}}\cdot\cancel{\dfrac{5}{2}}y-\dfrac{2}{\cancel{5}}\cdot \cancel{5}\right)^{2}$
$\hspace{150px}=\dfrac{2^{2}}{\cancel{5^{2}}}\cdot \cancel{5^{2}}$
$(x-4)^{2}+(y-2)^{2}=2^{2}$
となる。

解答ケ:4, コ:2, サ:2

①式の円を$C_{2}$とすると、点$\mathrm{Q}$は$C_{2}$上にある。
また、$C_{2}$上のすべての点は条件を満たす。
したがって、点$\mathrm{Q}$の軌跡は$C_{2}$である。

(iii)

円$C_{2}$の中心を点$\mathrm{B}$とすると、
①式より、座標は$(4,2)$
アイより、点$\mathrm{A}$の座標は$(10,5)$
だから、3点$\mathrm{O}$,$\mathrm{B}$,$\mathrm{A}$は一直線上にあって、
$\mathrm{OB}:\mathrm{OA}=2:5$
である。

よって、
点$\mathrm{B}$は線分$\mathrm{OA}$を$2:3$に内分する ことが分かる。

解答シ:2

(2)

(1)の作業を振り返ってみると、
線分$\mathrm{OP}$を$2:3$に内分する点$\mathrm{Q}$の軌跡は、
中心が、$\mathrm{OA}$を$2:3$に内分する点 半径が、円$C_{1}$の半径の$ \dfrac{2}{2+3}$倍 である円
だった。

このことから、
線分$\mathrm{OP}$を$m:n$に内分する点$\mathrm{R}$の軌跡は、
中心が、$\mathrm{OA}$を$m:n$に内分する点 半径が、円$C_{1}$の半径の$ \dfrac{m}{m+n}$倍 である円
だと予想できる。

解答ス:2, セ:4

余談

これは予想だから本当は証明しないといけないけど、問題の流れと関係がないので ここでは省略する。

(3)

次は、三角形の重心の軌跡だ。

まず、三角形の重心について復習すると、

復習

大学入学共通テスト2023年本試 数学Ⅱ第3問 復習図

図のように、三角形の3本の中線は1点で交わる。この点を三角形の重心という。
重心は各中線をそれぞれ$1:2$に内分する。

だった。
これを頭において、問題を解く。


問題3を図にすると、図Bができる。

図B
大学入学共通テスト2023年本試 数学Ⅱ第3問 解説図B

復習より、重心$\mathrm{G}$は線分$\mathrm{MP}$を$1:2$に内分する。

解答ソ:0

円$C_{3}$の中心を点$\mathrm{C}$とすると、(2)の考え方から、
線分$\mathrm{MP}$を$1:2$に内分する点$\mathrm{G}$の軌跡は、
中心が、$\mathrm{MC}$を$1:2$に内分する点 半径が、円$C_{1}$の半径の$ \dfrac{1}{1+2}$倍 である円
だと予想できる。

ここで、
点$\mathrm{M}$は線分$\mathrm{DE}$の中点なので、座標は
$\dfrac{(1,6)+(3,2)}{2}=(2,4)$
円$C_{3}$の式から、円$C_{3}$の
中心$\mathrm{C}$は $(5,7)$ 半径は $3$
だ。

よって、点$\mathrm{G}$の軌跡は、

中心が
$\dfrac{2(2,4)+(5,7)}{1+2}=\dfrac{(9,15)}{3}$
$\hspace{108px}=(3,5)$

解答タ:3, チ:5

半径が
$3 \times\dfrac{1}{1+2}=1$

解答ツ:1

の円と考えられる。