大学入学共通テスト 2024年(令和6年) 本試 数学ⅡB 第1問 [1] 解説

(1)

以下、問題文より$k \gt 0$,$k\neq 1$,真数条件より$x \gt 0$の場合を考える。

(i)

$y=\log_{3}x$に$x=27$を代入すると、
$$ \begin{align} y&=\log_{3}27\\ &=3 \end{align} $$ となる。

なので、$y=\log_{3}x$のグラフは、
$(27,3)$
を通る。

解答ア:3


$y=\log_{2}\dfrac{x}{5}$に$y=1$を代入すると、
$$ \begin{align} \log_{2}\dfrac{x}{5}&=1\\ &=\log_{2}2 \end{align} $$ より
$\dfrac{x}{5}=2$
$x=10$
となる。

したがって、$y=\log_{2}\dfrac{x}{5}$のグラフは、
$(10,1)$
を通る。

解答イ:1, ウ:0

(ii)

ここで、$y=\log_{a}x$のグラフの復習をしておこう。

復習

$y=\log_{a}x$のグラフは、次のような形だ。

大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅡB 第1問 [1] 復習図

復習より、$y=\log_{k}x$のグラフは、$k$の値にかかわらず
$(1,0)$
を通る。

解答エ:1, オ:0

(iii)

まず、$y=\log_{k}x$のグラフから。

(ii)で考えたように、$y=\log_{k}x$のグラフは必ず$(1,0)$を通る。
なので、選択肢の②~⑤は不適。

$y=1$のときを考えると、

$k=2$のとき、
$$ \begin{align} \log_{2}x&=1\\ &=\log_{2} 2 \end{align} $$ なので
$x=2$

$k=3$のとき、
$$ \begin{align} \log_{3}x&=1\\ &=\log_{3} 3 \end{align} $$ なので
$x=3$

$k=4$のとき、
$$ \begin{align} \log_{4}x&=1\\ &=\log_{4} 4 \end{align} $$ なので
$x=4$

となるから、$y=1$のとき、
$k=2$のときのグラフが一番左
$k=3$のときのグラフが真ん中
$k=4$のときのグラフが一番左
を通る。

これにあてはまるのは、選択肢の

のグラフである。

解答カ:0


次に、$y=\log_{2}kx$のグラフについて。

$y=\log_{2}kx$
を変形すると
$y=\log_{2}x+\log_{2}k$
とかける。

よって、$y=\log_{2}kx$は $k=2$のとき$\hspace{12px}y=\log_{2}x+\log_{2}2$式A $k=3$のとき$\hspace{12px}y=\log_{2}x+\log_{2}3$式B $k=4$のとき$\hspace{12px}y=\log_{2}x+\log_{2}4$式C と表せる。

ここで
$\log_{2}2 \lt \log_{2}3 \lt \log_{2}4$
なので
$\log_{2}x+\log_{2}2 \lt \log_{2}x+\log_{2}3 \lt \log_{2}x+\log_{2}4$
だから、$0 \lt x$の範囲でつねに
式A$ \lt $式B$ \lt $式C
であることが分かる。

よって、3つのグラフは、つねに
$k=2$のときのグラフが一番下
$k=3$のときのグラフが真ん中
$k=4$のときのグラフが一番上
にある。

これにあてはまるのは、選択肢の

のグラフである。

解答キ:5

別解1

別解1の解説の前に、グラフの平行移動の復習をしておく。

復習

$y=f(x)$について、

$x$を$x-p$に変えると、
$x$軸方向に$p$平行移動

大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅡB 第1問 [1] 復習図

$y$を$y-q$に変えると、
$y$軸方向に$q$平行移動

大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅡB 第1問 [1] 復習図

$y=\log_{2}kx$
を変形すると、
$y=\log_{2}k+\log_{2}x$
より
$y-\log_{2}k=\log_{2}x$
とかける。

なので、復習より
$y=\log_{2}kx$は、$y=\log_{2}x$のグラフを$y$軸方向に$\log_{2}k$平行移動したもの であることが分かる。

ここで
$0 \lt \log_{2}2 \lt \log_{2}3 \lt \log_{2}4$
なので、$y=\log_{2}kx$のグラフは、$y=\log_{2}x$のグラフを
$k=2$のとき、上に平行移動
$k=3$のとき、上にもっと平行移動
$k=4$のとき、上にもっともっと平行移動
したものだ。

したがって、3つのグラフは、つねに
$k=2$のときのグラフが一番下
$k=3$のときのグラフが真ん中
$k=4$のときのグラフが一番上
にある。

これにあてはまるのは、選択肢の

のグラフである。

解答キ:5

別解2

別解2の解説の前に、グラフの拡大縮小の復習をしておく。

復習

$y=f(x)$について、

$x$を$\cfrac{x}{s}$に変えると、
$x$軸方向に$s$倍に拡大

大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅡB 第1問 [1] 復習図

$y$を$\cfrac{y}{t}$に変えると、
$y$軸方向に$t$倍に拡大

大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅡB 第1問 [1] 復習図

$x$を$sx$に変えると、
$x$軸方向に$\cfrac{1}{s}$に縮小

大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅡB 第1問 [1] 復習図

$y$を$ty$に変えると、
$y$軸方向に$\cfrac{1}{t}$に縮小

大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅡB 第1問 [1] 復習図

$y=\log_{2}kx$
は、$y=\log_{2}x$の$x$に$kx$を代入したものだから、復習より
$y=\log_{2}kx$は、$y=\log_{2}x$のグラフを、$y$軸を中心にして $x$軸方向に$\dfrac{1}{k}$に縮小したもの であることが分かる。

なので、$y=\log_{2}kx$のグラフは$y=\log_{2}x$のグラフと比べて、$y$軸との距離が
$k=2$のとき、$\dfrac{1}{2}$
$k=3$のとき、$\dfrac{1}{3}$
$k=4$のとき、$\dfrac{1}{4}$
になっている。

したがって、3つのグラフは、つねに
$k=2$のときのグラフが一番右
$k=3$のときのグラフが真ん中
$k=4$のときのグラフが一番左
にある。

これにあてはまるのは、選択肢の

のグラフである。

解答キ:5

(2)

(i)

指数と対数の関係を復習しておくと、

復習

$0 \lt a$,$a\neq 1$,$0 \lt b$のとき、
$\log_{a}b=c \Leftrightarrow a^{c}=b$

だった。

復習より、$\log_{x}y=2$は
$y=x^{2}$
とかける。

なので、求める図形は
$y=x^{2}$のグラフの$x \gt 0$,$x\neq 1$,$y \gt 0$の部分 だ。

これにあてはまるのは、選択肢の

のグラフである。

解答ク:2

(ii)

不等式
$0 \lt \log_{x}y \lt 1$式D
は、中辺が対数で、右辺と左辺が対数じゃない。
この形だと比較しづらいから、右辺と左辺を対数にしよう。

$\left\{\begin{array}{l} \log_{x}1=0\\ \log_{x}x=1 \end{array}\right.$
を式Dに代入すると、
$\log_{x}1 \lt \log_{x}y \lt \log_{x}x$式D'
となって、全部の辺が対数になった。

いま,$x\neq 1$なので、式D'は
$\left\{\begin{array}{ll} 1 \lt y \lt x & (1 \lt x)\class{tex_formula}{式E}\\ 1 \gt y \gt x & (0 \lt x \lt 1)\class{tex_formula}{式F} \end{array}\right.$
と変形できる。

式Eの表す範囲は、
$1 \lt x$のときなので、直線$x=1$より右 $1 \lt y$なので、直線$y=1$より上 $y \lt x$なので、直線$y=x$より下 $0 \lt x$,$0 \lt y$なので、第1象限 の共通部分だから、図Aの緑の部分だ。(境界線をのぞく)

図A
大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅡB 第1問 [1] 解説図A

式Fの表す範囲は、
$x \lt 1$のときなので、直線$x=1$より左 $y \lt 1$なので、直線$y=1$より下 $x \lt y$なので、直線$y=x$より上 $0 \lt x$,$0 \lt y$なので、第1象限 の共通部分だから、図Aのオレンジの部分だ。(境界線をのぞく)

以上より、求める領域にあてはまるのは、選択肢の

である。

解答ケ:2