大学入学共通テスト 2024年(令和6年) 本試 数学ⅡB 第5問 解説

(1)

まず、図を描こう。

図A
大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅡB 第5問 解説図A

正確に描くと、図Aのような感じになる。
だけど、共通テスト本番でこんな図を描いてはいけない。時間がかかるから。
おすすめは、図Bのような略図だ。

図B
大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅡB 第5問 解説図B

この図Bを見ながら問題を解く。


ABCDを求めると、

AB=(3,6,0)(2,7,1)=(1,1,1)

解答ア:1, イ:-, ウ:1, エ:1

CD=(9,8,4)(8,10,3)=(1,2,1)

となる。

よって、

ABCD=(1,1,1)(1,2,1)=1+21=0

解答オ:0

なので、
ABCD
だ。

(2)

図Bに(1)で分かったことを書き込むと、図Cができる。

図C
大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅡB 第5問 解説図C

P1上にあるので、sを実数として
AP=sAB式A
と表せる。

また、OP
OP=OA+AP
だけど、これは、式Aより
OP=OA+sAB式B
とかきなおせる。

解答カ:2

式Bを使って、|OP|が最小となるsを求める。

花子さんの考え方

図Cと式Bより、OP
OP=(2,7,1)+s(1,1,1)=(2+s,7s,1+s) とかける。

よって、|OP|2
|OP|2=(2+s)2+(7s)2+(1+s)2=4+4s+s2+4914s+s2+12s+s2=3s212s+54 と表せる。

解答キ:3, ク:1, ケ:2, コ:5, サ:4

別解

別におすすめでもないけど、クケコサは次のようにしても求められる。

式Bより、|OP|2
|OP|2=(OA+sAB)(OA+sAB)=|OA|2+2sOAAB+s2|AB|2 式D
とかける。

いま、図Cより、
|OA|2=22+72+(1)2=54 OAAB=(2,7,1)(1,1,1)=271=6 |AB|2=12+(1)2+12=3

だから、式Dは
|OP|2=54+2s(6)+s23=3s212s+54 と表せる。

解答キ:3, ク:1, ケ:2, コ:5, サ:4

式Cについて、
グラフは下に凸の放物線 sの範囲はすべての実数 だから、|OP|2が最小になるのは放物線の頂点だ。

ここで

復習

二次関数 y=ax2+bx+c の頂点のx座標は
b2a

なので、式Cの放物線の頂点のs座標は
1223=2
である。

したがって、|OP|2が最小、つまり|OP|が最小となるs
s=2
であることが分かる。

解答ス:2

太郎さんの考え方

3点OABを通る平面を取り出すと、直線1と点Oの関係は図Dのようになっている。

図D
大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅡB 第5問 解説図D

直線1と点Oの最短距離は、図Dの赤い線分の長さ。
なので、|OP|が最小になるのは、点Pが図Dの青い点のときだ。

このとき、
OPAB
より
OPAB=0式E
である。

解答シ:1

ここで、図Dと式Bより、
OP=(2,7,1)+s(1,1,1)=(2+s,7s,1+s) なので、式Eは
(2+s,7s,1+s)(1,1,1)=0
と書きかえられる。

これを計算して、|OP|が最小となるs
2+s7+s1+s=0
3s6=0
s=2
である。

解答ス:2

(3)

今度はPQが最小になるときを考える。
なので、まずPQを式で表そう。
使う図は図Cなので、もう一度載せておく。

図C
大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅡB 第5問 解説図C

Qは直線2上にあるので、(2)と同様に、tを実数として
CQ=tCD式F
と表せる。

また、OQ
OQ=OC+CQ
だけど、これは、式Fより
OQ=OC+tCD
とかきなおせる。

これを成分で表すと、
OQ=(8,10,3)+t(1,2,1)=(8t,102t,3t) だ。

したがって、
PQ=OQOP
は、式G,式B'より
PQ=(8t,102t,3t)(2+s,7s,1+s)=(10st,3+s2t,2st) 式H
となる。

式Hを使って、花子さんと太郎さん両方の考え方で解いてみる。

花子さんの考え方

式Hより、|PQ|2
|PQ|2=(10st)2+(3+s2t)2+(2st)2

途中式 |PQ|2=(100+s2+t2+20s+20t+2st)+(9+s2+4t2+6s12t4st)+(4+s2+t2+4s+4t+2st)
|PQ|2=3s2+30s+6t2+12t+113式I
と表せる。

式Iの赤い部分を平方完成すると、
3s2+30s=3(s2+10s+5252)=3(s+5)2352
式Iの緑の部分を平方完成すると、
6t2+12t=6(t2+2t+1212)=6(t+1)2612
なので、式Iは
|PQ|2=3(s+5)2352+6(t+1)2612+113=3(s+5)2+6(t+1)2+113352612 式I'
と変形できる。

いま、stは互いに無関係なので、式I'の
赤い部分は、s=5のとき 最小値0 緑の部分は、t=1のとき 最小値0 だ。
最小値は問われてないので、式I'の青い部分は計算しない。

以上より、|PQ|2が最小、つまり|PQ|が最小となるのは
{s=5t=1
のとき。

これを

式B'に代入すると
OP=(25,7+5,15)=(3,12,6) となるから、このときの点Pの座標は
(3,12,6)

解答セ:-, ソ:3, タ:1, チ:2, ツ:-, テ:6

式Hに代入すると
OQ=(8+1,10+2,3+1)=(7,12,2) となるから、このときの点Qの座標は
(7,12,2)

解答ト:-, ナ:7, ニ:1, ヌ:2, ネ:-, ノ:2

である。

(2)の別解の方法は、計算が煩雑になるから省略。

太郎さんの考え方

(1)で考えたように
ABCD
なので
12
だから、消しゴムとか辞書の箱とか、直方体のものを思い浮かべると12の位置関係が分かりやすい。

図E
大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅡB 第5問 解説図E

図Eのように、直方体の青い辺とその延長が1,緑の辺とその延長が2と考える。

12の最短距離は、図Eの赤線の長さ。
したがって、線分PQが最小になるのは、点Pが図中の青い点,点Qが緑の点のときだ。

このとき、
PQ1 PQ2 より
{PQAB=0PQCD=0
という式がつくれる。

ここで、式Hより
PQ=(10st,3+s2t,2st)
なので、

式Jから

途中式 (10st,3+s2t,2st)(1,1,1)=0(10st)(3+s2t)+(2st)=03s15=0
s=5

式Kから

途中式 (10st,3+s2t,2st)(1,2,1)=0(10st)2(3+s2t)(2st)=06t+6=0
t=1

であることが分かる。

以上より、|PQ|2が最小、つまり|PQ|が最小となるのは
{s=5t=1
のとき。

これを

式B'に代入すると
OP=(25,7+5,15)=(3,12,6) となるので、このときの点Pの座標は
(3,12,6)

解答セ:-, ソ:3, タ:1, チ:2, ツ:-, テ:6

式Hに代入すると
OQ=(8+1,10+2,3+1)=(7,12,2) となるので、このときの点Qの座標は
(7,12,2)

解答ト:-, ナ:7, ニ:1, ヌ:2, ネ:-, ノ:2

である。