大学入学共通テスト 2024年(令和6年) 本試 数学Ⅰ 第3問 [1] 解説
(1)
図Aより、
放物線は上に凸なので、
$a \lt 0$
である。
解答ア:0
放物線の軸は
$x=\dfrac{-b}{a}$
だけど、これが$y$軸より左にあるから、
$\dfrac{-b}{a} \lt 0$式A
と表せる。
アより $a \lt 0$ なので、式Aの両辺に$a$をかけると
$-b \gt 0$
となるから、
$b \lt 0$
である。
解答イ:0
$y=ax^{2}+bx+c$
に
$x=0$
を代入すると
$y=c$
とかける。
つまり、$c$は 放物線の$x=0$のときの$y$座標だ。
よって、
$c \lt 0$
である。
解答ウ:0
放物線は$x$軸と異なる2点で交わっているから、
判別式$D=b^{2}-4ac \gt 0$
である。
解答エ:2
$y=ax^{2}+bx+c$
に
$x=-2$
を代入すると
$$
\begin{align}
y&=a(-2)^{2}+b(-2)+c\\
&=4a-2b+c
\end{align}
$$
とかける。
つまり、$4a-2b+c$は 放物線の$x=-2$のときの$y$座標だ。
よって、
$4a-2b+c \lt 0$
である。
解答オ:0
$y=ax^{2}+bx+c$
に
$x=-1$
を代入すると
$$
\begin{align}
y&=a(-1)^{2}+b(-1)+c\\
&=a-b+c
\end{align}
$$
とかける。
つまり、$a-b+c$は 放物線の$x=-1$のときの$y$座標だ。
よって、
$a-b+c \gt 0$
である。
解答カ:2
(2)
問題を解く前に$a$,$b$,$c$の値を整理しておく。
A~Cの操作前の$a$,$b$,$c$の値を$a_{\text{前}}$,$b_{\text{前}}$,$c_{\text{前}}$、操作後の値を$a_{\text{後}}$,$b_{\text{後}}$,$c_{\text{後}}$とすると、
操作Aを行うと $0 \gt a_{\text{前}} \gt a_{\text{後}}$
操作Bを行うと $0 \gt b_{\text{前}} \gt b_{\text{後}}$
操作Cを行うと $0 \gt c_{\text{前}} \gt c_{\text{後}}$
となる。
したがって、どの操作を行っても、つねに
$a \lt 0$,$b \lt 0$,$c \lt 0$
だ。
以上を頭に入れて、問題を解く。
キ
不等式$f(x) \lt 0$の解がすべての実数になるのは、$y=f(x)$のグラフが図Bのとき。
式で表すと
$a \lt 0$式B
判別式$D=b^{2}-4ac \lt 0$式C
のとき。
このうち、式Bは必ず成り立つので考えなくていい。
式Cだけを考える。
エより、操作前は
$b^{2}-4ac \gt 0$
なので
$b^{2} \gt 4ax$
だった。
これが、式Cのように
$b^{2}-4ac \lt 0$
つまり
$b^{2} \lt 4ac$
になれば、方程式$f(x) \lt 0$の解がすべての実数になる。
この$b^{2}$と$4ac$については、$a \lt 0$,$b \lt 0$,$c \lt 0$なので
$\left\{\begin{array}{l}
b^{2} \gt 0\\
4ac \gt 0
\end{array}\right.$
である。
つまり、
$\left\{\begin{array}{l}
b^{2} \gt 0\\
4ac \lt 0
\end{array}\right.$
なので、
$b^{2} \lt 4ac$
にはならない
みたいなことにはならない。
したがって、操作A~Cのうちで
$b^{2}$が小さくなる または $4ac$が大きくなる
条件A
ものを探せばよい。
操作Aを行うと
$a_{\text{前}} \gt a_{\text{後}}$
となるけど、$c \lt 0$なので この両辺に$4c$をかけると
$4a_{\text{前}}c \lt 4a_{\text{後}}c$
だ。
これは条件Aにあてはまるので、操作Aは答えに含まれる。
操作Bを行った場合、
$0 \gt b_{\text{前}} \gt b_{\text{後}}$
より
$b_{\text{前}}^{2} \lt b_{\text{後}}^{2}$
となる。
これは条件Aに当てはまらないから、操作Bは答えに含まれない。
操作Cを行うと
$c_{\text{前}} \gt c_{\text{後}}$
となるけど、$a \lt 0$なので この両辺に$4a$をかけると
$4ac_{\text{前}} \lt 4ac_{\text{後}}$
だ。
これは条件Aにあてはまるので、操作Cは答えに含まれる。
以上より、$f(x) \lt 0$の解がすべての実数になり得るのは、
操作Aと操作C であることが分かる。
解答キ:5
ク
方程式$f(x)=0$が異なる2つの正の解をもつのは、$y=f(x)$のグラフが図Cまたは図Dのとき。
どちらの場合も放物線の軸は$y$軸よりも右だから、
$0 \lt \dfrac{-b}{a}$式D
でなければならない。
しかし、A~Cのどの操作を行っても つねに
$\left\{\begin{array}{l}
a\lt 0\\
b\lt 0
\end{array}\right.$
なので、
$\dfrac{-b}{a} \lt 0$
である。
したがって、式Dが成り立つことはない。
以上より、A~Cのどの操作を行っても、$f(x)=0$が異なる2つの正の解をもつことはない。
解答ク:0